【捨てないで】廃止された年金手帳,背景や影響まで徹底解説
公的年金制度の加入者に交付されていた年金手帳が、2022年4月から廃止されています。そこで悩むのが「今手元にある手帳は、捨てていいだろうか」ということではないでしょうか。今回は年金手帳の廃止について、手帳の扱い方も含めて解説します。廃止の背景や影響なども、くわしく見ていきましょう。
年金手帳が廃止!捨てないで持っていよう
現在、年金手帳は廃止されています。手元にある手帳はどのようにしたらいいのでしょうか。まずは年金手帳廃止の概要や、手帳の扱い方について解説します。
年金手帳は廃止され、基礎年金番号通知書が届く
国民年金や厚生年金など、公的年金制度に加入している証明として交付されていたのが年金手帳です。年金手帳の歴史は長く、1974年11月に導入されて以降、年金加入者に交付され続けてきました。この年金手帳が、2022年4月に廃止になっています。年金手帳は「基礎年金番号通知書」に切り替えられました。
基礎年金番号通知書には、基礎年金番号や氏名、生年月日、交付年月日が記載されています。年金手帳が廃止になった2022年以降に公的年金制度に加入した人には、年金手帳ではなく基礎年金番号通知書が届いています。基礎年金番号とは年金の加入記録を管理するための番号で、1人につきひとつの番号です。次の手続きなどに利用します。
- ねんきんネットの申し込み
- 障害・老齢・遺族年金の受給
- 厚生年金保険・共済組合の被保険者資格取得
- 国民年金の被保険者資格取得
- 結婚、引っ越しによる住所や名前の変更
年金手帳は捨てないで!
年金手帳が廃止になったと聞くと、今手元にある手帳を捨てるか、保管しておくべきか悩む人もいるでしょう。結論として、年金手帳は捨てないで保管しておくことをおすすめします。
すでに年金手帳が交付されている人には、基礎年金番号通知書は発送されません。年金手帳が廃止になっても基礎年金番号は変わりませんので、手元においておけば10桁にもなる自分の番号を常に確認できます。いつ基礎年金番号が必要になっても安心です。
また、年金手帳は基礎年金番号を利用するときの証明書類としても活用できます。廃止にはなっていますが、年金手帳は捨てないで大切に保管しておきましょう。
年金手帳が廃止になった理由
ここで、長く交付されていた年金手帳が廃止になった理由をみておきましょう。
年金手帳が廃止された理由に、マイナンバー制度の導入があります。そもそも年金手帳は、公的年金制度の加入状況や納付状況の証明が役割でした。しかし現在、こういった情報の管理はすべてオンラインシステムで管理できるようになっています。マイナンバーと基礎年金番号の紐づけが進み、年金の加入記録や保険料の納付状況もオンラインシステムで把握できます。
手帳の必要性が低下しましたし、業務の効率化やコスト削減の狙いもあり、年金手帳が廃止になったのです。
年金手帳の廃止で何が変わった?
年金手帳が廃止になっている現在ですが、何か影響があるのでしょうか。
現在、マイナンバーを利用した情報連携が進み、年金に関するさまざまな手続きがスムーズになっています。例えば、これまで年金給付の手続きでは課税証明書など添付書類の提出が求められていました。しかし現在は、情報連携によって課税証明書など一部書類が省略できることになっています。市区町村などへの所得等の確認も不要になりましたし、スムーズに手続きが行えるようになりました。
年金手帳を万が一捨ててしまったら?
万が一年金手帳を捨ててしまったら、どのようにすればいいのでしょうか。対処方法を説明します。
年金手帳を捨ててしまったら?申請すると基礎年金番号通知書が届く
もし年金手帳を捨ててしまっても、廃止されている現在、年金手帳は再発行されません。ただし、代わりに基礎年金番号通知書を発行してもらえます。基礎年金番号通知書再交付の手続きは、会社に勤めている場合、勤務先を通じて事務所を管轄する年金事務所で行います。国民年金に加入している場合は、年金事務所やお住まいの市区町村役場で手続きしましょう。
基礎年金番号通知書再交付には「基礎年金番号通知書再交付申請書」と本人確認書類が必要です。再交付申請書は年金事務所の窓口か日本年金機構ホームページで入手してください。勤務先を通さずに手続きする場合、マイナンバーカードもしくはマイナンバーが確認できる書類(通知カードなど)と身元確認書類両方の添付が必要です。
なお、年金を受給している場合は年金証書が基礎年金番号通知書の代わりになります。再交付は必要ありません。年金証書をしっかり保管しておきましょう。
年金手帳を捨ててしまった!すぐに基礎年金番号が知りたいとき
前述したように、年金手帳を捨ててしまっても基礎年金番号通知書を発行してもらえます。しかし、今すぐにでも基礎年金番号が知りたいという人もいるでしょう。ここで、基礎年金番号通知書以外で年金番号を知る方法をいくつか紹介します。以下の方法で基礎年金番号を確認できます。
〇年金証書
年金受給資格を満たすと送られてくるのが年金証書です。年金証書の上部には、基礎年金番号が記載されています。
〇国民年金保険料の納付書
国民年金保険料の納付書にも、基礎年金番号が記載されています。国民年金保険料を現金で支払っている場合に送付されるもので、4月上旬ごろに届きます。
〇国民年金保険料の口座振替額通知書
国民年金保険料を口座振替で納付している場合、4月下旬ごろに口座振替額通知書が届きます。この通知書にも基礎年金番号が記載されていますので、確認が可能です。
〇ねんきん定期便
2016年4月~2017年3月の間に送付されてきた「平成28年度ねんきん定期便」には、基礎年金番号が記載されています。保管してある場合、このねんきん定期便で確認するのも1つです。
〇ねんきんネット
登録してあれば、ねんきんネットでも基礎年金番号を確認できます。ねんきんネットとは、日本年金機構が運営するサービスを指します。パソコンやスマートフォンから、これまでの年金記録や保険料の納付状況、将来受け取れる年金の見込額などさまざまな情報が閲覧可能です。ねんきんネットにログインすれば、基礎年金番号を確認できます。
〇マイナポータル
さまざまな行政手続きをオンライン上で行える総務省のサービスがマイナポータルです。マイナポータルはねんきんネットと紐づけることができますが、紐づけてある場合、基礎年金番号が確認できます。
なお会社勤めの場合、基礎年金番号が会社で管理されています。上記の方法で確認できない場合は会社の総務や人事に相談するのも1つでしょう。検討してみてください。
まとめ
今回は年金手帳の廃止についてみてきました。すでに年金手帳が交付されている人には基礎年金番号通知書は届きませんので、手帳は捨てないで大切に保管しておきましょう。
年金手帳廃止の背景には、マイナンバー制度の導入があります。今後、マイナンバーカードの活用がさらに広がっていくことが予想されます。マイナンバーカードがあれば年金の申請や相談をしたいときによりスムーズですし、身分証の代わりにもなりますので便利です。年金手帳の廃止をきっかけに、カード作成を検討してみるのもいいのではないでしょうか。
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