知らないでは済まされない⁉アフィリエイト収入と税金
本業を上回るほどの稼ぎになる人もいるというアフィリエイト収入ですが、税理の知識がないと税務調査がくることも! お手軽な一方で注意が必要なアフィリエイト収入に関する税金のお話をしたいと思います。
そもそも、アフィリエイト収入とは?
アフィリエイトとは、ブログやホームページなどのウェブサイトの持ち主が、自身のサイトに広告主の広告を掲載し、成果に応じて(サイト訪問者が広告をクリックして、そのまま商品を購入した、など)報酬を得るというものです。必要なのは自らのウェブサイトに広告を掲載し、自分のウェブサイトに人を呼び込んで多くの人が広告を閲覧するようにすることだけですので、誰でも簡単に、そして手軽に始められるのが大きな特徴になっています。そのため副業としてアフィリエイトを始める人も多くいますが、ある程度の収入が得られるようになれば当然税金の問題が出てきます。
確定申告の基礎知識
以下では、アフィリエイトにかかわる範囲内で確定申告について確認していきましょう。
確定申告の対象は?
まず確定申告が必要となるケースは、その年分の所得金額の合計額が所得控除の合計額を超え、さらにその超過分に対して課される税額が配当控除額と年末調整の住宅借入金等特別控除額の合計額を超える場合です。各種所得控除についてはこちらの記事も確認してみてください。ただし、その中でも年収2000万円以下で一か所から給与所得を得ている人に関しては、その給与がすべて源泉徴収されているのであれば、副業(ここではアフィリエイト)の収入が20万円を超えない限り、確定申告の義務はありません。これらの基準に照らせば、例えば専業主婦で所得が38万円以下の人なら、基礎控除の額を超えないため確定申告は不要になります。このように、一定の場合には確定申告の必要がないこともありますので、不安な場合は税務署や税理士に相談してみることをおすすめします。
申告する際の種類は?
アフィリエイトによる所得は、一般的に、
・事業所得(青色申告)
・事業所得(白色申告)
・雑所得
に区分されます。事業所得と雑所得のどちらに区分すべきかの判断は事業の規模などによって変わってきます。安定して継続的な収入がある場合には事業所得を、そうでないときや、税務署に個人事業主開始の届出をしていないときには雑所得を選ぶのが通常ですが、不安であればこの場合もご自身のケースについて税務署や税理士に相談してみるとよいでしょう。青色申告、白色申告というのは税務署に「青色申告承認申請」を提出しているかによって変わります。青色申告は白色申告よりも煩雑な帳簿の記入が必要ですが、その代わり様々な特典を受けることができます。
所得ってどう計算すればいいの?
さて、所得税が課税されるのは「収入(注)」ではなく「所得」なので注意が必要です。「所得」=「収入から必要経費を除いたもの」と考えてください。つまり、必要経費を正しく申告すればその分だけ課税の対象になる金額が減るということです。それでは、アフィリエイトにおける必要経費にはどのようなものがあるのでしょうか。考えられそうなものを下の表にまとめました。必要経費には収入を得るために直接必要となったお金や販売費、一般管理費などが該当しますので、その基準を満たすならばここに載っていないものでも必要経費となり得ます。
名目 | 具体例 |
---|---|
新聞図書費 | 業務に必要な専門書籍や、ウェブサイトの内容に関連する情報誌に費やした費用 |
消耗品費 | 10万円以下のパソコン、デジタルカメラ、プリンター、インクなどに費やした費用 |
交通費 | アフィリエイト勉強会に参加した際の交通費やHP用の写真を撮りに行った際の費用 |
通信費 | インターネット接続料やレンタルサーバーの費用 |
雑費 | 勉強会などへの参加費、成果報酬の振込手数料 |
(注)ここでいう収入には金銭だけでなく、アフィリエイトの場合のように報酬や賃金として金銭の代わりに付与されるポイントなども含まれるので注意してください。
知らずに放っておくと大変なことに……?
さて、アフィリエイト収入に関しても確定申告が必要な場合があることは分かりました。では、それを知らずに放置してしまったとしら、どうなってしまうのでしょうか。
実はこんな罰則が!
申告をしないと…?
所得税法では毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について、翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い、所得税を納付することになっています。しかし、この期限内に申告を行わずに期限後に申告をした場合や、申告をしなかったがために税務署から所得総額の決定を受けた場合には、
1.申告期限から1か月以内に自主的に期限後申告を行っていること
2.期限後申告にかかわる納付すべき金額を法定納期限までに全額納付していること
3.その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、さらに今述べている条件1から3に基づいて無申告加算税が不適用になったことがないこと
という3つの条件をすべて満たしていない限り、納めるべき税金に加えて無申告加算税を支払うことになってしまいます。各年分の無申告加算税は、原則として、納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額となります。ただし、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告(3月15日以降に確定申告をすること)をした場合には、無申告加算税は5%にまで軽減されますので、期限が過ぎていてもなるべく早めに申告をするようにしましょう。また、税務署の調査の事前通知を受けた後でも、その調査の前に申告を行った場合には、50万円までは10%、50万円を超える部分は15%の割合を乗じた金額となります。
納税が間に合わないと…?
納税が法定期限に間に合わなかった場合、延滞した日数に合わせて、延滞税という税金がいわば利息のように追加で課されます。所得税の納付期限は3月15日に設定されており、これは確定申告の期限日と一致しています。そのため、確定申告の期限後申告を行い、支払わなければならない税金が存在している場合には、自動的に納税の期限にも間に合っていないことになりますので、延滞税の支払いが課されます。延滞税額の計算方法は煩雑なのでここでは割愛しますが、原則として年7%程度の税率であると考えていただければよいです。詳細は国税庁のウェブサイトを参照してください。
まとめ
気軽に、そして手軽に始められるのが魅力のアフィリエイト。しかし、一定の条件を満たす場合にはその収入についても確定申告が必要になってきます。もしも確定申告を期限内に行わなかった場合、無申告加算税、そして延滞税が追加で課され、大きな損をしてしまうことになるので注意しましょう。一方で、必要経費をしっかりと記録して申告すれば、税額も低く抑えられるかもしれません。確定申告は節税のチャンスでもあるのです! 確定申告の必要性をしっかりと理解して、損を防ぎ、賢く税金を納めましょう。
慶應大学卒。現、同大学院所属。
大学4年時に公認会計士試験に突破。
自分の知識の定着も兼ねて、会計・財務などに関する知識を解説していきます。
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