旧NISAと新NISAを併用するメリット・デメリットとは?切り替えやロールオーバーもあわせて解説
2024年から新NISA制度がスタートしました。旧NISA制度を利用している方の中には「旧NISAと新NISAは併用した方が良い?」「併用するメリット・デメリットは?」と疑問を抱く方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、旧NISAと新NISA制度の違いや切り替え・ロールオーバーについて、併用のメリット・デメリット、注意点を解説していきます。
旧NISAと新NISAを併用するメリット・デメリットとは
旧NISAと新NISAを併用することで、効率的な資産形成が期待できますが総資産におけるリスク資産(元本が保証されていない商品)の割合が増えてしまう点に注意しましょう。
旧NISAと新NISAを併用するメリット
旧NISAと新NISAを併用することで、効率的な資産形成が期待できます。
旧NISAと新NISAの口座にある金融商品は別々に運用が可能です。
旧NISAでつみたてNISAを利用している方は、購入時から20年間は引き続き非課税で運用できます。
つみたてNISAで取引できる金融商品は、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)ですので長く運用することで更なるリターンが期待できます。
一般NISAは、非課税期間が終了した金融商品については2024年以降ロールオーバーが不可となります。
非課税期間が終了していない金融商品は運用ができますので、期間満了まで売却益(キャピタルゲイン)もしくは配当金などによるインカムゲインに対して税金がかかりません。
旧NISAと新NISAを併用するデメリット
旧NISAと新NISAを併用するデメリットや注意点は、以下のとおりです。
● いNISA口座は「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算および繰越控除」が適用されな
◆ 旧NISAの出口戦略が難しい
◆ 余剰資金ではないお金を投資してしまう
旧NISAと新NISAを併用することで、人によっては「旧NISAをどうやって取り扱えば良いのか分からない」「新旧NISA口座で同じ金融商品を持っているので、混乱する」など困惑してしまう方もいらっしゃるでしょう。
特に、旧NISAで一般NISAを選んだ場合は取り扱いに注意が必要です。
旧NISAにおける一般NISAの金融商品は、これまで5年間の非課税保有期間を経てロールオーバーが可能でしたが、新NISA導入にあたって非課税期間が終了すると2024年以降はロールオーバーができなくなってしまいました。
金融商品を一般NISA口座から課税口座へ移す場合、取得価格は購入価格ではなく非課税期間終了時の価格になります。
購入してから価格が下がり、非課税期間終了時をむかえると取得価格が低くなってしまい将来的に値上がりし売却した際に課される税金が逆に高くなってしまいますので注意しましょう。
また、年間投資枠が拡充されたため今後NISA口座を中心に投資をするという方が多くなることが予測されますがNISA口座は「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算および繰越控除」が適用できません。
上場株式等に係る譲渡損失の損益通算および繰越控除とは、上場株式・公募投資信託・ETFなどの売却による損失の金額を、確定申告により同一年度の上場株式などの配当金など(上場株式等に係る配当所得については、申告分離課税を選択したものに限る)と損益通算(合算)できる制度です。
同一年度で損益通算しても控除しきれない損失額は、翌年以降3年間にわたり確定申告により、「上場株式等に係る譲渡所得等の金額」および「上場株式等に係る配当所得等の金額」から繰り越して控除ができます。
売却益・配当金などに課税されないことよりも、損益通算や繰り越し控除を重視する方は特定口座もしくは一般口座を利用しましょう。
投資には基本的に余剰資金(しばらく使う予定のないお金)を用いますが、人によっては新NISAで年間投資枠が拡大し余剰資金ではないお金を投資してしまう恐れがあります。
総資産におけるリスク資産(元本が保証されていない商品)の割合が増えることも想定されますので、余剰資金と使う予定のあるお金は必ず区別し計画的に投資を行いましょう。
旧NISAと新NISAの違いとは?切り替えやロールオーバーはどうなる?
旧NISAと新NISAの制度の違い、切り替えやロールオーバーについて解説していきます。
旧NISAの一般NISAと積立NISAは、新NISAで一本化。年間投資額も大幅に拡充
旧NISAと新NISAの違いを見ていきましょう。
一般NISA(旧NISA) | つみたてNISA(旧NISA) | 新NISA | |
---|---|---|---|
概要 | 一般NISA・つみたてNISAのいずれかを選択する | 一本化され、一般NISAは成長投資枠、つみたてNISAはつみたて枠に | |
年間投資枠 | 40万円 | 120万円 | 成長投資枠:240万円 つみたて枠:120万円 |
生涯投資枠 1,800万円 (うち成長投資枠1,200万円) |
|||
非課税保有期間 | 5年間 | 20年間 | 無期限 |
口座開設期間 | 2023年まで | 2023年まで | 恒久化 |
投資対象の金融商品 | 上場株式・投資信託など | 金融庁の基準を満たした投資信託 | 成長投資枠:上場株式・投資信託など つみたて枠:金融庁の基準を満たした投資信託 |
つみたてNISAと一般NISAが一本化され、それぞれつみたて枠と成長投資枠に引き継がれました。利用者は金融商品を購入する際に、成長投資枠とつみたて枠のいずれかを選択します。
非課税保有期間が無期限となり、年間投資枠が大幅に拡充されました。
旧NISAから新NISAにロールオーバーは不可。切り替えは自動的に行われる
旧NISA制度の口座にある金融商品は、新NISAの口座にロールオーバー(移管)できません。
新NISAの口座は、旧NISA口座を開いている金融機関が開設し切り替えが行われますので手続きは不要です。
旧NISAと新NISAを併用する際の注意点
一般NISAで2024年以降に非課税期間が終了した金融商品は、ロールオーバーできない
上でも述べましたが、一般NISAで2024年以降に非課税期間が終了した金融商品は、ロールオーバーができません。
非課税期間終了時には、売却もしくは移管を選択することになります。
目標とする利益を達成している場合は売却することをおすすめしますが、引き続き運用したい方は課税口座に移管しましょう。
一度売却し、新NISA枠で買い直すという選択肢もあります。
つみたてNISAは購入してから最長20年間運用できる
つみたてNISAは購入時から最長20年間運用が可能です。
購入した期間 | 2018~2023年 |
---|---|
非課税期間終了期間 | 2037~2042年 |
つみたてNISAの場合は非課税期間終了までの期間が比較的長く、長期運用に適した商品が対象ですので特別な事情がない限り運用を続けると良いでしょう。
病気や失業などでまとまったお金が必要になった際には、いつでも売却が可能です。
旧NISAと新NISAを併用した方が良い人、しない方が良い人
旧NISAと新NISAを併用した方が良い人
旧NISAと新NISAを併用した方が良い人を見ていきましょう。
2.余剰資金がある
3.売却益・配当金などに税金を課されたくない
4.上場株式等に係る譲渡損失の損益通算および繰越控除制度よりも、売却益などが非課税になることを重視する
余剰資金があり、リスク資産を増やしても良いという人は新NISAを活用することで売却益や分配金などに税金が課されません。
ただし投資を始める前に、自身のリスク許容度(どのくらい損失に耐えられるか)か、リスク・リターンやアセットアロケーションなど基礎知識を勉強することをおすすめします。
旧NISAと新NISAを併用しない方が良い人
余剰資金が無い(または少ない)人は投資を控えた方が良いでしょう。
また、上場株式等に係る譲渡損失の損益通算および繰越控除制度を利用したい人は、一般口座もしくは特定口座を利用し一定の要件を満たすと損益通算や繰り越し控除が適用されます。
まとめ
旧NISAと新NISAの制度の違いや併用の注意点を知り、今後の参考にしていきましょう。
Webライター/ライター
フリーランスとして様々な記事を執筆する傍ら、経理代行業なども行う。自身のリアルな経験を活かし、税務ライターとして活動の場を広げ、実務で役立つ生きた税法の解説に努めている。取材を通じて経営者や個人事業主と関わることも多く、経理や税務ほか、SNSを使った情報発信の悩みにも応えている。
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