新たな問題浮上!10月からのふるさと納税ルール変更で注目される仲介サイト事業者の「募集外」経費とは?

[取材/文責]マネーイズム編集部

総務省は6月末に、ふるさと納税の経費に含める費用の内容や返礼品として認める地場産品の基準を見直しました。ただ、制度をめぐっては多くのゆがみが指摘されており、抜本的な対策にはほど遠いとみられています。

地方創生を目指すふるさと納税の問題点が浮き彫りに

地方創生を理念に掲げ、2023年度で16年目を迎えたふるさと納税。都会に住みながら故郷や応援したい自治体に寄付できる一方、魅力的な返礼品がある自治体に寄付が集中し、地域間の格差が拡大してしまったという例も少なくありません。

これらの問題を解決するために、総務省は、2023年10月からふるさと納税のルールを変更することを明らかにしました。変更点は以下のとおりです。

  • 返礼品に地場産品基準を導入する。
  • 返礼品の経費率を5割以下に引き下げる。
  • 寄付の上限額を変更する。

 

地場産品基準とは、返礼品に使用される原材料が、寄付先の自治体が属する都道府県で生産されたものであるかどうかを定めた基準です。この基準が導入されると、返礼品として全国的に流通しているような「熟成肉」や「精米」などの加工品は、ふるさと納税の返礼品として提供できなくなります。詳しくは「ふるさと納税の返礼品に関するルールが10月から変更に!熟成肉や精米に制限」をご覧ください。

返礼品の経費のルールについても見直しが行われる予定で、10月からは寄付金の受領証の発行費用やワンストップ特例申請と呼ばれる住民税の控除に必要な事務費用を経費などで計上しなければなりません。ルール上、経費は寄付金の5割以下にしなければなりませんが、ここでも新たな問題が浮上しているそうです。

複数の仲介サイト事業者が、自らへ支払われる手数料の一部を、総務省に報告する必要がない経費として計上するよう自治体に説明していたことが分かりました。

自治体の多くは「楽天ふるさと納税」「さとふる」といった大手仲介サイトに情報を掲載しています。利用者の多くが仲介サイトを介して寄付していることもあり、サイトの上位に表示されるかどうかで寄付額が大きく変わるとあって、仲介サイトの存在感が増しているそうです。各社は詳細を開示していませんが、複数の自治体によると手数料は寄付額の10%ほど。さらに費用を払い、コールセンター業務を任せる自治体も多いとされています。

仲介サイト事業者は自治体に対し、自らへ支払われる手数料のうち5割に含める経費を「募集内」、含めない経費を「募集外」に分けて計上するよう説明。前者はサイトへの掲載料など、後者は顧客情報の管理やシステムの保守管理などとしている。
問題となっているのは、「募集外」は総務省の報告義務がなく把握できない部分があるようで、事業者側は約10%の手数料のうち「募集外」を3~5%としている。

この「募集外」の基準は事業者の裁量に大きく依存するといいます。2021年度に最も寄付が集まった北海道紋別市の「募集外」手数料は約8億円で全経費の9%以上を占めた。総務省は5割ルールを見直す予定で、新たに含む経費の項目を発表したが、「募集外」手数料の取り扱いは未明示。自治体の反応はまちまちで、一部は「募集外」手数料の包括が寄付の減少に繋がるとの懸念を示している。

不透明な経費のあり方が制度をゆがめている可能性があります。

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