個人向けのESG投資商品の人気が上昇中ESG投資にかかる税金とは
個人が投資する商品には、さまざまなものがあります。投資商品の中で今、人気が上昇中しているのがESGに関連した投資商品です。なぜなら、どうせ投資するのであれば、ESGに関連したものに投資したいという人が増えているためです。
そこで、ESG投資商品の概要や、ESG投資にかかる税金について解説します。
ESG投資商品とはどんなもの?
従来、投資家が企業に投資する際に重視していたのが売上や費用、資産や負債の数値、キャッシュフローなどの財務的な情報や、新しい事業への算入などの成長性などでした。
もちろん、これらの観点は今でも重要視されているのですが、それに加えてEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の3つの要素を考慮し、社会貢献性や持続可能性などにも着目する動きがあります。このような視点に立って投資することをESG投資といいます。
2006年から国連が投資にESGの観点を盛り込むように呼びかけたことや、2015年に日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国連責任投資原則(PRI)に署名したことなどから、日本でもESG投資商品に注目が集まってきました。
ESG投資商品といっても、何か特別な商品というわけではなく、一般的な投資商品である投資信託や社債・株式などです。ただ、対象となる企業の社会貢献性などに焦点が当てられます。2018年の国内におけるESG投資商品の残高は、2.2兆ドル(約240兆円)にのぼっています。これからも、ますますESG投資商品の残高は上昇していくことが予想されます。
ESG投資商品のメリット・デメリット
今、注目が集まっているESG投資商品ですが、もちろんメリット・デメリットがあります。ESG投資をする場合には、そのメリットとデメリットを理解したうえで、投資判断をする必要があります。
そこで、ここではESG投資商品のメリット・デメリットを見ていきましょう。
ESG投資商品のメリット
ESG投資商品のメリットには、次のものがあります。
(1)市場の拡大が見込める
ESG投資商品のメリットの中で最も大きいのが、市場の拡大が見込めるということです。
上述したとおり、ESG投資商品の残高は2018年で2.2兆ドル(約240兆円)で、2016年と比較して約8倍増加しています。
ESG投資に注目が集まると、ESGを重要視した企業も増えてくるため、さらに市場が拡大していくことが予想されます。企業にとっても、社会貢献などに取り組むことで、自社の評価を上げることができるメリットがあります。
(2)長期的な投資が可能となる
市場の拡大が予想されるということは、投資家にとって、長期的な投資が可能となることを意味します。市場が拡大し、ESG投資商品の需要が高まれば高まるほど、ESG投資商品の資産価値も高まります。
社会貢献などは、短期ではなく長期で取り組むものになるため、ESG投資商品の長期的な価値の上昇が見込まれ、長期的な投資もしやすくなります。
(3)ESG投資を通じ社会貢献ができる
社会貢献には、さまざまなものがあります。しかし、社会貢献をしたくても、ボランティア活動などはハードルが高いと考えている人も多いです。
ESG投資は投資活動だけでなく、社会貢献も同時にできるメリットがあります。そのため、どうせ投資をするのなら、社会貢献も同時にできるESG投資を選ぶ人が増えています。
ESG投資商品のデメリット
ESG投資商品のデメリットには、次のものがあります。
(1)資産価値が減少するリスクがある
ESG投資商品は投資商品であるため、資産価値が減少するリスクがあります。また、企業が環境汚染などESGに関連する不祥事を起こした場合には、急激に資産価値が減少する恐れがあります。ESG投資をする場合には、対象となる企業の動きを常に注視しておく必要があるでしょう。
(2)手数料や税金がかかる
ESG投資であっても、投資商品であることは変わりないため、売買の手数料がかかったり、売却益や配当金があれば税金が課されたりするデメリットがあります。
(3)資金を使う目的がはっきりしていないケースもある
ESG投資商品の中には、ESGといいながら、資金を使う目的がはっきりしていないケースもあります。これは、ESGの定義・概念が明確でないことが原因のひとつに挙げられます。ESG投資をする場合は、資金の使い道もしっかりと把握しておく必要があるでしょう。
ESG投資商品の税金とは
ESG投資で注意すべき点として税金があります。実は、ESG投資をすると税金が課されるケースがあります。そこで、ここからはESG投資商品の税金について見ていきましょう。
ESG投資商品に税金がかかるケース
一般的な株式等のESG投資では、税金がかかるケースとそうでないケースがあります。
税金がかかるケースとは「売却益が出たケース」と「配当金を受け取ったケース」の2つです。そのため、ESG投資商品を購入した際や、売却して損が出た場合などには、税金は課されません。
「売却益が出たケース」と「配当金を受け取ったケース」それぞれの税金について見ていきましょう。
・売却益が出たケース
売却益が出たケースでは、売却益に対して税金がかかります。売却益は次の計算式で求めます。
税率は国税15%、復興特別所得税0.315%、地方税5%の合計20.315%です。例えば、ESG投資商品の売却価額が200万円、取得費90万円、委託手数料等が10万円だった場合の税金は次のようになります。
税額=売却益100万円×税率20.315%=203,150円
・配当金を受け取ったケース
配当金を受け取ったケースでは、配当金に対して税金がかかります。配当金に対する税率は、国税15%、復興特別所得税0.315%、地方税5%の合計20.315%です。例えば、配当金が10万円の場合の税金は、次のようになります。
配当金は、あらかじめ税金が差し引かれた(源泉徴収)後の金額が、口座に振り込まれます。そのため、税金を支払う手続きをする必要はありません。
ESG投資商品で利益が出たら確定申告は必要?
ESG投資商品で売却益が出たり、配当金を受け取ったりした場合は税金がかかります。では、その場合に確定申告は必要なのでしょうか。
まず、配当金の場合は、あらかじめ税金が差し引かれているため原則、確定申告は不要です。
売却益が出た場合は、取引口座の種類によって異なります。取引口座には「特定口座・源泉徴収あり」「特定口座・源泉徴収なし」「一般口座」の3つがあります。ESG投資商品の取引口座で「特定口座・源泉徴収あり」を選択している場合は、売却代金が取引口座に振り込まれる際に、あらかじめ税金が差し引かれます。そのため、原則、確定申告は不要です。
ESG投資商品の取引口座で「特定口座・源泉徴収なし」もしくは「一般口座」を選択している場合、税金はあらかじめ差し引かれていないため、確定申告が必要となります。
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まとめ
ESG投資は、投資をするうえで、EEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の3つの要素を考慮したものです。世界的に、企業に社会貢献性などが求められている中、年々EGS投資商品の市場は拡大しています。そのため、市場の拡大が見込める、ESG投資を通じ社会貢献ができるなどのメリットがあります。
しかし、EGS投資商品には、手数料や税金がかかったり、資金を使う目的がはっきりしていないケースがあったりするなどのデメリットもあります。今後、EGS投資商品の市場が拡大することを考えると、EGS投資をする際には、投資する企業や資金の使い道をしっかりと見極めることが、ますます重要となるでしょう。
▼参照サイト
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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