2022年が「値上げの年」になるのはなぜ?「値上げされるものリスト」で対策を
年明け以降、すでに一部の公共料金を始め、食パンや麺類などの価格が引き上げられましたが、2022年は昨年以上の「値上げラッシュ」が予想されています。今回はいったいどのようなものがどれくらい値上がりするのか、リストアップしました。家計防衛策の一助にしていただければ幸いです。
そもそも、なぜ値上がりするのか?
日本銀行が3ヵ月ごとに実施している「生活意識に関するアンケート調査」(2021年12月)によれば、前年比で物価が「上がった」と答えた割合は77.4%に上り、消費税率の引き上げ直後だった15年12月調査(78.8%)以来の高率になりました。光熱費や食料品をはじめ、身の回りのモノやサービスの値上がりは、誰もが実感しているのではないでしょうか。
ところで、長く「デフレ」といわれる状況だったにもかかわらず、最近になって物価が上昇基調になっているのは、なぜなのでしょうか?
値上がりにも新型コロナの影響あり
が、コロナの感染拡大がいったんは大きく減少したことで、世界的に景気が回復し、生産や物流が追いつかないような状況が生まれました。特に原油をはじめとするエネルギー価格の高騰が広範な分野に影響を与え、「値上げの連鎖」を生みました。
では、新型コロナに関連した「反動」が収まれば、物価は安定するのでしょうか?事はそう単純ではないようです。
値上がりは光熱費や食料品にとどまらず、2021年3月頃からは木材についても急速な値上がりとなっています。「「ウッドショック」は長期化か?新型コロナにウクライナ情勢が追い討ち」をご覧ください。
円安なども響く
コロナ以前から、いわゆる新興国の経済成長は顕著で、人口増に加え生活の向上も進みました。地球規模での「モノの争奪戦」が激しさを増しているのです。
もちろん、日本の国内要因も無視できません。アベノミクスにより強力に推し進められてきた円安誘導は、輸出やインバウンドの呼び込みなどには効果的でしたが、輸入品の値上がりに直結しています。恒常的な人手不足も、モノやサービスの価格維持を難しくしました。
こうして見ると、現在の状況は、決して一過性のものではなく、構造的なものだということがわかると思います。「当面は値上がりが続く」ことを前提に、家計を守る方策を考えるべきでしょう。
【関連記事】:「いい円安」と「悪い円安」 同じ円安でも何が違う?円安についてわかりやすく解説
では次に、企業の発表や報道をもとに、値上がりするものを具体的に見ていくことにします。
2022年に値上がりするもの一覧
公共料金
◆光熱費
電気・ガス料金とも、2022年1月は、大手各社とも前月に比べ値上がりし、5ヵ月連続の「全社値上げ」となりました。原油相場の状況などにもよりますが、今後もこの基調が継続する可能性があります。
ちなみに、1月の値上がり幅は、以下の通りでした。
- 電気料金(大手10社):85~164円
- ガス料金(大手4社):84~113円
◆鉄道料金、運賃
22年中ではありませんが、JR東日本は、駅のバリアフリー化に向けた費用を確保するため、首都圏の在来線を対象に、早ければ2023年春頃にも乗車料金を引き上げる方向で調整しています。
また、東急電鉄は、12.9%の運賃値上げを23年3月に実施します。車内防犯カメラ設置など安全設備への設備投資に加え、コロナ禍による利用客減少で経営状況が悪化していることを理由に挙げています。公共交通機関はどこも同じ状況に置かれているため、今後に価格改定の発表が相次ぎそうです。
◆高速道路通行料金
首都高速道路は、4月から通行料金を改定し、上限料金を現在の1,320円(ETC普通車)から1,950円に値上げします。
医療費
10月から、一定以上の収入がある75歳以上の高齢者の医療費(窓口負担)が、1割から2割に引き上げられます。対象となるのは「単身で年収200万円以上・夫婦で年収計320万円以上」の世帯です。緩和措置として、2025年までの3年間は、負担増が最大3,000円までに抑えられます。
火災保険料
損害保険各社が、10月から火災保険の10年契約を廃止し、最長5年ごとの更新に改めます。自然災害の長期的なリスク評価が難しくなっていることが理由ですが、保険料は契約期間が長いほど割安なので、実質的な値上げになります。
金融機関関連
1月17日から、ゆうちょ銀行ATMで硬貨を出し入れする場合、枚数に応じて「硬貨預払料金」が発生するようになりました。コンビニATMなどに関する利用料金の改定・新設も行われています。
三菱UFJ銀行は、4月から、新たに口座を開設する人が紙の通帳を希望する場合、毎年550円の手数料を取る方向で検討しています。すでに、みずほ銀行は21年1月から、三井住友銀行も同じく4月から紙の通帳を有料化しており、それに追随する形になりました。金融機関でも、コストのかかるサービスを有料化しようという流れが今後さらに加速しそうです。
食品
公表されているのは、次のような製品です。
- ポテトチップス(カルビー):7~10%値上げ⇒1月31日から順次
- ポテトチップス(湖池屋):6~11%値上げ⇒2月1日から順次
- パスタ・パスタソース(ニップン、日清フーズ):約2.0~9.5%値上げ⇒2月1日
- 冷凍食品(味の素冷凍食品、ニッスイ、日清フーズ、マルハニチロ、日本ハム):約2~23%値上げ⇒同
- ちくわなど魚肉加工品、家庭用冷凍食品、業務用冷凍食品(ニッスイ):約4~13%値上げ⇒同
- ハム・ソーセージ(日本ハム):5~12%値上げ⇒2月1日
- 食用油(J-オイルミルズ):1kg当たり40円以上値上げ⇒同
- ジャム(アヲハタ):3~7%値上げ⇒同
- 醤油、豆乳(キッコーマン):約4~10%値上げ⇒2月16日
- ちくわなど魚肉加工品、総菜(紀文):平均約8%値上げ⇒2月28日
- マヨネーズ(味の素、キユーピー):約2~10%値上げ⇒3月1日
- ハム・ソーセージ(伊藤ハム):4~12%値上げ⇒同
- チルド麺(日清食品チルド):6~12%値上げ⇒同
- 冷凍麺製品(日清食品冷凍):6~13%値上げ⇒同
- 醤油(ヤマサ醤油):4~10%値上げ⇒同
- ウイスキー(サントリー):5~28%値上げ⇒4月1日
その他
- アルミホイル(東洋アルミエコープロダクツ):15%以上値上げ⇒2月1日
- ティッシュペーパーなど家庭紙の全製品(大王製紙):15%以上値上げ⇒3月22日
- 照明器具、蛍光灯(パナソニック):5~30%値上げ⇒4月1日
- バス、トイレ(LIXIL):最大40%値上げ⇒同
以上が、2022年前半の値上げが発表されている主なものです。
今後の原材料価格の動向や企業業績などによっては、2022年後半もさまざまな製品やサービスが値上がりする可能性があります。
まとめ
いかがでしょうか。「値上げ品目」の多さ、上げ幅の大きさに驚かれたかもしれません。消費期限のある食品類は難しいのですが、リストを参考に、必要なものを値上げ前にまとめ買いするなどの対策をお勧めします。値上げに関する今後の情報にも、注意を払いましょう。
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