通信費と運賃の区分は必要か?

[取材/文責]税理士:浦田泉

●税務上、自社の商品を顧客に送る場合は、通信費、運賃どちらで処理をしても問題はありません。ただし、商品発送費とそれ以外の発送費に分けることは事業計画作成の際など、管理会計の上では重要です。 自社の商品などを顧客に発送する費用について、「通信費」にすべきか「運賃」にすべきかという相談を受けることがあります。
処理の方法は会社によってマチマチというのが現実です。郵便(切手)で送るものは通信費、小包や宅配便で送るものは運賃と分けている企業もありますし、比較的に少額のものを通信費として扱っている企業もあります。商品を送る場合は必ず運賃(荷造運賃)にしているところもあります。 そのため、いろいろな話を聞いてどれが正しいのかわからなくなっている、という方も多いように感じます。
結論をいえば、税務上、販売のために自社の商品を顧客に送る場合はどちらでも構いません。通信費も運賃も当期の費用(損金)として処理できる科目のため、どちらで処理しても税務上の違いは無いのです。
ただし、経理においては、取引が明確に区分されていることが重要ですし、同様の費用が異なる科目に区分されていると、税務署から疑いの目を向けられる可能性もあります。
また、商品発送費とそれ以外の発送費を区分することは、事業計画を立てる際には必要になってきます。
商品発送費は商品の売上ボリュームによって変わってくるもの(変動費)ですし、それ以外の発送費はほぼ毎月、同じような金額が使われている(固定費)ことが多いでしょう。
売上高に占める変動費の割合を算出すること、さらに売上高から変動費を除いた部分で固定費がまかなえるかどうかを計算することは、事業(利益)計画の基本です。 税務会計上は問題なくても、管理会計上は区分しておくことが重要なのです。
以上を考え合わせて、いずみ会計では、商品の発送費は「運賃(荷造運賃)」、その他の発送費「通信費」として処理することをオススメしています。(あくまでも業種によりますが)「管理会計」というと難しいように感じるかもしれませんが、こうした小さな積み重ねで意外と実現は簡単だったりするものですよ(^-^)。

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