大企業健保が赤字5600億円を超え過去最大に?平均保険料率も9.27%で過去最高に

[取材/文責]マネーイズム編集部

全国およそ1400の健康保険組合で作る健康保険組合連合会が4月20日に、大企業の従業員らが加入する健康保険組合の2023年度の予算集計を発表しました。少子高齢化が進んでいることもあり、高齢者の医療費を賄うための拠出金が増えたことから、全体で5600億円余りの赤字と、赤字額が前年度のおよそ2倍に膨らむ見通しとなっているようです。

1人あたりの年間保険料は初の50万円超え

そもそも健康保険とは、公的保険(医療保険)のうちのひとつのことを指し、日本に住んでいる人は「医療保険」に必ず加入しなければなりません。乳幼児だとしても医療保険に加入する必要があります。

医療保険は大きく分けると下記4種類あり、国民はどれかに加入することになっています。

健康保険 サラリーマンまたはその家族などが加入する
共済組合 公務員またはその家族などが加入する
後期高齢者医療制度 75歳以上の方が加入する
国民健康保険 フリーランス・スポーツ選手・アーティスト・タレント・無業者・個人事業主など上記3つ以外の方が加入する

冒頭の話に戻すと、今回は1つ目の「健康保険」が該当します。
会社員の場合、一般的には協会けんぽもしくは組合健保に加入しています。前者は中小企業の従業員、従業員の家族が加入するもので、後者が大企業の従業員とその家族が加入しているものです。
前述した組合健保には、主に大企業の従業員と家族ら約2800万人が加入しているようで、2022年度と比較して、赤字の組合は全体の8割に該当する130件増加の1093組合となり、組合全体の収支は2818億円増加の5623億円の赤字となると推計されています。

その理由として、下記3つのことが影響しているようです。

  • 高齢化社会による負担増
  • 医療費の増加
  • 新型コロナウイルス感染症の影響

 

日本の医療保険制度は74歳以下の現役世代が高齢者医療費(後期高齢者医療制度)の一部を賄う仕組みとなっています。2025年までに、戦後の1947年〜1949年に生まれた世代である「団塊の世代」が後期高齢者となり、ますます74歳以下の現役世代の負担が大きくなることは避けられないと言われています。加えて、新型コロナウイルス感染症の流行は、大企業健康保険にも大きな影響を与えたとされています。特に、2020年に日本各地で発生した感染拡大は、医療費支払いの増加に繋がりました。

健康保険の保険料率を引き上げる組合も増えており、2022年度から2023年度にかけて135組合が引き上げを実施したようで、平均保険料率は2022年度と比較して0.01ポイント上昇し、9.27%と過去最高となりました。また、1人あたりの年間保険料が2022年度から1万1101円増えて50万9657円となり、初めて50万円を超えることとなりました。

政府が検討する「異次元の少子化対策」では、健康保険料を引き上げて財源にするという案が浮上しています。今後の展開を注視しましょう。

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