自動車税は経費で処理できる!処理する際の勘定科目や按分する方法を解説

[取材/文責]松崎ぶっち

自動車を保有していると毎年5月に自動車税の通知書が届きます。税金の支払いを負担に感じる人は多いのではないでしょうか。実はこの自動車税は経費として処理できます。今回は自動車税の勘定科目や按分する場合の処理についてご説明します。

経費で処理できる自動車税の概要

自動車税は一定のルールに従えば経費として処理できます。まずは、経費として処理できる自動車税がどういったものかご説明します。

自動車の所有者が支払う地方税

自動車税は、毎年4月1日 時点で自動車を所有している人が納める地方税です。毎年5月上旬に自動車税についての案内が送付されるため、受け取り次第、期限までに納付することが一般的となっています。
自動車税は一度きりの支払いではなく、自動車を保有している限り毎年支払い続くため、どのような科目で経費計上すべきか正しい認識を持っておく必要があるでしょう。

自動車税の種類

自動車税は、自動車の種類(乗用車・バス・トラックなど)、排気量や積載量、使途(自家用・営業用)などいくつもの観点で分類されます。ただこれらは全て経費の対象となるため、経費計上するにあたって自動車税の細かな部分は意識する必要がありません。
また軽自動車については「軽自動車税」が課され、これも自動車税の一種として取り扱われています。つまり軽自動車を含めすべての自動車税は、経費として処理できる支払いです。

加算金や延滞税は対象外

自動車税など地方税を期日までに納付しないと「加算金・延滞金」が、所得税など国税を納付しないと「加算税・延滞税」が課税されます。ただしこれらは経費に認められません。自動車税の支払いが遅れてしまい加算金や延滞金を支払ったならば、自己負担で処理することとなります。
これらの支払いは自らの過失に基づく支払いであるためです。期日までに納付していれば支払う必要のないものであり、追加で支払う部分まで経費にはなりません。

自動車税を経費で処理する際の勘定科目と注意点

自動車税は、勘定科目に「租税公課」と「車両費」のどちらかを利用します。それぞれを利用するケースと、判断のポイント・注意点についてもご説明します。

租税公課

自動車税のみを経費として処理する場合は、租税公課を利用します。租税公課は国や地方、公共団体などに納めるお金全般を指す言葉であるため、自動車税の支払いに限らず、税金の支払いに適した勘定科目です。
自動車税を租税公課で処理する場合、租税公課の合計額に自動車税以外の税金を含むこともあるはずです。例えば収入印紙の購入などは勘定科目に租税公課を利用するケースが多く、確定申告時には合算した数値が算出されます。税金を処理するという観点では、租税公課を利用することが無難ですが、自動車に全く関係のない支払いと同じ勘定科目で処理する点に注意してください。

車両費

自動車税を含む、車両の維持に関わる支払い全般を処理する場合は、車両費を利用します。自動車税の他にも車検の費用やガソリン代、高速道路の料金などを同じ勘定科目で処理可能です。
勘定科目に車両費を利用すれば、この金額を参照するだけで車両の維持にどれだけのお金が必要となったのか確認できます。税金を含めて車両の維持費を明確にしたいならば、租税公課ではなく車両費で自動車税や関連する支払いをまとめてしまいましょう。

年度ごとに勘定科目の変更はしない

個人事業主は、自動車を一部でもプライベートで使用しているならば、自動車税は全額を経費として処理できません。事業に利用している割合に応じて按分して計上する必要があります。続いては、自動車税の按分とその際に利用する勘定科目をご説明します。

自動車税を按分して経費で処理する方法

個人事業主は、自動車を一部でもプライベートで使用しているならば、自動車税は全額を経費として処理できません。事業に利用している割合に応じて按分して計上する必要があります。続いては、自動車税の按分とその際に利用する勘定科目をご説明します。

事業割合を算出

自動車税を按分して経費に計上するためには、事業割合を算出しなければなりません。事業割合とは、私的な利用と事業での利用のバランスを示す数値です。
自動車税の事業割合を計算する方法に、法的な定めはありません。走行距離や利用時間を用いて算出することが一般的です。客観的な根拠となる数値を用いて、事業割合を算出してください。
例として、走行距離を元に事業割合を算出する方法をご説明します。自動車のメーターと自動車の利用記録で、1年間の走行距離がそれぞれ以下のとおり確認できたとします。

自動車のメーター:20,000km
利用記録:15,000km

1年間の75%を事業に利用した計算となるため、自動車税を按分して75%経費に計上できます。もし自動車税額が40,000円ならば、30,000円を経費として勘定科目に計上できます。

按分と勘案科目

上記の例で挙げた40,000円の自動車税を30,000円と10,000円に按分する際は以下のような仕分けをします。

現金払い

借方 貸方
租税公課(車両費) 30,000円
事業主貸 10,000円
現金 40,000円

銀行振込み

借方 貸方
租税公課(車両費) 30,000円
事業主貸 10,000円
当座預金 40,000円

勘定科目の「事業主貸」は私的に自動車を利用した部分の税金を支払ったことを示すために利用します。自動車税を事業割合に応じて分割して支払うことは不可能であるため、私的に利用した部分を立て替えたものとして仕分けるのが一般的です。クレジットカードや口座残高で支払った場合も、同様に租税公課(車両費)と事業主貸を利用して按分の仕分けをします。

☆ヒント
自動車税は経費として処理できるため、適切に計上して課税所得を抑えるようにしましょう。経費への計上や按分方法、勘定科目に悩んでしまったときは、税金のプロである顧問税理士に相談すると安心です。

【関連記事】:自動車税はキャッシュレスで納税可能!キャッシュレスの納税方法と注意点

まとめ

自動車税を経費で処理する際の勘定科目についてご説明しました。一般的には租税公課か車両費が利用されるため、後から変更することのないように事前によく検討してどちらかを選択しましょう。
また自動車を私的に利用している場合は、経費へ計上する際に按分しなければなりません。事業割合に基づいて按分するため、走行距離や利用時間など客観的に証明できる資料を用いて算出しましょう。
なお自動車税全般を経費として処理できますが、加算金や遅延金は対象外です。納税が遅れてしまった場合のペナルティは自分で負担しなければなりません。

立命館大学卒。
在学中に起業・独立などにあたり会計や各種監査などの法規制に対応するためのシステム導入ベンダーを設立。紆余曲折を経て多くのシステムを経験。
システム導入をされるお客様の起業活動を通じて得た経験、知見を活かし皆さんの気になるポイントを解説します。

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