定期同額役員給が減額できる具体例

[取材/文責]税理士:浦田泉

役員給与の減額改定ができるケースが明示されました。
「財務諸表の数値が相当程度悪化」「倒産の危機に瀕する」といった典型的なケースのほか、「第三者との関係において減額せざるを得ない事情が生じている」場合もこれに含まれると示し、具体例が示されています。
景気悪化の影響を受けて、役員給与の減額改定に関心が集まっています。 国税庁はこのほど、該当する改定事由の詳細を「役員給与に関するQ&A」により明らかにしました。
役員給与の減額改定について、法人税法施行令では「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」とあり、法人税法基本通達でも「経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があること」としています。
しかし、実際に減額しようという段階になると、経営状況が著しく悪化した場合ってどういう場合なのか、判断に迷うケースが続出しています。 中には「倒産の一歩手前程度でないと否認されるのでは?」と考えるかたもいらっしゃいました。
そこで今回のQ&Aでは、「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」の例として、「財務諸表の数値が相当程度悪化」「倒産の危機に瀕する」といった典型的なケースのほか、「第三者との関係において減額せざるを得ない事情が生じている」場合もこれに含まれると示しています。
この第三者との関係からの減額改定については、具体的な事例を3つ挙げています。
ひとつは、第三者が株主というケース。
株主との関係上、業績や財務状況の悪化に役員としての経営責任から役員給与を減額する場合、株主が不特定多数の法人では業績などの悪化が役員の評価に影響を与えるのが一般的であることから、これに対応して行う減額改定は業績悪化事由にあたるとしています。
次に、銀行が第三者となるケース。
銀行との間で行う借入金返済のリスケジュールの協議で、役員給与を減額せざるを得ないような場合、取引先の金融機関との協議状況などから、業績悪化改定事由に該当するかどうかを判断できるとしています。
最後に、取引先などの利害関係者が第三者となるケース。
業績や財務状況、資金繰りが悪化したことで、取引先など利害関係者からの信頼を維持・確保するために経営状況の改善計画を策定し、そこに役員給与の減額を盛り込んだ場合、該当するかどうかの判断は、策定された計画によって行われることとしています。

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