デジタルカードとは?メリットやクレジットカードとの違いなどFPが解説
昨今、決済のキャッシュレス化が進んでいます。実際に日本経済新聞社が2023年に行った世論調査によると、69%の人がキャッシュレス決済の利用経験があると回答しています。
とはいえ、キャッシュレス決済にもさまざまな種類があり、デジタルカードもそのなかの1つです。
そこで本記事では、デジタルカードとはなにか説明し、メリットやデメリットなどを解説します。さらに、おすすめのデジタルカードも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
デジタルカードとは
デジタルカードとは、専用のスマホアプリ上に発行されるクレジットカードです。アプリ上にカード番号などの情報が表示される仕組みで、それを使って決済することができます。
オンラインショッピングの支払い方法に設定したり、iDやQUICPayなどに登録して実店舗での決済に利用したりできます。また、一括払いだけでなく、あらかじめ設定しておけば分割払いやリボ払いなどでの支払いにも対応できます。
ちなみに、デジタルカードにはカードレス型とハイブリッド型の2種類があります。カードレス型だとプラスチックカード(物理カード)は発行されませんが、ハイブリッド型はデジタルカードとあわせて従来のプラスチックカード(物理カード)も発行されます。
デジタルカードのメリット
デジタルカードを使うメリットは、主に以下のとおりです。
- 即日発行して利用できる
- カード情報や利用状況をスマホのアプリ上ですぐに確認できる
- カード情報を盗まれるリスクが低い
- スマホのアプリからカードをすぐに利用停止できる
- カード本体を失くす心配がない
カード本体を発行しないことによるメリットが複数あるので、それぞれ説明します。
即日発行して利用できる
デジタルカードは、申込みから発行まで即日で完了し、すぐに利用開始できます。カードによっては、申込みから最短10秒で発行されるほどです。
従来のクレジットカードだと、申込みから手元に届くまで1週間ほどかかります。すぐにクレジットカードで買い物をしたい人にとっては、デジタルカードは非常に便利です。
カード情報や利用状況をスマホのアプリ上ですぐに確認できる
デジタルカードなら、カード情報や利用状況をスマホのアプリですぐに確認できて便利です。物理的なカードを使っていて、カード番号やセキュリティコードを確認するために財布からカードをいちいち探した経験はないでしょうか。財布に他のポイントカードなどが入っていると、探すのも少し手間に感じると思います。しかし、デジタルカードならスマホアプリを開くだけでカード情報が見られるので、ネットショッピングなどの決済にすぐに利用することができます。
また、カードの利用金額や利用先などの状況をアプリ上で確認することもできます。無駄な支出をしていないかだったり、覚えのない支出がないかだったりをチェックできます。
カード情報を盗まれるリスクが低い
デジタルカードは、大切なカード情報を盗まれるリスクが低いです。
従来のクレジットカードの場合、決済の際にカード本体を店員に渡すことがあります。その際にカード情報を盗み見られたり、機械で情報を盗み取られたりするリスクがあります。
しかし、デジタルカードはスマホを決済端末にかざすだけで支払いが完了するので、店員がカード情報を盗む機会がありません。デジタルカードなら、カード情報が流出して不正利用されるリスクを最大限抑えられます。
利便性だけでなく、セキュリティ面においても、デジタルカードは優れています。
スマホのアプリからカードをすぐに利用停止できる
デジタルカードはスマホアプリからすぐに利用停止の手続きができるため、不正利用を防ぐことに長けています。従来のクレジットカードを利用している場合、カード会社に連絡しないと利用停止できないのが一般的です。
デジタルカードなら、カード情報が外部にバレてしまった際でもすぐに対処できるので安全性が高いといえます。
カード本体を失くす心配がない
普段からデジタルカードで決済するようにして、物理的なクレジットカードを持ち歩かなければ、カード本体を失くす心配がありません。
カードを持ち歩いていると、外出先で紛失したり、盗難に遭ったりする可能性があります。もしカードを失くして見つからなかった場合、再発行する手間が発生してしまいます。デジタルカードであれば、そのようなリスクがないので安心です。
デジタルカードのデメリット
デジタルカードのデメリットは、以下のとおりです。
- 実店舗では使えないこともある
- スマホとインターネット環境がないと使えない
- 物理的なカードはすぐに届かない
従来のクレジットカードに比べて、利用における制限がいくつかあるので、それぞれ解説します。
実店舗では使えないこともある
デジタルカードは、スマホ決済に対応していないお店だと利用できません。実店舗でデジタルカードを使って決済するときは、QUICPayやiDなどの電子マネーにカードを紐づける必要があるためです。物理的なクレジットカードの読み取りによる決済しかできないお店では、デジタルカードで支払うことができません。
特に町の小さな路面店などでは、まだまだキャッシュレス決済に対応できていないお店が多く、デジタルカードだけでは決済のすべてをまかなえないのが実情です。
スマホとインターネット環境がないと使えない
デジタルカードはスマホとインターネット環境がないと利用できません。デジタルカードで支払うときは、スマホを使ってインターネット上のやりとりで決済を完了させるためです。デジタルカードを利用する場合は、インターネットにつながったスマホを用意しましょう。
なお、Wi-Fiに接続する必要はないので安心してください。
デジタルカードの利用が向いている人
デジタルカードの利用が向いている人は、以下のとおりです。
- スマホで決済をできるだけ完結させたい人
- いますぐクレジットカードを利用したい人
上記に当てはまるなら、デジタルカードを利用することで日々の決済を楽にしつつ、セキュリティリスクも下げられます。
スマホで決済をできるだけ完結させたい人
決済をスマホでできるだけ完結させたい人は、デジタルカードの利用に向いています。
カード番号をすぐにスマホ上で確認できるので、オンラインショッピングの支払い方法に設定するときも非常に楽です。
実店舗での支払いも、スマホ決済やQRコード決済などで済ませられます。QRコード決済で利用する場合は、支払い元にデジタルカードを設定します。
決済をスマホでスマートに済ませたい人は、デジタルカードの利用がおすすめです。
いますぐクレジットカードを利用したい人
クレジットカードをいますぐに使いたい人も、デジタルカードはおすすめです。
デジタルカードは基本的に最短即日で発行でき、カードによってはなんと最短10秒で発行できます。従来のクレジットカードは申込みから手元に届くまで約1週間かかってしまいます。
手元にお金がなくても、すぐに買いたいものがある場合、従来のクレジットカードでは対応できません。しかし、デジタルカードを活用すれば、すぐにクレジットカードを発行して決済することができます。
デジタルカードの申込みから利用までの流れ
デジタルカードの申込みから利用の流れは、主に以下のとおりです。
- 申込んで審査を受ける
- 専用アプリをインストールして初回登録手続きをする
- カード情報を確認して支払いに利用する
申込みから利用までの手続きは、最短当日に完了できます。
申込んで審査を受ける
まずは希望のデジタルカードを選び、公式サイトから申込みましょう。どのデジタルカードを選ぶべきか迷うなら、「【FPが教える】おすすめのデジタルカード4選」でおすすめのものを紹介しているので参考にしてください。
申込みの際は、名前や住所などの基本情報に加えて、年収や勤務先などの返済能力に関わる内容、キャッシング枠やリボ払いなどの設定を入力します。
審査に通る可能性を少しでも上げたければ、キャッシング枠は0円に設定してください。
キャッシング枠を設定すると、カード会社が申込み者の返済能力をより重視して審査するようになってしまいます。
カード作成後にキャッシング枠はつけることができるので、一旦0円にしておくのがおすすめです。
また、審査の結果は最短即日でわかります。問題なく通っていれば、次のステップに進んでください。
専用アプリをインストールして初回登録手続きをする
デジタルカードの審査に通ったら、専用のスマホアプリをインストールして初回登録手続きをしましょう。主に会員IDやログインパスワードなどの登録をします。
初回登録手続きが済んだら、すぐにデジタルカードを利用できるようになります。
カード情報を確認して支払いに利用する
初回登録手続きが完了したら、専用のスマホアプリ内に発行されているカード情報を確認して支払いに利用しましょう。デジタルカードを使った支払い方法は、主に以下の2つがあります。
- オンラインショッピングで利用する方法
- スマホ決済やQRコード決済を通して実店舗で利用する方法
具体的にどのような支払い方法なのか詳しく説明します。
オンラインショッピングで利用する方法
オンラインショッピングの支払い方法に、デジタルカードの情報を登録して利用することができます。
例えば、Amazonや楽天市場での買い物の支払い方法に、デジタルカードを設定するというのが該当します。
支払い方法に設定後は、通常通り買い物するだけです。
スマホ決済やQRコード決済を通して実店舗で利用する方法
QUICpayやiDなどのスマホ決済や楽天ペイやd払いなどのQRコード決済を通して、対応している実店舗での支払いに利用できます。
例えば、デジタルカードがQUICPayに対応していた場合、あらかじめ支払い設定をしておけば、QUICPayに対応しているお店でスマホをかざせば決済が完了します。
また、QRコード決済の楽天ペイの支払い元にデジタルカードを設定したとしましょう。そうすれば実店舗で楽天ペイによる決済が可能です。
このようにスマホ決済やQRコード決済に対応している実店舗なら、デジタルカードでも決済ができます。
【FPが教える】おすすめのデジタルカード4選
おすすめのデジタルカードは以下の4枚です。どのカードも年会費が安いうえ、ポイント還元率や優待なども充実している優秀なカードとなっています。
それぞれのデジタルカードの特長を詳しく説明します。
三井住友カード(NL):コンビニや飲食店での利用でポイント還元率が最大7%
三井住友カード(NL)は年会費が永年無料のうえ、ポイント還元率は0.5%と悪くなく、海外旅行保険もついていて非常にバランスの良いスペックのカードです。
さらに、対象店舗でスマホを使ったタッチ決済をすると、ポイント還元率が最大20%まで上がります。対象店舗はセブンイレブンやローソンなどのコンビニや、ガストやサイゼリヤなどのファミリーレストラン、すき家やマクドナルドなどのファストフード店といった比較的身近な店舗が多いです。
また、デジタルカードが発行されるまでのスピードは非常に早く、申込み完了から最短10秒でカード番号が表示されます。とにかく早くデジタルカードがほしい人にとっては、非常に便利です。
カードスペックにおいて目立って劣っている項目は特にないので、万人におすすめできるカードといえます。
SAISON CARD Digital:ポイントの有効期限がない
SAISON CARD Digitalは、利用金額に応じて貯まるポイントの有効期限がないのが特長です。有効期限内にポイントを使い忘れて、失効してしまうリスクがありません。ポイント数を気にせず長期間貯めていきたい人に向いています。
また、デジタルカードの発行スピードは最短5分と、決して遅くなくて便利です。
ただし、付帯保険がまったくないので、保険をつけたい人は他のカードや民間保険でカバーするとよいでしょう。
貯まるポイントの有効期限を気にしたくない人は、SAISON CARD Digitalが非常におすすめです。
JCBカード W:基本のポイント還元率が1.0%と高い
カード名 | JCBカード W |
---|---|
年会費 | 永年無料 |
ポイント還元率 | 1.0%~10.5% |
発行スピード | 最短5分 |
ETCカード | 〇
※年会費永年無料
|
付帯保険 | 海外旅行:最高2,000万円 ショッピング(海外):最高100万円 |
締め日・支払い日 | 15日締め、10日払い |
優待サービス | ・Amazonやスターバックス、セブンイレブンなどの提携店での利用でポイント最大21倍 |
カードブランド | JCB |
おすすめできる人 | 18~39歳の人 |
詳細 |
JCBカード Wは、通常のJCBカードよりポイント還元率がお得になる18〜39歳限定のクレジットカードです。具体的には通常のJCBカードのポイント還元率は0.5%ですが、JCBカード Wは2倍の1.0%にまで上がります。
また、Amazonやセブンイレブン、ビッグカメラなどの身近なお店がポイント優待店となっており、ポイント還元率が最大21倍と非常にお得です。
デジタルカードは最短5分で発行できるので、発行スピードも申し分ありません。18〜39歳であれば、JCBカード Wを使うのが最もおすすめです。
三井住友カード ゴールド(NL):年間100万円の利用で年会費が永年無料&1万ポイントゲット
三井住友カード ゴールド(NL)は、ゴールドカードにもかかわらず年会費がお得で、ポイント還元率も高いカードです。初年度は年会費が5,500円かかるものの、年間100万円の利用を一度でもすると永年無料になり、年会費が一切発生しません。
さらに、毎年100万円の利用をすれば、特典として1万ポイントが受け取れます。これは言い換えれば、ポイント還元率が+1%されたといえます。つまり、基本のポイント還元率0.5%とあわせて、ポイント還元率が1.5%にまで上がるのです。
三井住友カード ゴールド(NL)は年間100万円以上の利用が見込める人には、非常におすすめできます。年間100万円といっても、さほど大きな金額ではありません。月に換算すると約8.3万円なので、家賃や水道光熱費などの生活費の支払いに使うだけで達成する人も少なくないでしょう。
また、対象のコンビニや飲食店でのスマホ決済に利用すると、ポイント還元率が最大20%にまで上がります。
デジタルカードの発行スピードも一般カードと同様、最短10秒と非常に早いです。
年間100万円以上はクレジットカードで支払いをする人は、三井住友カード ゴールド(NL)一択といえます。
まとめ
デジタルカードがあれば、オンラインショッピングはもちろん、物理的なカードを持たずとも一部の実店舗で決済ができるようになって非常に便利です。まだデジタルカードで決済できない実店舗はよく見かけますが、今後決済できるようになるお店は増えていきます。それに応じて、デジタルカードの利便性はさらに向上していくので、今のうちに作って利用しておくとよいでしょう。
もしどのデジタルカードを作るべきか迷うようなら、「【FPが教える】おすすめのデジタルカード4選」でおすすめのカードを紹介しているので参考にしてください。どれも年会費が安いうえ、ポイント還元率や優待サービスが非常に充実しています。ぜひデジタルカードを活用して、便利で安全にお買い物をしてください。
青山学院大学教育人間科学部卒。在学時からFP2級を取得し、お金に関わるジャンルを得意とするライターとして活動。その後、上場企業へ入社し、Webマーケティング担当として従事。現在はお金ジャンルを得意とする専業ライターに転身。「お金の知識は知ってるだけで得する」という経験を幾度もしており、多くの人にお金の基本を身につけてもらいたいと思い執筆を続けている。
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