【投資】バリュー株・グロース株とは?違い・メリット・デメリットを解説
株式投資について調べるなかで「バリュー株」と「グロース株」の存在を知ったものの、これらの意味や違いがよく理解できない方もいるのではないでしょうか。
この記事では、バリュー株とグロース株それぞれの特徴や違い、メリット・デメリットについてわかりやすく解説します。最後までご覧いただくことで、どちらに投資するのが自身に合っているのかについて、適切な判断を下しやすくなるでしょう。
バリュー株とは株価が割安な株式のこと
まずは、バリュー株のほうから見ていきましょう。
バリュー株は、株価が企業価値よりも割安になっている企業の株式です。
企業価値は利益や資産から算出されますが、タイミングによってはより企業価値があると想定されるにもかかわらず、株式が安くなっているケースがあります。このようなタイミングを狙うことで、株式を適正価格よりも安く買えます。
バリュー株かどうか判断するためには「PER」と「PBR」を見るのが有効です。
PER(株価収益率)とは「株価÷1株あたりの利益(EPS)」のことです。PERの単位は「倍」で示され、数値が低い株価ほど割安です。
例えば株価が1万円で、1株あたりの利益が1,000円の場合、PERは10倍となります。
PERが高いか低いかという基準ですが、これは一概にはいえません。なぜなら、市場や業種などによって基準が異なるためです。
ただし一応の目安として、約15倍を下回るようなら割安とされています。割安であるかどうかより正確に判断したい場合は、興味のある銘柄のPERを過去のものと比べたり、同業他社のPERと比べたりするのが有効です。
一方でPBR(株価純資産倍率)は、株価を1株あたりの純資産(BPS)で割った数値です。PBRは、1を下回る場合は割安とされています。
ちなみに「投資の神様」としてアメリカの投資家「ウォーレン・バフェット氏」は、おもにこのバリュー投資を実施しています。
グロース株とは業績が急成長している企業の株式のこと
続いて、グロース株について解説します。
グロース株は「Growth(成長)」という意味のとおり、売上や利益が急速に伸びており、将来株価が大きく上昇しそうな企業の株式です。おもに業績急拡大企業や、革新的な商品・サービスを提供している企業に多く見られます。
たとえ中小企業や新興企業でも、他社には見られない高度なノウハウや技術、今後ニーズが拡大しそうな商品やサービスを取り扱っている場合は、将来大きな成長が期待できます。
グロース株であるかどうかの判断基準には、おもに以下の3つがあります。
2.利益の成長率
3.ROE
まず売上高の伸び率ですが、こちらは「(当期売上高-前期の売上高)÷前期の売上高」で算出できます。
売上高の伸び率は単年ではなく、3年~5年程度のスパンで見たほうがより正確です。また同業他社と比較し、その企業がどの程度より大きな成長を見せているのか確認することも有効です。
利益の成長率は、上場企業が公開するIR(投資家情報)によって確認できます。仮に現在の損益計算書が赤字であっても、決算短信からわかる赤字の理由や今後の見通しによっては、将来の成長が期待できる可能性もあります。
損益計算書と決算短信については「決算資料とは?種類や・作成目的について・投資家向けにわかりやすく解説」をご覧ください。
そしてROE(株主資本利益率または自己資本利益率)とは、当期純利益を自己資本で割ったもので、単位は「%」で示します。ROEを確認することで、自己資本によってどれだけ効率的に利益を生み出せているのかがわかります。
グロース株かどうかの判断基準としては、ROEが10%を目安とするとよいでしょう。
バリュー株とグロース株の違い
続いて、バリュー株とグロース株の違いについて解説します。
まずバリュー株は、インカムゲインとキャピタルゲイン両方を狙います。インカムゲインは配当益、キャピタルゲインは売却益のことです。
バリュー株は、高配当銘柄が多く存在します。また割安な時期に買うのがバリュー株であるため、値上がりしたタイミングで売却できる機会が増えます。
そしてバリュー株は、比較的ローリスク・ローリターンです。なぜなら安定して配当を得やすく、かつ割安な時期に買うことにより、手元から出る金額を抑えられるためです。
一方でグロース株は、キャピタルゲインに絞って利益を狙います。グロース株はあまり配当を出していませんが、その代わりに業績の急成長によって、株価も急激に上昇する可能性があります。なかには1年で株価が10倍になる銘柄もあり、これを「テンバガー銘柄」と呼びます。
グロース株はこのように大きな利益を出せる可能性がありますが、ボラティリティ(株価の振れ幅)が大きいため、暴落のリスクもあります。場合によっては、1日で株価が数十%下落することもあります。そのため、グロース株は比較的ハイリスク・ハイリターンです。
バリュー株投資のメリット
次は、バリュー株投資の2つのメリットについて解説します。
1.リスクを抑えやすい
バリュー株は、比較的リスクを抑えた投資がしやすいです。なぜなら株価のボラティリティが低く、大幅に価値が下落する可能性は低いためです。
またバリュー株を発行する企業は、そもそも株価に対して企業価値が高いため、今後株価が下落する可能性は低いと考えられます。
2.高い配当利回りを期待できる
バリュー株は、高い配当利回りを期待しやすいです。その理由は、バリュー株は企業価値に対して割安であるゆえ、その分「利益÷株価」の数値も高くなる傾向があるためです。
バリュー株投資のデメリット
続いて、バリュー株投資の2つのデメリットについて解説します。
1.大幅な利益は狙いにくい
バリュー株投資は手堅く利益を狙える一方で、大幅な利益は狙いにくい傾向があります。また短期的に利益を狙うというよりは、中長期的に保有するほうが向いているため、すぐに資産を増やしたいという人には不向きでしょう。
2.割安な理由を見極めないと損失を被るリスクが上がる
株価が割安になっている理由は、必ずしもポジティブなものではありません。例えば成長性が低かったり、業績に何らかの問題を抱えていたりということが原因となっている可能性もあります。
したがって割安な銘柄を見つけた際は、なぜ割安になっているのかを分析し、業界の動向などから将来性を見極めたうえで投資しましょう。
グロース株投資のメリット
次に、グロース株投資の2つのメリットについて解説します。
1.大きな利益を得られるチャンスがある
グロース株投資には、一攫千金のチャンスがあります。企業が長期的に大きく成長することで、株価が10倍や100倍にまで上昇する可能性があるためです。株価が大幅に上昇したタイミングで売却すれば、大きなキャピタルゲインを得られます。
また、短期的に利益を狙うことも可能です。例えば決算内容がよかった場合などは、短期間でも株価が2倍~3倍と大きく上昇する可能性があります。
2.長期投資では短期的な株価の上下を気にしなくて済む
グロース株投資は、長期保有を前提とすることが多いです。なぜなら、企業の成長による利益を狙う投資であるためです。したがって、短期的な価格の上下をあまり気にしなくても問題ないため、精神的なストレスを抱えにくい傾向があります。
グロース株投資のデメリット
続いて、グロース株投資の2つのデメリットについて解説します。
1.株価は割高な傾向がある
グロース株の株価は、比較的割高な傾向があります。なぜなら、投資家からの人気が集中するためです。よってグロース株の購入は、今後のトレンドの動きや、業界の動向などを加味して判断する必要があります。
2.利益獲得までに時間がかかるケースがある
グロース株投資では、長期間保有した後に売却してキャピタルゲインを得ることが多いです。したがって、利益を得られるまでに時間がかかる可能性があります。
まとめ
バリュー株は企業価値に対して割安な株式で、高い配当益が期待できます。一方でグロース株は、今後の企業の成長次第で大きなキャピタルゲインを得られるチャンスがあります。どちらも異なるよさがあるため、より自身に合ったほうを選んでみましょう。
フリーランスライター。学習塾勤務時代のブログ運営を通じてライティングやSEOについて学び、これらのスキルを活かして2021年に独立。専門ジャンルは金融・不動産。保有資格は宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。
新着記事
人気記事ランキング
-
「新型コロナ」10万円給付申請に必要な書類は?~申請・給付早わかり~
-
売上半減の個人事業主に、100万円の現金給付!中小企業も対象の「持続化給付金」を解説します
-
「新型コロナ」対策で、中小企業の家賃を2/3補助へ世帯向けの「住居確保給付金」も対象を拡充
-
「新型コロナ」対策でもらえる10万円の給付金には課税されるのか?高所得者対策は?
-
法人にかかる税金はどれぐらい?法人税の計算方法をわかりやすく解説
-
新型コロナで会社を休んでも傷病手当金がもらえる!傷病手当金の税金とは
-
増税前、駆け込んでも買うべきものあわてなくてもいいものとは?
-
法人が配当金を受け取った場合の処理方法税金や仕訳はどうなる?
-
【2024年最新版】確定申告と年末調整の両方が必要なケースとは?
-
もしも個人事業主がバイトをしたら?副収入がある場合は確定申告が必要