株高が進行しているのはなぜ?日本経済への影響予測を解説
日本は株高が進行していて、日経平均株価は33,000円を超えた時期もありました。現在は、少々抑えられていますが、それでもバブル崩壊以降の日本経済と比べると、株高の状態が続いています。今回は、日本の株高が進行している理由や、経済に与える影響を解説します。
※記事の内容は2023年8月末時点の情報を元に作成したものであり、現在の内容と異なる場合があります。
なぜ日本で株高が進行しているのか
海外からの資金流入
日本で株高が進行している背景には、海外からの資金流入があります。海外の投資家が、日本企業の株を積極的に購入することで、株価が高まってきている状況です。以前よりも多くの株を購入されるようになり、それが株高に繋がっていると理解すれば良いでしょう。
また、一般的に投資家はまとまった市場に投入します。そのため、投資家が参入してくると株価は大きく変動しがちです。現在、日本には海外から多くの投資家が参入していて、これが株高の大きな要因になっています。
投資先の変化
社会情勢の変化から、投資先にも変化があり日本市場が選ばれやすくなっています。例えば、中国市場は不動産業界が不安定になっているなど、市場全体に不安な要素があるなどです。
ただ、見方を変えるとこのような投資は「消極的な理由による投資」です。他に投資する先がないため、比較的安心できる日本が選ばれているといえます。つまり、日本以外に魅力的な市場が存在するならば、投資先が変化してしまい株高が解消されてしまうかもしれません。
日本経済への期待
上記では、消極的な理由による株高について解説しました。ただ、実際は日本市場に期待する積極的な理由でも投資されています。このような投資によっても、株高が続いている状況です。
例えば、新型コロナウイルスの取り扱いが変化しインバウンド需要が高まったことで、これに関連する業界が期待されています。観光業は大きなダメージを受けていましたが、それが反発したことで大きく株価を伸ばしている状況です。また、半導体などの供給制限が緩和されたことで、工業製品の生産が加速してこれらの株価も高まっています。
日本経済への期待が高まれば高まるほど、海外からの資金流入が期待できるでしょう。消極的な理由により株高が進んでいるという考え方もありますが、期待によって株高が進んでいる可能性も十分にあります。
株高が日本経済へ与える影響
投資家は恩恵を受けやすい
株高が続くことによって、投資家は多くの恩恵を受けていると考えられます。例えば、保有している株式の価格が上昇することによって、含み益が増加することがあるでしょう。売却することで、多くの現金を手に入れることができます。
また、株価の上昇が影響し、株式配当が増加することもあるでしょう。投資家のように、多くの株式を保有していればしているほど、より多くの恩恵を受けられるはずです。
ただ、投資家のすべてが株式投資しているわけではなく、通貨などに投資しているケースもあります。この場合、株高の影響を大きく受けているとは限らず、投資家でも恩恵を受けられていない人がいるはずです。
市場の活性化へつながる
株高であるということは、日本市場に多くのお金が流入していることを意味します。海外からも投資されている状況で、これが続くと日本市場の活性化につながるでしょう。
市場が活性化すれば、それぞれの企業が今まで以上に企業活動へ力を入れると考えられます。例えば、自社の評価額が高まることで注目を浴び、新製品の開発や新しいサービスの提供に着手するなどです。短期間や直接的に恩恵を受けるケースは限られますが、長い目で見ると日本経済へ大きくプラスの影響を与えます。
年金の運用にもプラス
国民年金は、納付された金額を再分配するだけではなく、資産運用して再分配する仕組みです。株式など複数の金融商品に投資して、常に運用されています。
株式などに投資しているため、株高になると国民年金の運用に良い影響を与えるはずです。保有している資産の評価額が高まるため、年金を安定して支給しやすくなるでしょう。年金の支給については、資産不足が懸念されることはありますが、株高で運用に成功すれば、状況が改善されるかもしれません。
なお、実際に「年金積立金管理運用独立行政法人」の資料を参照すると、2023年度第1四半期の収益率は9.49パーセントのプラスと示されています。ここ数ヶ月は株高が続いているため、年金の運用でもその影響を受けていると考えて良いでしょう。
株高は個人の生活へ影響を与えるのか
個人への直接的な影響は少ない
株高は、投資家を中心に日本経済へ影響を与えています。また、市場が活性化されることで、企業間の競争などにも期待できる状況です。
ただ、個人への影響に注目してみると、直接的な影響は限定的だと考えられます。例えば、株価は上昇していますが実際に株式を保有している個人は一部です。個人投資家でない限り、株式を保有しているケースが少ないため株高の恩恵を大きくは受けられません。
なお、投資信託を保有しているなど、客観的に株式へ投資している人もいるでしょう。「自分は株高の恩恵を受けない」と考えていても、実は大きな影響を受けている可能性はあります。
中長期的な社会への還元に期待
特に株式を保有していない個人は、社会への還元に期待しましょう。例えば、上記のとおり企業が新製品や新サービスを開発すれば、何かしらの恩恵を受けられる可能性があります。品質の高いものが手に入ったり、今までより安くサービスを受けられたりするでしょう。
ただ、このような還元は一朝一夕で実現できるものではありません。中長期的な企業の取り組みであるため、ある程度は待機することが求められます。社会へ還元される頃には、株高が落ち着いている可能性もあるぐらいです。
株高が継続する期間は未知数であることに注意すべき
現在の日本は株高であり、株式市場は魅力的な状況が続いています。ただ、このような状況がいつまで続くかは誰にも分かりません。極論ですが、明日にでも状況は大きく変化してしまうかもしれません。
そのため、株高を活かした取引などにチャレンジしたいならば、できるだけ多くの情報を収集することが大切です。株価は国内外のさまざまな要因によって変化するため、これらをいち早く把握しなければなりません。日本の株価に影響する出来事があれば、それを踏まえた行動が求められます。
とはいえ、どれだけ情報を集めていても、株価の変化を完璧に把握したり予想したりすることは不可能です。株高で株式市場は魅力的ですが、取引には一定のリスクがあるため、参入したいと考えている場合はその点をよく理解しましょう。
まとめ
日本市場で株高が続いている状況について解説しました。日経平均株価は継続的に株高の状態続いていて、非常に活発な状況です。海外の投資家が日本へ参入している状況であり、その背景には多くの理由があります。
ただ、現時点では株高が魅力的ですが、この状況がいつまで続くかは未知数です。何かしらの要因によって、株価が暴落する可能性はあります。株価の増減を予想することは不可能で、その影響も計り知れません。
そのため、株高に関連して株取引したい人などは、リスクについて正しく理解することが大切です。「株高が続いているから儲かる」などと短絡的な考えを持っていると、資産運用に失敗するかもしれません。
立命館大学卒。
在学中に起業・独立などにあたり会計や各種監査などの法規制に対応するためのシステム導入ベンダーを設立。紆余曲折を経て多くのシステムを経験。
システム導入をされるお客様の起業活動を通じて得た経験、知見を活かし皆さんの気になるポイントを解説します。
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