外国企業との契約で覚えておいたほうがいいこと

[取材/文責]税理士:浦田泉

●外国企業と役務提供契約を結ぶ際、契約書を紛失しないことはもちろん、契約書を作成した場所についても経緯を把握しておくと、税務調査の際にもスムーズな対応ができます。
外国企業と役務提供契約を締結した場合、注意しなくてはいけない点として、契約書本体の取り扱いとその締結場所の把握です。 税務調査の際、消費税・印紙税の観点から質問されることがあるからです。今日はそんなお話です。
消費税の課税対象は、アバウトに言うと「日本国内」において行なった課税資産の譲渡等(財・サービスの消費)です。 一方、印紙税の課税対象は「日本国内」で作成された文書です。 つまり、消費税も印紙税も、国境を越えて課税できない(属地主義)税金なのです。
(1)輸出免税の適用と契約書(消費税)
外国企業(税法上の用語では非居住者)と役務提供契約(役務提供地は国外)を締結し、契約書に明示された対価を当該外国企業から受領した場合、国内の事業者にとっては、当該対価は輸出免税の対象となって消費税の課税が免除されます。
税務調査時に、輸出免税があったときは、税務署はその事実を確認するために、契約書等の書類の提示を要求します。契約書はきちんと保存しておきましょう。
(2)契約書はどこで作成されたか(印紙税) 税務職員は、消費税における輸出免税適用の適法性について当該契約書で確認した後、契約書の作成場所を確認することがあります。
実は契約書が作成されたのが国内か、海外かによって、印紙税の取り扱いが変わってくるのです。
ちなみに、契約書の作成、というのは契約書に最後の者が署名押印したときのことを言います。 (契約書は双方の意思の合致であり、双方の署名押印等が必要です。意思の合致が成立するのは、契約書に最後の者が署名押印したときです)
最後の署名押印者が国外であれば、課税文書の作成された場所は国外になり、印紙税の適用はないことになります。 ただし、最後の署名押印者が国内であれば、印紙税の対象となるため、注意が必要です。
契約書を紛失しないことはもちろん、署名押印にいたる経緯も把握しておくことで、税務調査の際にもスムーズな対応ができます。

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