【2024年】知って得するマネーカレンダー!今年こそは家計を改善

[取材/文責]増田賢人

2024年は新NISAが開始されたり、新紙幣が発行されたりと、お金に関する制度変更やイベントが多数あります。今年こそ家計改善を成功させたければ、こういった大きな流れを知っておくことは重要です。

本記事では、2024年のマネーカレンダーを月別で紹介していきます。ぜひ家計改善のヒントにしてください。

1月:新NISAが開始

1月から新NISAが始まりました。NISAとは、投資によって得た利益にかかる約20%の税金が免除される仕組みです。資産運用において必須ともいえるほど、メリットの多いものとなっています。

そんなNISAの内容が変わり、適用して投資できる上限金額が多くなりました。他にも、対象の金融商品や投資可能期間なども変更されています。

関連記事:2024年NISAの新制度スタート!現行との違いやメリデメを解説

1月:相続時精算課税が便利に

財産の贈与および相続にかかわる相続時精算課税制度に、年110万円の基礎控除枠が追加されました。この控除の分は、相続人が亡くなったとしても相続財産に加えられないため、相続税がかかりません。

さらに、1月以前は少額の生前贈与であっても、贈与税申告が都度必要でした。しかし、今回の改正で不要になり、より便利な制度となったのです。

2月:確定申告がより簡単に

2月から確定申告をオンライン上でできるe-taxの機能が拡大します。

具体的にはe-taxで勤務先が税務署に源泉徴収票を提出していると、その情報が自動連携されるというものです。確定申告の際に、内容を転記する必要がなくなります。

他にもe-taxには多くの便利な機能があり、スマホで確定申告を済ますことが可能です。

関連記事:スマホで確定申告ができる!スマート申告の申告方法や手順について解説

3月:行政手続きがマイナンバーで楽に

戸籍に関わる行政手続きが、マイナンバーの活用によって楽になります。3月から戸籍データを管理する法務省のシステムと、マイナンバーを連動させることで、行政側が全国の戸籍情報を確認できるようになるのです。

これによって、さまざまな手続きが便利になります。例えば、年金や児童手当の申請をする際、自治体の窓口でマイナンバーを伝えるだけで手続きが完了します。さらに、結婚の届け出や養子縁組、本籍地の変更などを申請する際、紙の戸籍証明書を発行する必要がなくなるのです。

4月:働き方改革関連法による労働時間の上限規制の見直し

4月から働き方改革関連法によって、建設業や自動車運転業、医師業などの残業に、上限が課せられます。

一見、労働者にとって働きやすい環境に変わるように感じますが、実はこの法律によって、実生活が不便になる可能性があるのです。

トラック運転手にも残業時間の上限が課せられる結果、物流業者の収益が悪化します。そして、トラック運転手の収入が低下せざるを得ない状況になり、離職につながるのです。こうして物流が滞ってしまい、配達物の遅延が懸念されています。

このような問題は「2024年問題」といわれており、政府が緊急対策を検討している状況です。

関連記事:迫る物流業界の「2024年問題」 慢性化するドライバー不足に政府が緊急対策を検討

5月:電気料金に対する政府の補助金終了で値上げか

5月以降、電力会社に対する政府の補助金が半分になり、次第に終了していくため、電気料金が上がる可能性が高いです。

現在、政府は家庭向け電気料金に1kWhあたり3.5円の支援をしています。その分、本来の電気料金が安くなっているのです。

今後、原発の再稼働によって電気料金が低下することも考えられますが、引き続き電気の使いすぎには注意したほうがよいでしょう。

6月:税金が定額で減税

令和6年度税制改正大綱が可決したことによって、2024年の税金が定額で減税されます。具体的な減税額は、1人あたり所得税3万円、住民税1万円です。さらに、扶養親族がいれば、その分人数が増えるので、大きな節税効果が見込めます。

ただし、合計所得が年1,805万円の人は対象外です。給与収入だけを得ている方なら、年収2,000万円以上は対象とならないので注意してください。

7月:新紙幣が発行

今まで慣れ親しんできた千円札・五千円札・一万円札のデザインが変わり、新紙幣が発行されます。

肖像となっている人物が変わるだけでなく、偽造防止のために最新のホログラム技術や紙の厚みの変更などが施されます。もし新紙幣を手にした場合、場所によっては利用できない可能性があるので注意してください。

関連記事:2024年上期に発行予定の「新紙幣」 約20年ぶりにデザイン一新

8月:年金の財政検証

2024年は、5年に1度の公的年金の財政検証が行われます。さまざまな経済指標を用いて、財政の健全性を調べます。

検証の結果によっては、保険料や年金額の調整が行われるので、決して一般人に関係のないイベントではありません。

関連記事:2024年4月より年金支給額2.7%引き上げも実質的には目減りに

10月:社会保険の適用範囲が拡大される

10月以降、社会保険の適用範囲が「従業員数101人以上の企業」から「従業員数51人以上の企業」に拡大します。社会保険に加入すれば、将来の年金額が増えたり、傷病手当金や出産手当金のような手当を受けたりできるようになるのが魅力です。

一方、保険料は会社と折半になるため、手取り額が減ってしまいます。自分の勤務先ではどうなるのか、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。

11月:東京証券取引所の取引時間が延長

11月5日から、東京証券取引所の株式の売買時間が15時から15時30分まで延長され、取引時間が1日5時間から5時間30分となります。取引時間の延長を通して、さらなる取引を促し、他国より伸び悩んでいる状況を打開しようと考えているのです。

約70年ぶりの延長となるので、11月付近は値動きが多少大きくなることが推測されます。また、延長の影響で、証券業界の関係者の事務作業や労働時間の増加が見込まれます。

投資を行っている方は、こういった大きなイベントを考慮して、取引タイミングを吟味してください。

12月:iDeCoの拠出上限額が変更される

企業年金にすでに加入している人のiDeCoの拠出上限額が、変更されます。現在、企業年金に加入している会社員や公務員がiDeCoに加入する場合、拠出上限額は1万2,000円か20,000円のどちらかです。しかし、12月以降は一律月2万円に増額されます。

増額によって、拠出できる金額を増やせるメリットを享受できる人がいる一方、月2万円もも拠出できず、iDeCoへの加入を断念する人もいるでしょう。

とはいえ、iDeCoには多くの税制優遇があり、老後の資産形成において非常に役立つ制度です。詳しく知りたい方は下記の記事で詳細をまとめているので、ぜひ参考にしてください。

関連記事:新NISAとiDeCoはどちらを優先すべき?併用のシミュレーションも

まとめ

2024年も私たちの生活に関わるお金のニュースが毎月のようにあります。生活が便利でお得になるものが多い一方、給与の低下や支出の増加につながるものがあるのも事実です。

今後起こるイベントを把握して、家計の改善に役立ててください。

青山学院大学教育人間科学部卒。在学時からFP2級を取得し、お金に関わるジャンルを得意とするライターとして活動。その後、上場企業へ入社し、Webマーケティング担当として従事。現在はお金ジャンルを得意とする専業ライターに転身。「お金の知識は知ってるだけで得する」という経験を幾度もしており、多くの人にお金の基本を身につけてもらいたいと思い執筆を続けている。

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