税源移譲と不信感

[取材/文責]税理士:飯田幸洋

6月の第3週
区役所などに問い合わせが殺到している場面が
新聞やテレビで大きく報道されていました。
去年より大幅にアップした住民税の通知が
届いたからです。
問い合わせの内容は
「なぜ住民税が上がったのか」
「間違いではないのか」
というもの。
年金問題で不信感を募らせているときに
この問題が重なったことが、
より騒ぎを大きくしています。
飯田税理士事務所にも、
テレビ朝日からこの件に関する取材があり、
改めてこの問題の大きさを知りました。

今回は「税源移譲」をテーマにしたいと思います。
そもそも「税源移譲」とは
どのようなことで
なぜ、必要なのでしょうか。
総務省によれば
税源移譲とは、
納税者(国民)が国へ納める税(国税)を減らし、
都道府県や市町村に納める税(地方税)を
増やすことで、
国から地方へ税源を移すこと。
国の関与を縮小し「地方にできることは地方に」
という理念の「三位一体の改革」の一つ。
と説明しています。
モデルケースの計算例が表示され
サラリーマンなど給与所得者の場合、
今年1月分より、
給料から天引きされる源泉税が減り、
6月より住民税が増額されています。
所得税から住民税に税源の移し替えであり、
基本的には負担は変わらないとされています。
http://www.soumu.go.jp/czaisei/czaisei_seido/zeigenijou2.html
この計算の前提は、
給料が前年と変わらないことですが
(定率減税がH19年分から廃止となるため
その分の負担は増します)、
一般的な場合には、
■住宅ローン控除の適用を受けている場合
■今年の収入が去年に比べ大幅に減少する場合
■事業所得者の場合
などを除き
負担は大きく変わらないようです。
住宅ローン控除の適用を受けている人や
今年退職して収入がなくなった人などには、
救済措置や特例制度が設けられています。
しかし、事業所得者の場合、
給与所得者のような源泉徴収制度がないため、
所得税の減税は来年3月の確定申告まで
待たなければならない一方
住民税はH18年分を元に計算され
今年の6月から増額されます。
つまり、増額(住民税)が先行し、
減税(所得税)は後回しにされています。
総務省の
「税源移譲による影響の発生時期」
をみると、事業所得者だけ時期が違う
ことがよくわかります。
http://www.soumu.go.jp/czaisei/czaisei_seido/pdf/zeigennijou061221_1.pdf

主に以上の場合に、違いがでてきますが、
基本的には、
定率減税の廃止を除けば
あまり違いがないのかも知れません。
このような騒ぎになったのは、
税源移譲で増額された住民税に
定率減税の廃止も加わったため、
通知書の金額が去年に比べ大幅にアップ、
より増税感が強まるとともに
年金問題などに対する不信感から
ではないでしょうか。
http://www.komonzeirishi.com/iida-office/

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