ロボアドバイザー投資とは?メリット・デメリットを解説

[取材/文責]田中あさみ

ロボアドバイザー投資とは、AI(人工知能)を活用し、投資の助言をする、投資家に代わって資産運用を行うサービスです。個人のリスク許容度に応じたポートフォリオのアドバイスを貰う「アドバイザー型」もあります。本記事では、ロボアドバイザー投資の概要と投資信託との比較、メリット・デメリット、注意点を解説いたします。

ロボアドバイザー投資とは

ロボアドバイザーにはアドバイス型と投資一任型がある

ロボアドバイザーには大きく分けてアドバイス型と投資一任型があります。
アドバイス型は年齢・投資の経験・損失が生じたときの対応などの質問に答えることで回答者のリスク許容度(損失を受け入れられる度合い)や性格、運用の考えなどを基にポートフォリオ(資産の組み合わせ)を提案します。
多くの証券会社では無料で公開しており、中には将来の運用結果を予測するものもあります。

一方で、投資一任型は資産運用をロボアドバイザーにすべて任せることができます。手数料がかかりますが、定期的に資産の組み合わせを見直す「リバランス」も可能となります。

証券会社の中には投資信託の中から適した商品を提案するタイプ、現在保有している投資信託を見直すタイプのロボアドバイザーも存在します。

ロボアドバイザー投資と投資信託との比較

ロボアドバイザー投資はロボアドバイザーに投資を任せる又はアドバイスをもらうという、「投資の方法」を指します。

一方、投資信託とは多くの投資家から集めた資金をプロの投資家が株式・債券などに投資し利益を還元する仕組みの「金融商品」です。
ロボアドバイザー投資と投資信託は、第一に「投資の方法」と「金融商品」という違いがあります。
投資信託にはインデックスファンドという特定の指数(日経平均株価など)と同じ値動きを目指す商品と、プロが投資先を選定・運用し、高いリターンを目指すアクティブファンドがあります。さらに、国内外の株式や債券、REIT(不動産投資信託)などに分散投資をするバランスファンドという商品も存在します。

ロボアドバイザー投資と投資信託のコスト・投資の手順、最低購入金額などを比較すると以下のとおりです。

ロボアドバイザー投資 投資信託
運用コスト(手数料) アドバイス型:無料
投資一任型:0.7~1.1%程度
※運用結果に応じて成果報酬を支払う商品もある
0.0938~3.41%程度
ファンドによって異なる
アクティブファンド・バランスファンドはインデックスファンドより手数料が高い傾向がある
投資の手順 アドバイス型:アドバイスをもらったポートフォリオで運用する
投資一任型:全て任せる
自分で投資信託を選び、運用する
最低購入金額 1000円~
証券会社によって異なる
100円~
証券会社によって異なる
向いている人 初心者に向いている インデックスファンドは初心者にも適している商品がある

ロボアドバイザー投資のメリット

ロボアドバイザー投資のメリットは主に以下の5つとなります。

  • 長期・分散・積立投資の商品が多い
  • アドバイザー型:自身に合ったポートフォリオを提案してくれる
  • 投資一任型:リバランスが自動的に行われる
  • 投資一任型:初心者でも運用できる
  • 投資一任型:市場の動きや感情に左右されずに投資できる

長期・分散・積立投資の商品が多い

ロボアドバイザー投資は長期・分散・積立投資の商品が多いです。
長期に渡って地域と時間を分散して金融商品を積立で購入することで、リスクをおさえながら世界経済成長のリターンを得られる可能性があります。
長期・分散・積立投資は金融庁の「つみたてNISA早わかりガイドブック」にも効果の高さが記載されています。

アドバイザー型:自身に合ったポートフォリオを提案してくれる

アドバイザー型は多くの証券会社のホームページにて無料で利用でき、自身のリスク許容度に沿ったポートフォリオを提案してもらえます。

質問によってリスク許容度が低いとAIに判断された場合、国内・先進国中心の債券の比率が高いポートフォリオが表示されます。
高いリスクを許容できると判断された方は、新興国株式・先進国株式・海外REITなどから構成される「攻め」のポートフォリオが提案されるでしょう。

投資一任型:リバランスが自動的に行われる、初心者でも運用できる、市場の動きや感情に左右されずに投資できる

投資一任型はポートフォリオのバランスを定期的に自動で見直し(リバランス)されます。
金融商品は投資先のエリアや商品の種類によってリスクが異なります。
例えば国内の金融商品はリスクが低く、海外では新興国の金融商品はリスクが高い傾向があります。

商品の種類では債券は低リスク・低リターン、株式は高リスク・高リターンと言われています。投資信託は商品によって異なりますが、インデックスファンドは低リスク・低リターン、アクティブファンドは比較的高リスク・高リターンのものが多いです。

よって複数の金融商品を一定の比率で組み合わせることで、リスクの分散が可能です。
ロボアドバイザー投資では、上記のような金融商品や投資先の地域の組み合わせの比率が自動的に調整されます。

バランス型の投資信託でもリバランスは自動的に行われますが、自分で投資信託を選ぶ必要があります。

投資一任型のロボアドバイザーは投資の知識が無い方でも資産運用が可能で、投資の勉強をする、日々の値動きをチェックするなどの手間や時間を省くこともできます。

また資産運用中は市場の値動きが気になり、一喜一憂してしまう方は少なくありません。
中には下落に耐えられず、長期で運用するべき金融商品を損切りしてしまう投資家も存在します。ロボアドバイザー投資の多くはあらかじめ設定した日時に自動で商品を購入するため、感情に左右されずに投資を続けられます。

ロボアドバイザー投資のデメリット

ロボアドバイザー投資には、投資信託と比べコストが高い、短期的に利益を得ることが難しいなどのデメリットがあります。

・投資信託と比較してコストが高い

投資信託の信託報酬(運用コスト)は、0.0938%からとなっており、特にインデックスファンドは信託報酬が低めに設定されています。ロボアドバイザー投資の運用コスト(0.7~1.1%程度)はインデックスファンドと比較すると高めとなっています。

・元本割れのリスクがある

他の金融商品と同様にロボアドバイザー投資にも元本割れのリスクが存在します。
リーマンショックやコロナショックといった世界的な経済危機、不況時には含み損を抱えてしまう可能性があります。

・短期的に利益を得ることが難しい

ロボアドバイザー投資は長期・分散・積立投資タイプが多く、短期的なリターンを得ることは難しいと言えます。
しかし、短期のリターンは投資の経験・知識が豊富なプロでも難しいという現状があります。

・NISAに対応している商品が少ない

2022年9月現在NISA(非課税口座)に対応している商品は「WealthNavi」のみで、NISA・つみたてNISAに対応している金融商品は「らくらく投資」だけとなっています。
ただし、アドバイザー型で提案された商品・ポートフォリオをNISA口座で購入・運用するという方法もあります。

・投資一任型の場合、投資の知識を得ることが難しい

投資一任型のロボアドバイザー投資は、投資の知識・経験を得る機会が少ないというデメリットがあります。よって必然的にロボアドバイザー投資を続け、投資信託より高い手数料を支払い続けなければならないというデメリットが生じます。

ロボアドバイザー投資に関する税制改正や注意点

投資額やコストの確認は必要

投資一任型では運用をすべてお任せできるロボアドバイザー投資ですが、投資額は自身の現在の収入や資産額を考慮し決定する必要があります。また運用期間が長いとコストも高くなりますので、予定する運用期間に応じたコストを試算・把握しておくと良いでしょう。

ロボアドバイザー投資に向いている人・向いていない人

ロボアドバイザー投資に向いている人は、長期に渡り運用をお任せできる人です。
「自身で投資先を考えて運用したい」という方には適していません。また、自身で投資する場合と比較して投資で得られる知識・経験が少ないため「ゆくゆくは自分で運用したい」という方にも不向きでしょう。

税制改正により2022年からロボアドバイザー投資の運用手数料が必要経費に

2021年の税制改正大綱では「源泉徴収選択口座を開設している金融商品取引業者等に支払う投資一任契約の費用を必要経費に算入できる」旨が記載されました。

2021年まではロボアドバイザー投資の運用コストを「経費」と捉える場合、源泉徴収有りの特定口座でも確定申告が必要でした。しかし2022年からは源泉徴収選択口座を開設している証券会社では、運用コストは必要経費として算入されます。
よって「経費」として申告したい方も確定申告は不要となります。

まとめ

ロボアドバイザー投資の概要と投資信託との比較、メリット・デメリット、税制改正や注意点をお伝えしてきました。この記事を参考にロボアドバイザー投資について知り、今後に活かしていきましょう。

大学在学中に2級FP技能士を取得、会社員を経て金融ライターとして独立。金融・投資・税金・各種制度・法律・不動産など難しいことを分かりやすく解説いたします。米国株・ETFなどを中心に資産運用中。CFP(R)の相続・事業承継に科目合格、現在も資格取得に向けて勉強中。

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