富裕層の申告漏れ過去最高の839億円

11月24日に国税庁は、2022年6月までの1年間に実施した個人への税務調査状況を明らかにしました。全国の国税局が指摘した所得の申告漏れの総額は2021年と比べて29.1%増の7202億円で、このうち富裕層の申告漏れ総額は、2021年と比べて72.3%増の839億円で、富裕層を対象に統計を始めた2009年以降で過去最高額となったそうです。
そもそも税務調査とは
日本では、所得税や法人税、相続税などといった国税を、納税者自身が税額を申告し納税するという申告納税制度を用いています。この制度は、行政がひとつひとつのやり取りを確認する手間が省けるというメリットがある一方で、納税者側の申告にミスや漏れがあったり、嘘の内容を申告したりする可能性があるというデメリットもあります。そのような場合に、正しく納められていない税金の回収を目的として、国税局や税務署の調査員がチェックに来ます(税務調査)。
税務調査には、任意調査と強制調査の2種類があります。任意調査は、事前に顧問税理士や会社に連絡があり、担当者と日時を決めて帳簿などを調べる調査のことを指します。税務調査のほとんどは任意調査に該当します。任意とはいえ、完全に拒否することはできませんが、会社の都合の良い日に税務調査を受けることが可能です。
一方で強制調査とは、テレビドラマや映画などでよく目にする、突然大人数の調査員がやって来て会社のあらゆるところを徹底的に調べるといったイメージの調査のことを指します。これは、「重大な隠ぺい工作を行っている可能性があり、巨額の脱税をしている可能性がある」とされた企業に対して行われるもので、この調査を受けた場合、大半のケースで刑事告発されます。
富裕層の申告漏れとともに再び注目される”ギャラ飲み”
また東京国税局は今回の税務調査で、マッチングアプリを介して知り合った人と飲食を共にする「ギャラ飲み」の運営会社の調査も行ったようです。運営会社から入手した情報を基に、「ギャラ飲み」で得た所得約4000万円を隠し所得税の申告をしなかった女性に対し、加算税を含む約1100万円を追徴課税されました。
この運営会社が開発したギャラ飲みアプリでは、タイマー管理とギフト贈呈という仕組みが敷かれており、運営側にすべて履歴が残っていたことが今回の摘発に繋がったようです。
まとめ
新型コロナウイルス感染拡大の影響で減っていた対面での税務調査が再度増え、富裕層を対象にした調査で過去最高額となる金額の申告漏れが発覚しました。また、気軽に稼げると未だに人気のギャラ飲みですが、その儲けには基本的に所得税や住民税などの税金がかかることを忘れないようにしましょう。
参考:富裕層の申告漏れ過去最高 839億円、国税庁【産経新聞】
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