取立てが難しい債権に対する貸倒引当金

[取材/文責]税理士:浦田泉

●債務超過状態がおおむね1年以上続き好転の見通しがなく、債権の一部の金額に取立てが見込めないといった債権は「個別評価金銭債権に係る貸倒引当金」に該当し、回収不能見込額を貸倒引当金の繰入限度額とすることができます。
中小企業であっても、貸倒引当金を計上している企業さんは多くあります。
貸倒引当金とは、債権に対して将来発生するおそれのある貸倒れの損失の見積額を指し、繰入限度額の範囲内で損金算入できるものです。
しかし、債権の中にも、きちんと回収の見込があるものと、取立てが難しい債権が混在すること、ありませんか? こういった場合、貸倒引当金の繰入限度額はどのように計算すればいいのでしょうか?
繰入限度額は、貸倒引当金を個別評価金銭債権に係るものと一括評価債権に係るものに分けそれぞれ計算します。 個別評価債権にかかる貸倒引当金は、さらに個々の債務者ごとに回収不能見込額を計算し、その合計を繰入限度額とします。
債務超過状態が相当期間続き好転の見通しもなく、債権の一部の金額に取立てが見込めないといった債権(いわゆる、アブナイ債権?!)は、「個別評価金銭債権に係る貸倒引当金」に該当することになります。 この場合は、対象金銭債権のうち取立ての見込がない額が回収不能見込額ということになります。
ここでいう「相当期間」とは、税務上の判断として「おおむね1 年以上」とされており、債務超過状態が続いたといっても半年程度では認められません。
また、「取立てが見込めない」には、貸付金などの未収利息を資産に計上している場合で、回収の努力をしたにもかかわらず未収利息の入金がないなどのケースも含まれます。

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