フェムテックには補助金もある?今注目のフェムテックについて解説
今、注目を集めている商品やサービスのひとつが、フェムテック関連のものです。フェムテックは、女性特有の問題の解決を目指すための商品やサービスです。これからの市場拡大が見込めることから、多くの企業が参入する動きを見せています。この記事では、フェムテックとは何か、補助金などがあるのかなどを詳しく解説します。
そもそもフェムテックとは
はじめに、フェムテックとはどのようなものであるか、またフェムテックが注目される背景について見ていきましょう。
フェムテック(Femtech)とは「Female(女性)」と「Technology(技術)」を組み合わせて作られた言葉です。言葉の通り、テクノロジーの活用によって女性特有の問題(性や健康など)の解決を目指すものです。フェムテックの分野は幅広く、生理ケアやメンタルヘルスなど健康分野全般に及びます。
また、経済の観点から見ても、フェムテックはこれから成長が見込める分野です。これには、女性の社会進出が進む中で、女性の健康に配慮する企業が増えてきたことが影響しています。女性の健康に配慮する企業が、フェムテックに関するさまざまな商品やサービスを導入することで、フェムテックへの関心や需要は高まっています。また、フェムテックの商品やサービス市場に参入する企業も相次いでいます。
フェムテックに参入する企業が拡大へ
女性の健康に配慮する企業が増えたことでフェムテックへの需要が増え、フェムテックに参入する企業が拡大しています。
そこで、ここではフェムテックの市場がどうなっているのかを見ていきましょう。
フェムテックの市場は拡大している
フェムテックは、ヨーロッパやアメリカを中心に10年ほど前から急速に広がってきた考え方です。その広がりにともない、経済市場でも急速に広がりを見せており、アメリカの調査会社であるCBインサイツによれば、2025年のフェムテックの世界市場は500億ドル、日本円にすると約5兆7000億円にものぼるとする調査結果がでています。
日本でも、女性の社会進出やフェムテックの考え方が浸透するにつれて、需要の高まりが増えており、多くの企業のフェムテック市場への参入が増加しています。中には、フェムテックの商品の開発だけでなく、相談窓口や研修会を開く企業があるほどです。
日本企業のフェムテックの商品・事業例
日本でも、多くの企業のフェムテック市場への参入が増加しています。そこで、どのような商品や事業がわが国で展開されているのかを見てみましょう。例えば、次のような企業が、フェムテック関連の商品やサービスを展開しています。
☆ユニ・チャーム
体内に入れて経血をためる月経カップを販売しています。女性が生理期間中の生活をしやすくすることを助けています。
☆株式会社エムティーアイ
月経管理アプリの「ルナルナ」を運営し、女性のヘルスケアを助けています。
☆ユニクロ
機能性肌着「エアリズム」を発売しています。抗菌防臭、吸水や防水を兼ね備えた吸水ショーツではき心地にもこだわっています。価格も類似商品よりも安く設定されており、ヒット商品になっています。
☆株式会社ネクイノ
婦人科特化型オンライン診察プラットフォームである「スマルナ」を開発・運営しています。
オンラインで医師が診断し、ひとりひとりにあったピルを提案し処方、郵送でポストに投函されます。
☆株式会社Lily MedTech
乳房用超音波画像診断装置の開発を行っています。痛みのない乳房用画像診断装置で、乳がん検診率の向上や早期発見への貢献が期待されています。
☆株式会社F Treatment
卵巣年齢を自宅で測定できる卵巣年齢チェックキットである「F check」を販売しています。F checkは、日本で初となる自宅で測定できる卵巣年齢チェックキットで、厚労省承認の血液検査キットでもあります。妊活・不妊治療のはじめの一歩として役立てることができます。
今後もある?フェムテック補助金とは
フェムテックは、女性の社会進出を助ける役割も持つため、政府としてもフェムテックを推進していこうと考えています。そのため、フェムテックの事業を推進する企業に対し、補助金を出していました。
令和3年度のフェムテック補助金は締め切られましたが、今後も同じような補助金が導入されることも十分に考えられます。そこでここでは、令和3年度のフェムテック補助金について見ていきましょう。
フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金とは
令和3年度のフェムテック補助金は、正式名称を令和3年度「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」といいます。この補助金は、フェムテックを活用して、働く女性の健康をサポートし、女性が継続して働くことを支えるための仕組み作りを応援するために、設けられた補助金です。
具体的には、働く女性が妊娠や出産、更年期障害などにより離職することを防ぎ、企業の人材の多様性を図ることを目的としています。
補助金の対象は、フェムテックの提供企業、ファムテックを導入しようと考える企業、医療機関、自治体などで、フェムテックを活用したサポートサービスを届ける実証事業を行うことが条件です。令和3年度フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金の内容は、次の通りです。
【令和3年度フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金】
・目的
フェムテック関連の実証事業費の一部を補助
・対象
フェムテックなどの製品・サービスを活用し、フェムテックを提供、導入する企業、医療機関、自治体など
・補助する事業者数
全国で20件程度
・補助率
各事業に対し事業費の3分の2以内(上限500万円)
・公募期間
2021年4月28日から5月28日まで
・審査結果
応募総数81事業中20事業の採択が決定
今回の補助金はフェムテックへの補助金の実証も兼ねているため、効果があると判断された場合や、これからのフェムテックの注目拡大などにより、今後も同様の補助金が導入される可能性もあります。今後の補助金の動きも注目しましょう。
フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金に採択された事業例
ここからは、どのような事業がフェムテック等サポートサービス実証事業費補助金に採択されたのかを見ていきましょう。
☆シャープ株式会社
生理用品の計量管理による生理周期の把握、データを活用した健康課題の解決。
☆丸紅株式会社
健康課題改善プラットフォーム事業。女性社員が入社からリタイアまでいきいきと働ける環境の実現を目指す。
☆株式会社ファミワン
自治体と連携し、妊活・不妊治療の当事者向けサポートやそれらを妊活・不妊治療の当事者向けサポート。
☆株式会社TRULY
渋谷区における更年期ケアの重要性を可視化し、社会へ啓蒙。今後も自治体連携を目指す。
☆株式会社ジョコネ
働いている更年期女性が、離職などでキャリアをあきらめないためのヘルスリテラシー向上の相談窓口事業。
☆社会医療法人博愛会 相良病院
法人向けオンライン女性健康相談サービスの実証事業。
ここで挙げた例は、採択された事業全体の一部ですが、大手企業から医療機関までさまざまな企業や事業が採択されていることがわかります。
このことからも、日本でもフェムテックの市場が、今後ますます拡大していくことがわかります。これからも、フェムテック市場に参入する企業は増えるでしょう。
まとめ
フェムテック(Femtech)とは「Female(女性)」と「Technology(技術)」を組み合わせて作られた言葉です。テクノロジーの活用により、女性特有の問題(性や健康など)の解決を目指します。
世界で市場が拡大していますが、日本でも政府の補助金が設けられるなど、市場の拡大が見込まれる分野です。新たなビジネスチャンスを探している企業にとっては、注目すべき分野といえるでしょう。
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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