環境・健康への対策費はどこまでが費用か?

[取材/文責]税理士:浦田泉

●環境活動や社員の健康増進のための費用を企業が負担した場合は、一定の要件の元、費用として認められます。
「環境」や「健康」に力を入れる企業が増えていますが、社員へ支給する新たな費用の税務問題がクローズアップされています。
先ごろ、日本郵政グループの郵便事業会社が、年間の燃料消費量を3%以上減らした支店に削減額の一定割合を報奨金として出す制度を導入したことが報道されました。
同社は「急発進を避けたり、不要なアイドリングをやめたりすることで燃費をよくするエコドライブはこれまでも推奨してきたが、あまり浸透していなかった」ため、報奨金制度の導入に踏み切ったといいます。
報奨金は、燃料費削減に貢献した社員に広く行き渡るようにし、社員の意欲を高める効果を狙いたいとしています。
このように、エコ活動に貢献した社員にインセンティブを与える企業は今後増加すると思われます。
「お金の動くところに税金アリ。」 それでは、報奨金の課税関係はどうなるのでしょうか。
税務当局は「環境活動を企業の取組みとして進めているのだから、費用性は認められる。税務上の損金として、課税関係が発生するようなものではない」(税務当局)としています。
ただし報奨金の支給にあたっては、企業の目的と金額をはっきりさせておく必要があります。
また、平成20
年4月からは「メタボリック症候群」の検査実施が職場の健康診断で義務化されましたが、社員のメタボ対策費用を企業が負担した場合は、「福利厚生費となるが、程度がある。金額がいきすぎれば給与と認定されることもある」(同)としています。
社員割引などで費用の一部分を負担するならともかく、全額企業負担とすれば、本来、社員が負担すべきものを代わりに負担したとみなされる可能性もあるようです。

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