2022年の税収は過去最高額を更新!,過去の税収推移や増加した理由を解説
2022年の税収が過去最高を更新したとの報道がありましたが、「なぜ税収が増えているのか?」と疑問に感じた方もいるのではないでしょうか。
本記事では、2022年の税収について、税収の内訳やこれまでの推移、税収が増えた理由などを解説します。
※記事の内容は2023年8月末時点の情報を元に作成したものであり、現在の内容と異なる場合があります。
2022年の税収額は「71兆円」と過去最高額を更新
2022年の税収は71兆円と過去最高額を更新しました。なお、2022年の税収が過去最高額を更新したことで、3年連続で最高額を更新したことになります。
また、税収が70兆円台になったことは初めてのことで、消費税・所得税・法人税の主要な3税がいずれも大きく増加しています。
さらに、政府は2024年度から、法人税・所得税・たばこ税などを段階的に増税すると発表をしており、国民や企業からは「金銭的な負担が増えることで景気が悪化するのでは」と政府の動きに対して不安の声が挙がっています。
2022年度の税収内訳
2022年度における「法人税」「消費税」「所得税」の税収内訳は、以下のとおりです。
2022年度の主な税収額 | 前年比 | 21年度の決算額 | |
---|---|---|---|
法人税 | 14兆9,398億円 | 9.5%増 | 13兆6,248億円 |
消費税 | 23兆793億円 | 5.4%増 | 21兆8,886億円 |
所得税 | 22兆5,217億円 | 5.3%増 | 21兆5,217億円 |
合計 | 60兆5,408億円 | ‐ | 57兆351億円 |
一般会計分合計 | 71兆1,374億円 | 6.1%増 | 67兆379億円 |
参照:国の収入と税 ❘ 国税庁
2022年度の主な税収の内訳を確認してみると、「消費税」や「所得税」が5%ほど前年よりも増加し、「法人税」が10%ほど前年よりも増加していることがわかりました。
また、その他の税収を含めた一般会計分合計の内訳として、相続税や酒税、たばこ税、揮発油税などの税収が含まれています。
2022年以前の税収推移
次に2022年以前の税収推移について見ていきましょう。
これまでの一般会計税収の推移を確認してみると、1991年〜2009年にかけて上下を繰り返しながら下落していることがわかります。しかし、2009年を境に2022年まで税収が上昇しています。
次に、2012年〜2021年までの過去10年の具体的な税収推移を見てみましょう。
年度 | 一般会計税収額 | 前年比(増減) |
---|---|---|
2012年度 | 43.9兆円 | ― |
2013年度 | 47.0兆円 | 7.0%増 |
2014年度 | 54.0兆円 | 14%増 |
2015年度 | 56.3兆円 | 4.2%増 |
2016年度 | 55.5兆円 | 1.5%減 |
2017年度 | 58.8兆円 | 5.9%増 |
2018年度 | 60.4兆円 | 2.7%増 |
2019年度 | 58.4兆円 | 3.4%減 |
2020年度 | 60.8兆円 | 4.1%増 |
2021年度 | 67.0兆円 | 10.1%増 |
2012年~2021年度の税収推移を確認してみると、2016年度と2019年度のみ前年よりも税収が減少していますが、他の年度に関しては前年度と比較して増加していることがわかります。また、2012年の税収額と2021年度の税収額を比べると、23.1兆円増加しています。
税目別の税収推移
税科目別の税収推移は、以下のとおりです。
税科目別の税収推移では、主要税科目である「消費税」「所得税」「法人税」が大きく増加していることがわかります。一方で、それ以外の「その他」にあたる税科目に関しては、2000年から2022年にかけてそれほど変わっていません。
したがって、2022年に税収が過去最高額を更新したことは、消費税・法人税・所得税の増加が大きな影響を与えていると言えるでしょう。
3年連続で税収が増加した3つの理由
前述したように、2022年の税収は71兆円となり、3年連続で過去最高額を更新しました。こちらでは税収額が3年連続で過去最高額を更新した理由を紹介します。
税収が増加した理由は、以下のとおりです。
- 消費税額が増加したから
- コロナ禍で落ち込んでいた経済が正常化したから
- 物価高騰で輸入品の価格が上昇したから
消費税額が増加したから
2020年度から3年連続で税収が増加した背景には、消費税の増税が関係しています。
なぜなら、消費税は2019年の途中に8%から10%に増税しているからです。そのため、消費税の税収額が2020年度から本格的に増加したと言えます。また、先ほど紹介したグラフでも2020年からの消費税における棒グラフが右肩上がりに傾いていることがわかりますよね
なお、消費税が5%から8%に増加した2014年から2015年における棒グラフも大きく変化しています。
コロナ禍で落ち込んでいた経済が正常化したから
コロナワクチンなどの普及により経済活動が活発になりだしたことで、企業の業績が回復し、法人税・所得税の税収が増えたことが税収増加につながっています。
新型コロナは2019年12月ごろに中国の武漢で感染が確認されてから、数カ月の間で世界的に流行し、2019年〜2020年ごろまでの経済活動は世界的にストップしていました。
そのため、2020年ごろの法人税収は一時的に減少しましたが、経済が回復していく中で賃金や雇用が回復し、2021年・2022年と法人税が増加したことがわかります。
また、法人税の増加は、企業の業績好調につながり、株主配当も増えます。その結果、所得税が伸びたことも税収が増加した1つの要因です。
物価高騰で輸入品の価格が上昇したから
税収が3年連続で増加した背景には、世界的な物価高騰による輸入品価格の値上げや、為替市場における円安で関税が増加したことが挙げられます。
他にも、輸入品の物価が上昇したことが消費税収を増加させた要因の1つです。
税収が増えるとどう変化する?
では税収が増えるとどうなるのでしょうか。こちらでは税収が増えると変化することについて紹介します。
税収が増えると変化することは、以下のとおりです。
- 国や自治体の公共サービスが充実する
- 国民負担率が増加する
国や自治体の公共サービスが充実する
税収が増えることで、国や自治体が管理している公共サービスなどが充実します。なぜなら、税収が増えることで、国や自治体の収入が増えるからです。
主な公共サービスには、以下のサービスが挙げられます。
- 図書館
- 公民館
- スポーツ施設
- 学校
- 医療系や介護系など
税収が増えることで、これらの健康施設などが新しく建設されたり、改装されたりとより充実します。また、税収が増えることで、年金・医療・介護などの社会保障関係費や、生活保護・児童手当などの給付費増額などにも期待ができます。
国民負担率が増加する
税率が増加したり新税が導入されたりと税収が増えることで国民の負担率が増加し、日々の生活水準が低下する可能性があります。
例えば、消費税です。税率が5%の時に1,000万円の商品を購入すると支払う税金は50万円ですが、税率が10%の現在では100万円の消費税を支払う必要があります。
他にも、法人税が増加することで経営拡大に投資する費用が下がってしまい、経営拡大に影響を及ぼすかもしれません。その結果、企業側から支払われる賃金が上がらず、出費ばかりが大きくなってしまうでしょう。
まとめ
今回は、2022年の税収についてまとめました。2022年の税収額は、「71兆円」と過去最高額を更新しており、3年連続で最高額を更新した結果となりました。
今後の税収に関しては、海外の経済悪化や資源価格の下落によって商品価格が低下すると、税収が落ち着く可能性があると考えられています。一方で、さらなる景気回復や物価上昇、増税が実施されると、2023年以降も税収が増加するなどの声も挙げられている状態です。
神奈川横浜市を中心に活動しているWebライターの澤田です。2023年3月にFP3級を取得、2023年7月にFP2級を取得しました。新しく身につけた専門知識を活かし、あなたの悩みを解決できるわかりやすい記事を目指しています。
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