特定の社員や役員専用に支払う有料駐車場代

[取材/文責]税理士:浦田泉

●社員に駐車場代を通勤手当として支給している場合は通勤手当(非課税限度枠内で)として扱われる。しかし特定の社員や役員のための駐車場代と認められた場合は給与になる可能性もある。
社員や役員に自動車通勤を認めている企業は少なくありません。その場合、会社の敷地内に駐車場スペースがないため、有料の駐車場を借りるケースがあります。
このような場合で有料駐車場代を会社が全額、または一部負担したときは、その有料駐車場代は基本的に社員や役員に対する給与として扱われます。
ただし、駐車場代を通勤手当として支給している場合は、マイカー・自転車通勤者の通勤手当の非課税限度枠以内であれば社員に所得税はかかりません。社員に駐車場代を支給する場合は、会社が支払うのではなく通勤手当として支給する方が社員にとって有利なのです。 マイカー・自転車通勤の非課税限度枠は2キロメートル未満が全額課税、2キロメートル以上は距離に応じ一定額まで非課税です。
もし、業務用として会社が借りている有料駐車場のスペースが、特定の社員や役員のためのスペースになっている場合は注意が必要です。
そのスペースが不特定の社員や役員によって共同利用されている場合も特に問題とされません。また、駐車している自動車が業務用車である場合は、その業務用車が特定の社員や役員専用のものであっても問題はありません。
問題は、そのスペースが実態的に特定の社員や役員の通勤用マイカー専用となっている場合や、特定の社員(たとえば社長)だけがマイカー通勤を認められていて、事業用に借りている駐車場の一部に常態的にマイカーが駐車されている場合です。
このような場合は、税務調査で会社がその駐車場を特定の社員または役員のために借りているとみなされ、社員または役員に対する給与になってしまうケースがあります。
なお、この際の消費税の取扱いですが、駐車場代を通勤手当として支給した場合は、消費税法基本通達11-2-2において「通勤のために通常必要とする範囲内のもの」は課税仕入れにできるとされています。また、これは通勤手当の非課税限度枠を超過しても適用されます。
また、会社が負担した駐車場代についても、一般的に経済的利益がその処理科目(給与など)に関わらず課税仕入れにできることから、課税仕入れとして扱って差し支えないと思われます。

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