「キャッシュレス・ポイント還元」は6月30日まで店舗向けの「決済端末補助」は延長されました

[取材/文責]マネーイズム編集部

昨年(2019年)10月に実施された消費税の増税と同時に、買い物時の「キャッシュレス・ポイント還元」がスタートしました。対象となる店舗の店先やレジに、赤いマークが表示されている光景も見慣れたものになりましたが、この「特典」も、いよいよ2020年6月30日までとなりました。事業についてあらためておさらいするとともに、関連する最新情報をお届けします。

登録加盟店はおよそ114万店に

「キャッシュレス・ポイント還元事業」は、昨年10月の消費税率引き上げの際、それに伴う需要の平準化対策、要するに消費の落ち込みを防ぐことと、社会のキャッシュレス化の推進を目的に取り組まれてきました。

 

最初に、5月21日に経済産業省から発表された制度の現状について、みておきましょう。ポイント還元が適用される登録加盟店数は、同日時点で114万店に上ります。うち約9割の104万店が、5%還元対象の「個店(中小・小規模事業者)」でした。

 

一方、事業がスタートした2019年10月1日から20年3月2日までの対象決済金額は約6兆5000億円で、還元額は約2690億円でした。対象決済金額に占める決済手段の内訳をみると、クレジットカード約64%、QRコード約7%、その他の電子マネー約29%となっています。

中小店舗での買い物で、5%ないし2%が還元される

ポイント還元のスキームは、次の通りです。

〈条件〉

  • 加盟店登録をした店舗であること:この制度への加盟店登録をした小売り、飲食、サービスなどの中小店舗。大手の百貨店、スーパー、量販店などは対象外
  • 対象商品であること:加盟店で購入しても、換金性の高い切手、商品券、プリペイドカードなどや株式、投資信託などの金融商品、住宅、自動車といったものは対象外
  • キャッシュレス決済であること:クレジットカード、「Suica」「nanaco」などの電子マネー、「Line Pay」「PayPay」などのスマホQRコードが主な決済手段

〈ポイント還元率〉

基本的には5%に設定され、コンビニや外食、ガソリンスタンドなどフランチャイズチェーンの店舗に限って2%還元となっています。同じコンビニ店舗でも、大手企業の直営店に関しては、制度の対象外とされました。

 

導入から8ヵ月経ったこの制度ですが、あらためて計算してみると、額面上は、その“お得さ”が実感できます。還元額の計算のベースになるのは、消費税分を含む「税込み価格」。つまり本体価格1万円の商品を消費税率10%で購入した場合、還元率が5%だったら、1万1,000円×5%=550円分のポイントが付与されるのです(※)。制度がなければ1万1,000円の支払いが必要だった商品が、実質1万450円で手に入ることになります。

 

しかし、消費者にとってありがたいこの制度も、あとわずかの期間で終了となります。折しも新型コロナウイルス感染症の拡大により、自らの「巣ごもり消費」が大きく増えたという方は、少なくないでしょう。そうしたライフスタイルは、緊急事態宣言解除後も維持される可能性があります。日用品や保存のきく食品類などは、この際、無駄にならない範囲で購入しておくことを検討してみるのも、いいかもしれません。

 

なお、ポイント還元の対象になるのは、「2020年6月30日までに決済が行われた買い物」です。付与されたポイントは、制度の期間が過ぎても有効期限まで使えますから、念のため。

 

※大手コンビニ4社は、ポイント還元ではなく、その場で2%を還元する「即時充当」を採用しています。

「新型コロナ」で、登録加盟店への配慮も

このように、消費者の懐に優しいキャッシュレス・ポイント還元ですが、登録する店舗にとっても、割安感で集客できるというメリットがあります。ただし、そのためには、最低限キャッシュレス決済に対応可能な機器類を備えなくてはなりません。この点でも、手厚いフォローがありました。

 

キャッシュレス端末の導入に際しては、そのコストの2/3を国が、カード会社などの決済事業者が1/3を負担します。つまり、事業者はタダで端末機を導入することができたのです。機器類は、制度が終わった後も、そのまま使うことが可能になっています。

 

ただし、この決済端末導入の補助を受けるためには、5月31日までに店舗に設置することが条件です。ところが、降ってわいたような新型コロナの感染拡大により、一部で計画通りに導入できない事態が想定される状況となりました。そこで、「新型コロナの影響で導入が実施できなかった」と証明できる場合には、その期限が6月30日まで延長されることになりました。

 

さらに、経済産業省は、カード会社をはじめとする決済事業者に対して、新型コロナウイルス感染症により影響を受けた加盟店への立替金の入金時期・入金費用などについて、「丁寧かつ親身になって相談に乗るとともに、入金時期の変更等の柔軟かつ適切な対応に努める」ことを要請しています。これに応えるかたちで、複数の決済事業者が、一部月額料金の免除、店の売上支援などに乗り出しているようです。

まとめ

対象の店でキャッシュレスで買い物をすると、税込み価格の5%ないし2%分のポイントがもらえる「キャッシュレス・ポイント還元」は、6月30日決済分まで。最後まで上手に使って、節約に役立てましょう。

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