知らなきゃ損!間違えやすい還付申告のポイントを簡単解説!
還付申告とは、払い過ぎた所得税が還付金として戻ってくる確定申告のことです。しかし、所得や税額から控除できる項目は様々であり、申告納税額を計算するのは煩雑で、間違えやすいものも多々あります。本記事では、還付申告の基礎知識から、よくある間違いやすいポイントを解説します。
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過払いの税金を取り戻す「還付申告」どんなケースで利用できる?【3分かんたん確定申告・税金チャンネル】,3分でわかる税金
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「還付申告」についての基礎知識
「還付申告」とは何か?
確定申告のなかでも、払い過ぎた所得税が還付金として戻ってくる申告を還付申告と呼びます。
確定申告書を作成した結果、計算した「申告納税額」がマイナスであれば還付金として戻り、プラスなら税金を納めなくてはいけません。
「還付申告」となる前提条件は「所得税が引かれていること」
給与所得や年金(雑所得)がある方のなかには、多額の医療費や寄付金があれば確定申告で必ず「還付申告」になると誤解している方もいるのではないでしょうか。
給与や年金、退職金等については原則として所得税の源泉徴収が義務付けられています。
しかし、扶養親族の控除や基礎控除など各種控除額を収入金額から差し引いた結果、源泉徴収される税額が「0円」となるケースがあります。
このような場合、その後の確定申告でいくら控除額を増やしたところで、もともと所得税が引かれていませんので還付される所得税は「0円」のままです。
還付申告は「所得税が引かれていること」が前提条件であり、引かれている金額を上限として税金が戻ってくる、という制度なのです。
「還付申告」はいつからできる?
通常、確定申告は翌年の2月15日から3月15日の期間に申告しますが、「還付申告」については翌年の1月1日以降であればいつでも申告できます。
医療費領収書の集計やふるさと納税の寄付金控除証明書を入手する等、準備が整えばすぐにでも手続きが可能です。
5年間さかのぼって還付を受けることができる!
還付申告は過去にさかのぼって手続きできます。
「数年前に多額の医療費を支払ったことを忘れて確定申告をしなかった…」
「社会保険料控除を受けないまま確定申告書を提出してしまった…」
など、過年度の税金を正しく計算した結果、所得税が戻るのが確実であれば「その年の翌年1月1日から5年間」さかのぼって還付を受けられます。
なお、5年を経過してしまうと税金を納め過ぎたまま権利が消滅してしまいますので、心当たりのある方は今一度、控除の忘れがないか確認してみましょう。
還付申告となるのはどんなとき?
還付申告となる主なケース
還付申告となる主なケースは下記のとおりです。
- サラリーマンの方が会社で年末調整をした結果、所得税を徴収されている
- 事業を営んでいる方のうち「報酬・料金」から源泉徴収されている
- 年金受給者の方で年金から所得税を源泉徴収されている
これらの所得がある方のうち、
- 医療費控除
- 入居1年目の住宅借入金等特別控除
- 雑損控除
などがある場合には、所得や税額から控除できる金額が増加しますので、税金が還付される可能性が多くあります。
また、サラリーマンの方が年末調整をする際会社に提出するのを忘れてしまった生命保険料控除証明書や社会保険料控除も、この還付申告で控除できます。
扶養親族の付け替えも還付申告の対象
上記のケース以外にも「扶養親族の付け替え」も還付申告の対象となります。
例えば、家族であるAとBが所得税を源泉徴収されていたとき、Aに付けていた扶養親族をBに付け替えることにより、家族トータルでみると税額が少なくなるケースです。
このような場合には、Bが扶養親族を付け替えて確定申告すれば「還付申告」となります。
ただし、扶養親族を外したAも確定申告が必要となりますので注意して下さい。
還付申告で間違えやすいポイント
扶養親族の付け替えは「一方が確定申告書を提出してしまった後では不可」
扶養の付け替えによる還付申告で間違えやすいのは「一方が確定申告書を提出してしまった後では認められない」という点です。
【認められる場合】
・A、Bともに年末調整により源泉徴収されていて、扶養親族を付け替えればA、Bトータルの税額が安くなるため、A、Bともに扶養親族を付け替えたうえで確定申告書を提出した。
【認められない場合】
・Aは扶養親族を付けて年末調整、Bは確定申告書を提出したが、その後、Aに付けていた扶養親族をBに付け替えれば税額が安くなるため、Bに扶養親族を付けた確定申告書を再提出した。
前述したとおり、扶養親族の付け替えをするためにはA、Bともに確定申告をする必要がありますが、Bは既に確定申告書を提出していますので再提出は認められません。
仮にBが確定申告書を再度提出するとこれは「修正申告」となるのですが、扶養親族の付け替え要件にこの「修正申告」は含まれていないからです。
年末調整で一旦付けてしまった扶養親族を確定申告で付け替えること自体は可能です。年末調整が終わってしまった場合でも、親族間で扶養を付け替えた場合に最も税額が安くなるパターンのシミュレーションをすることをおすすめします。
医療費控除でありがちな「10万円」のワナ
「医療費は10万円を超えないと控除できない」という誤解もよくあります。
ではこの「10万円」という金額はどこからきているか?
医療費控除の計算式は以下のとおりです。
支払った医療費-保険金(給付補填金)-「総所得金額×5%」(10万円を上限)
つまり「10万円」とは、支払った医療費から差し引きする金額の「上限額」なのです。
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
例えば総所得金額が200万円であった場合、差し引きする金額は200万円×5%=10万円となります。
もし総所得金額が200万円未満であれば差し引きする金額も10万円未満となりますので、「差し引きする金額が減る=医療費控除額が増える」こととなります。
総所得金額が少なければ少ないほど控除額は大きくなりますので、「今年の医療費は10万円を超えなかったから控除できない」と諦める前に、確定申告書を作成して総所得金額を求め、医療費控除額の計算をしてみましょう。
サラリーマンと「ふるさと納税」
思い入れのある自治体や寄付の返礼品が魅力的な自治体など、自分が応援したい自治体に対して寄付をする「ふるさと納税」。自治体からの返礼品をもらえ、なおかつ確定申告をすれば寄附金控除も受けられる、というお得な制度であるため、利用している方も多いのではないでしょうか。
「ふるさと納税」制度ではその寄付金額に応じて一定の計算※により、原則、所得税と翌年の住民税が安くなります。
ふるさと納税ポータルサイト:「ふるぽ」
2019年6月以降のふるさと納税に注意
2019年6月以降、ふるさと納税(寄附)は、対象となる都道府県・市区町村が総務大臣の指定制となりました。
指定外の自治体への寄附は、ふるさと納税制度の対象外になりますので注意が必要です。
ふるさと納税ワンストップ特例制度
ふるさと納税による寄付金控除は原則として「確定申告」をしなければならず、所得税の納税を年末調整で完結させているサラリーマンにとっては、あえて確定申告をしてまで還付を受けるのは少し面倒だと感じるかもしれません。
そんな方におすすめしたいのが「ふるさと納税ワンストップ特例制度」です。
ふるさと納税ワンストップ特例制度とは、上記のように、確定申告をする必要のないサラリーマンがふるさと納税を利用しやすいように設けられた制度で、下記の要件を満たせば還付申告(確定申告)が不要になります。
- もともと確定申告をする必要がない給与所得者等であること
個人事業主の方、医療費控除を受けるなど、確定申告が必要な方は対象外です。 - 寄附した自治体が5ヶ所以内であること
ふるさと納税を行った自治体が5ヶ所を超えると確定申告が必要です。同じ自治体に複数回の寄附は1ヶ所としてカウントします。 - ワンストップ特例申請書を提出していること
ふるさと納税を行った自治体に「寄付金税額控除に係わる申告特例申請書」を郵送で提出する必要があります。
返礼品も課税対象になる
ふるさと納税でもらった返礼品は一時所得に該当し、所得税および住民税の課税対象となります。
品物のため、時価もしくはいくら相当などの書類が同封されている場合はその金額を一時所得とします。
しかし、一時所得は50万円の控除があり、課税されるのは「50万円を超える返礼品をもらった」「返礼品以外の一時所得が多額にあった(生命保険の満期払戻金などをもらったなど)」
のケースに限られます。
まとめ
以上のように還付申告は、確定申告書を提出しない限り、過払い分の税金は戻ってきません。税務署職員や公的機関の人間を装い「税金が還付されます」と電話をかけてきたり、ハガキを送ってきたりする「還付金詐欺」による被害が報告されています。これも還付申告の仕組みさえ理解していれば騙されるケースはありません。
また、所得税の各種控除のなかには住宅借入金等特別控除のように、場合によっては税額にして年間数十万円の税額軽減効果があります。控除できそうなものや判断に迷うものが少しでもあれば、最寄りの税務署に相談するなどして、申告漏れによる税金の過払いに十分気をつけましょう。
▼参考URL
- いちばんわかりやすい確定申告の書き方/㈱ダイヤモンド社
Webライター/ライター
フリーランスとして様々な記事を執筆する傍ら、経理代行業なども行う。自身のリアルな経験を活かし、税務ライターとして活動の場を広げ、実務で役立つ生きた税法の解説に努めている。取材を通じて経営者や個人事業主と関わることも多く、経理や税務ほか、SNSを使った情報発信の悩みにも応えている。
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