腕時計投資とは?メリット・デメリット、税金について解説!詐欺に注意を

[取材/文責]田中あさみ

ロレックスやオメガなど、高級腕時計の価格が高騰しており、腕時計を購入し売却益を得る「腕時計投資」が注目を集めています。しかし、2024年1月には高級腕時計のシェアリングサービス「トケマッチ」を運営する企業の代表取締役が預かった高級腕時計を持ち逃げし、指名手配されるという事件が起きました。腕時計業界で一体何が起きているのでしょうか?
今回は、腕時計投資の概要とトケマッチ事件、メリット・デメリット、税金や注意点について解説していきます。

※記事の内容は2024年3月18日時点の情報を元に作成したものであり、現在の内容と異なる場合があります。

腕時計投資とは

2021年頃から高級腕時計の価格が高騰し、腕時計投資が注目を集めています。

腕時計投資とは

腕時計投資は、将来的に値上がりしそうな時計を購入し売却価格との差額で利益を得るものです。
投資には資産を保有することで得られる利益「インカムゲイン」と、資産が値上がりし売却価格と購入価格の差で生じる利益「キャピタルゲイン」を得る方法があります。

腕時計投資はキャピタルゲインを目指すものです。
腕時計が好きな方にとっては楽しみながら投資ができる方法として注目を集めています。
2024年1月31日に、腕時計シェアリング事業の「合同会社ネオリバース(サービス名:トケマッチ)」が解散しました。

トケマッチは、ロレックス・オメガなどの高級腕時計を所有する人とレンタルしたい人をマッチングさせるサービスでした。オーナーは腕時計をトケマッチに預託し、預託料をもらいます。ユーザーは月額制で時計をレンタルするシステムです。
しかし、運営会社の元代表取締役などが所有者から預かった腕時計を横領した容疑で、2023年3月18日現在指名手配されています。

トケマッチは腕時計投資の「インカムゲイン」を狙う手法でしたが、オーナー約30人の腕時計約160本(総額4億7,000万円相当)が返還されていない(判明した分のみ)と報道されています。
トケマッチ事件の背景には、腕時計市場の活況と価格の高騰があります。

腕時計市場が活況!2カ月で792万円の値上がりが

一般社団法人日本時計協会が2024年3月14日に発表した「2023年1~12月 日本の時計市場規模(推定)」によると、日本の時計の推定市場規模はウオッチが数量17.1 百万個、実売金額は11,036 億円に上ります。
実売金額は前年と比べ27%上昇しました。

「腕時計投資家」として情報を発信する斉藤由貴生氏のサイト「腕時計投資.com新聞」では、ロレックスの「デイトナ」という高級腕時計が、2022年1~3月の2カ月で792万円値上がりという記事も掲載されています。

腕時計投資のメリット・デメリット

腕時計投資のメリット

腕時計投資は、腕時計が好きな人にとっては趣味と実益を兼ね備えたものというメリットがあります。高級腕時計を眺め(または身につけ)ながら、値上がりによる売却益が期待できます。ただし、腕時計に傷や汚れなどがついてしまうと価値が下がりますので適切な保管が必須です。

また、腕時計を購入して保管しておくだけですので株式や投資信託のように運用コストが必要ありません。
価格の相場はインターネットで情報収集が可能です。

腕時計投資のデメリット

腕時計の投資のデメリットは、他の投資と同様に元本割れの恐れがあることです。
値上がりを期待して購入した腕時計の価格が上がらず、逆に下がってしまった場合は損失が生じてしまいます。
現物(形があるもの)の資産ですので、紛失や盗難のリスクがあります。
他の投資と同様に投資対象(腕時計)の専門知識も必要になるでしょう。

そして株式など従来の投資とは異なり、投資対象の値上がりに対して「何を根拠とすれば良いのか明確ではない」というデメリットもあります。
現在の段階では、ハイリスク・ハイリターンの投資といえるでしょう。

腕時計投資と税金

腕時計を売却し、一定の利益が生じると譲渡所得税が課されます。
基本的に家具、通勤用の自動車など生活に必要な動産(生活用動産)の譲渡による所得は非課税です。しかし、貴金属や宝石、書画などで、1個または1組の価額が30万円を超えるものは生活用動産とはみなされず、譲渡所得税の課税対象です。
投資用の高級腕時計は生活用動産とは言い難く、譲渡所得税が課される可能性が高いです。
なお譲渡所得税は、土地建物・株式などを除く資産を売却した際には、給与所得・事業所得など他の所得と合算し総合課税として計算します。

譲渡所得の計算式
売却価格-取得にかかった費用+売却にかかった費用-50万円(特別控除額)

 

譲渡所得には特別控除があり、売却した年の長期(所有期間が5年超)の譲渡益(売却益)と短期(所有期間が5年以内)の譲渡益の合計額に対して50万円が最高額です。
譲渡益の合計額が50万円以下の際には、譲渡益の金額が控除額となります。

詐欺に注意を!急増する「ロレックス詐欺」とは

冒頭で「トケマッチ」について触れましたが、他にも腕時計投資をめぐる詐欺の事件があります。

近年、高級腕時計ロレックスを利用した「ロレックス詐欺」が急増しています。
ロレックス詐欺の手口としては、SNSに「ロレックスを海外から安値で仕入れた。確実に儲かる」と投稿または広告を出し、コンタクトを取ると「毎月○万の配当金を○年間保証する」と言い数百万円の出資金をだまし取るといったものです。
また買い付けの代行をすると言い、預かった購入代金を持ち逃げする手法もあります。

ロレックス詐欺は、SNSやフリマアプリで話を持ちかけられることが多いという報道がありますので注意しましょう。

まとめ

腕時計の価格が上昇しているため、腕時計投資が注目を集めていますが比較的高リスク・高リターンで、詐欺事件もありますので慎重に検討しましょう。

大学在学中に2級FP技能士を取得、会社員を経て金融ライターとして独立。金融・投資・税金・各種制度・法律・不動産など難しいことを分かりやすく解説いたします。米国株・ETFなどを中心に資産運用中。CFP(R)の相続・事業承継に科目合格、現在も資格取得に向けて勉強中。

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