OPECプラス、2024年まで協調減産を延長気になる為替への影響
OPECプラスとは
主要な石油輸出国機構であるOPECとロシアなど非OPECの産油国との間で構成されるOPECプラスは6月4日、本部のあるオーストリアのウィーンで会合を開き、協調減産の枠組みを2024年末まで延長すると決めました。
そもそもOPECプラスが原油の生産量を調整した背景には、昨年2月から続くウクライナ侵攻による原油価格の高騰が発端です。
実際、昨年3月には石油の国際指標である米WTI原油先物価格が1バレル=130ドルを超え、13年8カ月ぶりの高値を記録しました。その後、欧米はインフレに見舞われ、世界経済が鈍化するとの懸念から、昨年10月にOPECプラスは1日200万バレルの減産を決定しましたが、今回さらに延長されることになったのです。
主導国はサウジアラビア
OPECの主導国であるサウジアラビアは、自主的に1日100万バレルの追加減産を決めました。
サウジアラビアや一部のOPEC加盟国は5月に計116万バレルの自主減産を始めたばかりですが、短期間で追加措置に踏み切った背景には、弱い原油相場への高まる警戒感と相場を下支えしたい意図があるようです。
なぜなら、サウジアラビアは国家歳入の約6割を石油に頼っており、原油価格が下落傾向にあることへ苛立ちを見せているからです。
今後の為替相場
石油の供給が縮小されると需要が増加するため、今後は石油価格の高騰につながることが予想されます。
一時、1バレル=130ドルを突破していたWTI原油先物価格もその後、下落し2023年5月は1バレル=70ドル前後で推移していましたが、週明け5日の原油先物市場では大幅に上昇しており、先週末の終値から一時的に4.6%高騰する1バレル=75.06ドルと1ヶ月ぶりの高値をつけています。
では、石油減産によって為替にはどんな影響が及ぶのでしょうか?基本的にドルと石油価格は逆相関の関係にあります。なぜなら物価が上昇するインフレによって、基軸通貨である米ドルの価値は下落するからです。
つまり、今後も原油価格が上昇を続ければドル安に進むシナリオも想定すべきでしょう。
あらゆる事態を想定しておく
仮にOPECプラスの協調減産の足並みが崩れるなど、想定外の事態が起こった場合、石油の急落や急激な米ドル高要因へつながる可能性もあるでしょう。
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