大阪万博の経済効果は2兆円超え?理由と今後の課題も解説

2025年、大阪で「大阪・関西万博」が開催されます。大きなイベントのときには経済効果が生まれるものですが、今回の万博にもやはり期待が高まります。実際にどのくらいの経済効果が見込まれるか、気になっている人も多いのではないでしょうか。本記事では、大阪万博で予想される経済効果について見ていきます。

大阪万博の経済効果は?

2025年、大阪・関西万博が開催されます。どれほどの経済効果が見込まれるのでしょうか。見ていきましょう。

大阪万博の経済効果は2兆円超え

アジア太平洋研究所の「アジア太平洋と関西~関西経済白書2022」で、大阪万博で見込まれる経済効果が発表されています。白書によると、大阪万博による経済効果は2兆9,182億円に及ぶ(周辺で開催されるイベントも含む)とされています。2兆円を超える経済効果が見込まれているのです。高い経済効果が見込まれている理由を、次章でくわしく説明します。

大阪万博で高い経済効果が見込まれる理由

大阪万博で見込まれている経済効果は高く、2兆円を超えると前述しました。理由として、以下の点があげられます。

・建築物の増加

理由の1つに、建築物の急激な増加があげられます。オリンピックなどでもそうですが、大きなイベントが開催されるときは建設が急増する傾向にあります。建築物が増加することで、たくさんの雇用が生まれるでしょう。雇用の創出によって、大きな経済効果が生まれます。また、建築物が増加すると建材の需要も高まります。経済が大きく動くことになります。

・たくさんの来場者

2025年日本国際博覧会協会が発表した「大阪・関西万博来場者輸送具体方針(アクションプラン)初版」によると、大阪万博の予想来場者はおよそ2,820万人とされています。多くの人が来場すると、交通も活発になります。交通による高い経済効果が見込まれるでしょう。また、遠方から来場する人は宿泊施設や飲食店も利用しますので、宿泊業や飲食業の経済効果も高まります。なお、前回愛知で開催された万博の来場者数はおよそ2,205万人でした。今回はさらに多くの来場者を見込んでいることになります。経済効果への期待が高まります。

・交通の便の改善

大阪万博に向けて、さまざまな交通の便が改善されます。例えば関西空港では第1ターミナルを改修し、国際線エリアのビルの内面積を25%拡大する予定です。2018年度の利用者実績がおよそ2,300万人と発表されていますが、今回の改修で国際線での受け入れ利用者を年間4,000万人に増強します。
また、大阪万博の開催予定地とされている人工島、夢洲周辺では大阪メトロ中央線の延伸も予定されています。
交通の便が改善されることで、人の動きが活発になり経済効果が高まるのではと期待する声も一定数あります。

2025年に開催される大阪万博とは

2025年に開催される大阪・関西万博とは、どのようなイベントなのでしょうか。大阪万博の概要を確認しておきましょう。

そもそも万博とはどんなもの?

万博とは「万国博覧会」の略で、1928年に署名された「国際博覧会条約」で規定された博覧会のことを指します。世界中の科学技術を集め展示したり、各国の事情を紹介する催し物を行ったりすることで国際交流を深めるのが万博の目的です。日本では、過去に以下の万博が開催されました。

1.日本万国博覧会

日程:1970年3月15日~9月13日(183日間)
場所:大阪千里丘陵
テーマ:人類の進歩と調和
来場者数:6,422万人

2.沖縄国際海洋博覧会

日程:1975年7月20日~1976年1月18日(183日間)
場所:沖縄
テーマ:海―その望ましい未来
来場者数:350万人

3.国際科学技術博覧会

日程:1985年3月17日~9月16日(184日間)
場所:筑波研究学園都市
テーマ:人間・住居・環境と科学技術
来場者数:2,033万人

4.国際花と緑の博覧会

日程:1990年4月1日~9月30日(183日間)
場所:大阪鶴見緑地
テーマ:花と緑と生活の係わりを捉え21世紀に向けて潤いのある社会
来場者数:2,312万人

5.2005年日本国際博覧会

日程:2005年3月25日~9月25日(185日間)
場所:愛知県瀬戸市南東部、豊田市、長久手町
テーマ:自然の叡智
来場者数:2,204万9,544人

参考に、いくつか過去の万博の経済効果を見てみましょう。例えば、1970 年大阪の日本万国博覧会、1985年筑波の国際科学技術博覧会、2005年愛知の日本国際博覧会の経済効果は以下のとおりです。

日本国際博覧会(愛知) 国際科学技術博覧会(筑波) 日本万国博覧会(大阪)
来場者数 2,204万9,544人 2,033万人 6,422万人
経済効果 7兆7,151億円 4兆2,659億円 4兆9,509億円

2025年に開催される大阪万博の概要

いよいよ、2025年に開催される大阪・関西万博についてくわしく見ていきましょう。大阪万博は、2025年4月13日〜10月13日まで、184日間開催されます。大阪の人工島、夢洲(ゆめしま)を会場とし、シンボルは世界最大級の木造建築物になる「大屋根」です。以下のテーマとサブテーマ、コンセプトのもと開催されます。

テーマ:いのち輝く未来社会のデザイン

サブテーマ:Saving Lives(いのちを救う)
      Empowering Lives(いのちに力を与える)
      Connecting Lives(いのちをつなぐ)
コンセプト:未来社会の実験場

大阪万博の特徴は、未来社会の共創を目指す点にあります。これまでの万博は、最新の科学技術を展示したり披露したりする場でした。しかし今回の万博では展示を見るだけでなく、世界80億人がアイデアを交換し未来社会を共に創っていくという姿勢を大切にしています。
また、国は大阪万博の目的として、「持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献」と「日本の国家戦略Society5.0の実現」を掲げています。

大阪万博の現状の課題は?

大阪万博には、現時点でいくつか課題があります。ここで、大阪万博の課題について説明します。以下の課題があります。

・建設工事の課題

課題の1つ目は、建設工事が成立しないケースが相次いでいることです。資材価格が高騰していたり、万博施設のデザインが複雑であったりすることを背景に、工事がなかなか成立しない状況です。1回目の入札では、成立しない施設が10件もありました。現在、万博を主催する博覧会協会が建物の一部概要を見直しています。また、工事価格を引き上げるなど対策中です。

・誘致の課題

大阪万博には、誘致の課題もあります。民間の「シンクタンク」の調査では、「万博に関心がある」と答えた人は3割程度とされています。「万博に行ってみたい」という来場意向度を高めていく必要があります。官民一体となって広報やプロモーション活動を展開し、認知拡大に取り組んでいくことが求められています。

まとめ

大阪万博の経済効果は、2兆円を超えると見込まれています。過去の愛知で行われた万博をさらに超える来場者数や経済効果が予想されています。一方でいくつか課題があることにも着目しておく必要があります。無事開催され高い経済効果が生まれるのを見守っていきましょう。経済効果を祈願して、大阪万博の目的であるSDGsに貢献するのも良いかもしれません。

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