Amazon、日本では4年ぶりとなる有料会員「プライム」年会費1000円の値上げ

[取材/文責]鈴木林太郎

アマゾンジャパン(東京・目黒)は有料会員サービス「Amazonプライム」の料金を引き上げることを発表しました。
アマゾン独自のサービスであるプライムは会員になるとECサイトの配送料が無料になり、その他に動画配信なども視聴することができます。
同社がプライム会費を値上げするのは2007年に会員サービスを始めて以来、4年ぶり2回目です。年会費は現行の4900円から5900円に値上げされ、月額プランも500円から600円に引き上げられます。値上げの開始は8月24日からで、すでにプライム会員で同じ支払いプランを更新する場合は9月24日以降の請求から値上げが実施されます。
これにより、日本のプライム会員はより高い料金を支払うことになりますが、米国や欧州と比較するとまだまだ低い水準です。

主要国と比べると日本はまだ安い?
値上げとともに懸念される物流業界の2024年問題

実際、主要国のプライム年会費をみると、米国では139ドル(約2万円)、英国では95ポンド(約1万7000円)、ドイツでは89.90ユーロ(約1万4000円)であり、日本のプライム年会費は約3分の1程度にとどまっています。

アマゾンは値上げについて「10年、20年先を見据えたプライムの質の向上のため」としていますが、この値上げの背景には、EC市場における楽天グループなどとの競争激化があるとの見方もあります。

日本のプライム会員数などは公表していないものの、データ分析企業ヴァリューズによれば、2023年7月のアマゾン利用者数は約3590万人であると推定されています。同じ時期の楽天グループのECサイト「楽天市場」の利用者数は約3200万人であり、両社の利用者数はほぼ同等の水準となっています。

また、アマゾンは物流費の上昇や動画コンテンツの制作費などのコスト増にも直面しており、今後さらなる値上げを余儀なくされる可能性もあるとのことです。
今後、新たなサービス拡充に伴い、アマゾンは投資コストの増加に直面しています。
同社は翌日配送エリアを広げ、物流施設の増設を進めていますが、日本ではドライバーの時間外労働規制の強化などで物流の「2024年問題」が控えており、今後ドライバーの人材不足が迫るなか、物流費の増加は避けられません。

アマゾンは動画配信サービスにも力を入れていますが、独自コンテンツの制作コストも上昇しています。実際、ネットフリックスやYouTubeの有料プランなど、動画サービスの値上げが続いています。

将来的な値上げについて、アマゾンは「現時点でコメントできることはない」と述べるにとどまっています。ただし、複数のコスト増加要因が見込まれるなか、日本市場においても価格維持は難しいかもしれません。
とはいえ、競争力だけでなく利用者満足度の維持も大切な課題であり、慎重な判断が求められるでしょう。

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