新型コロナウイルスの休業要請にかかる助成金・協力金について解説

[取材/文責]阿部正仁

新型コロナウイルスに伴う休業要請は事業者にとって死活問題です。売上がダウンする以上、休業補償に対する助成金や協力金が出るのかが知りたいところでしょう。しかし、支給される条件は細かく、最新情報は日々更新されています。そこで、最新情報の入手に役立てるために、助成金・協力金を網羅的に紹介します。

休業にかかる助成金・協力金

新型コロナウイルスにかかる休業協力金

都道府県や市区町村ごとの休業協力金について見ていきましょう。

(1)東京都感染拡大防止協力金

  • 対象:中小企業および個人事業主
  • 支給額:50万円(2事業所以上の事業者は100万円)
  • 要請の内容:休業、営業時間の短縮

(2)北海道の支援金

  • 対象者:事業者
  • 支給額
    • ①休業した場合:法人30万円、個人事業者20万円
    • ②飲食店が酒類の提供時間の短縮(19時まで)した場合(法人個人問わず):10万円
  • 要請の内容:休業、飲食店は酒類の提供時間の短縮

(3)(仮称)宮城県新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金

  • 対象者:中小企業および個人事業主
  • 支給額:30万円
  • 要請の内容:休業、営業時間の短縮

(4)茨城県の協力金

  • 対象者:中小企業および個人事業主
  • 支給額:最大30万円
  • 要請の内容:休業、営業時間の短縮

(5)事業者緊急支援事業臨時給付金~千葉県市川市~

  • 対象者:中小企業および個人事業主
  • 支給額:最大20万円
  • 要請の内容:休業、営業時間の短縮
  • その他の条件:その他感染症拡大防止に対する取り組みに対して支給される
    • ①店舗の消毒、マスクや消毒液の購入
    • ②テレワークの実施
    • ③イベントやセミナーの中止

(6)埼玉県中小企業者支援金

  • 対象者:中小企業および個人事業主
  • 支給額:最大30万円
  • 要請の内容:7割(20日間)以上の休業

(7)新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金~神奈川県~

  • 対象者:中小企業および個人事業主
  • 支給額:最大30万円
  • 要請の内容:休業、営業時間の短縮

(8)休業要請に係る協力金~新潟県~

  • 対象者:中小企業および個人事業主
  • 支給額:最大10万円
  • 要請の内容:休業、営業時間の短縮

(9)石川県新型コロナウイルス感染拡大防止協力金

  • 対象者:中小企業および個人事業主
  • 支給額:法人50万円、個人事業主20万円
  • 要請の内容:休業、営業時間の短縮

(10)新型コロナウイルス感染症拡大防止のための営業自粛要請協力金~静岡県伊豆市~

  • 対象者:宿泊業、飲食業
  • 支給額
    • ①1次支給
      宿泊業者40万円、飲食業者20万円
    • ②2次支給
      宿泊業者:(前年4、5月の月額平均売上×20%(1店舗あたりの上限300万円))-40万円
      飲食業者:(前年4、5月の月額平均売上×50%(1店舗あたりの上限50万円))-20万円
  • 要請の内容:営業の自粛
  • その他の条件:令和2年5月7日に営業再開するなど

(11)湖西市新型コロナウイルス感染症対策協力金~静岡県湖西市~

  • 対象者:中小企業および個人事業主
  • 支給額:50万円
  • 要請の内容:休業、営業時間の短縮

(12)愛知県・市町村新型コロナウイルス感染症対策協力金

  • 対象者:中小企業および個人事業主
  • 支給額:50万円
  • 要請の内容:休業、営業時間の短縮

(13)岐阜県新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金

  • 対象者:中小企業および個人事業主
  • 支給額:50万円
  • 要請の内容:休業、営業時間の短縮

(14)三重県新型コロナウイルス感染症拡大阻止協力金

  • 対象者:中小企業および個人事業主
  • 支給額:50万円
  • 要請の内容:休業、営業時間の短縮

(15)休業要請支援金(仮称)~京都府~

  • 対象者:中小企業および個人事業主
  • 支給額(予定)
    • ①法人:20万円
    • ②個人事業主:10万円

(16)休業要請支援金(府・市町村共同支援金)~大阪府~

  • 対象者:中小企業および個人事業主
  • 支給額
    • ①法人:100万円
    • ②個人事業主:50万円
  • 要請の内容:休業、営業時間の短縮
  • その他の条件:令和2年4月の売上が前年同月と比較して50%以上減少している

(17)経営継続支援事業~兵庫県~

  • 対象者:中小企業および個人事業主
  • 支給額
    • ①法人:100万円(飲食店及び旅館・ホテルは30万円)
    • ②個人事業主:50万円(飲食店及び旅館・ホテルは15万円)
  • 要請の内容:休業、営業時間の短縮
  • その他の条件:令和2年4月の売上が前年同月と比較して50%以上減少している

(18)広島県感染拡大防止協力支援金(仮称)

  • 対象者:中小企業および個人事業主
  • 支給額
    • ①雇用者(従業員)がいる事業者:休業および雇用の維持は最大50万円、営業時間の短縮は最大15万円
    • ②雇用者がいない事業者:休業持は20万円、営業時間の短縮は10万円
  • 要請の内容:休業、営業時間の短縮

(19)新型コロナウイルス感染拡大防止における大川市内の休業店舗に対する協力金~福岡県大川市~

  • 対象者:事業者
  • 支給額:最大20万円
  • 要請の内容:休業

(20)熊本県休業要請協力金(仮称)

  • 対象者:中小企業および個人事業主
  • 支給額:10万円
  • 要請の内容:休業、営業時間の短縮

雇用調整助成金の特例

雇用調整助成金とは、雇用の維持を図るための休業手当を助成する制度です。コロナウイルスの影響を受ける事業主に対して、条件緩和および助成金を増額する特例が設けられました。

休業協力金の対象要件・手続き方法~東京都:感染拡大防止協力金の場合~

感染拡大防止協力金の対象要件

感染拡大防止協力金の対象要件は次のすべてを満たす事業者です。

 

  • 東京都内に事業所がある
  • 中小企業基本法第2条に規定する中小企業および個人事業主(大企業が実質的に経営に参画していない場合に限る)
  • 緊急事態措置を実施する前(令和2年4月10日以前)から、次のいずれかの対象施設に関して必要な許認可などを取得し、運営していること
    • ①休止を要請されている施設
    • ②営業時間短縮の協力を要請されている施設
  • 令和2年4月16日から令和2年5月6日までの全期間において、休業要請により休業や営業時間を短縮していること
  • 申請事業者の代表者、役員、使用人、構成員などが暴力団または暴力団員でないこと
  • 暴力団または暴力団員が経営に事実上参画していないこと

申請手続きの方法と流れ

申請手続きの開始から支給されるまでの流れを説明します。

 

  • ①申請書類を入手する
  • ②申請書類を作成して、令和2年4月22日から令和2年6月15日までの期間に東京都へ提出する
  • ③申請書類の審査後に支給するかどうかが決定される
  • ④事業者に審査結果が通知される
  • ⑤支給対象の対象施設名(屋号等)が東京都感染拡大防止協力金のポータルサイトに掲載される
  • ⑥5月上旬(予定)から支給される

 

なお、申請する前に次の専門家による事前確認をすると、支給までスムーズに運びます。

 

  • 東京都内の青色申告会
  • 税理士
  • 公認会計士
  • 中小企業診断士

宅配・テイクアウトの開始・切り替えを促す制度

休業要請により店内飲食が制限される中、宅配・テイクアウトの新規開始を促す制度が導入されつつあります。

初期費用に対する助成金~東京都~

東京都は中小企業および個人事業主の飲食店に対して、「宅配・テイクアウトの初期費用×5分の4」を最大100万円支給します。初期費用のおもな項目は次の通りです。

 

  • 販売促進費(印刷物制作費など)
  • 車両費(宅配用バイクリース料、台車など)
  • 器具備品費(Wi‐Fi導入費、タブレット端末など)
  • その他(宅配代行サービスにかかる初期登録料、月額使用料、配送手数料など)

デリバリー等の取組支援~福岡県~

福岡県でも中小企業および個人事業主の飲食店に対して、「宅配・テイクアウトの初期費用×4分の3」を最大50万円支給します。

居酒屋でも酒類のテイクアウトができる~料飲店等期限付酒類小売業免許~

料飲店等期限付酒類小売業免許とは、6ヵ月間に限定した酒類小売販売業の免許が迅速に取得できる特例です。国は居酒屋などの料飲店に対して、持ち帰り用の酒類販売を促進し、売上による資金確保を図るのが目的です。小売販売ができる酒類は在庫や既存の仕入先から仕入れた物のみになります。

まとめ

休業にかかる助成金や協力金の情報は日々更新されています。また、新規に支給する地方自治体もあるでしょう。特に休業要請を受けている中小企業および個人事業主は最新情報の入手を心がけるようおすすめします。

TAX(税金)ライター。会計事務所で約10年間の勤務により調査能力を身に付けた結果、企業分析の能力では高い定評を得、法人から直接調査を依頼される実績も持つ。コーチングスキルを活かした取材力で、HP・メディアでは語られない発言を引き出すのが得意。

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