介護職の賃上げを巡る動き政府が月6千円の賃上げ案で最終調整か
近年、物価の高騰や他産業の賃上げの影響を受け、介護分野において深刻な労働力不足が発生しています。
そうした状況を鑑みて、これに対処するための新たな経済対策として政府は、介護職らの賃上げを進める方針を明らかにしました。具体的には、月6千円の賃上げ案が浮上しており、最終調整段階にあるとのことです。また来年2月の実施を目指しているとしています。
なぜ介護業界での賃上げが遅れているのか?その背景とは?
今回の賃上げ案は、昨今の物価高騰と他産業での賃上げによる介護職の人材流出を受け、労働力不足の解消と人材の確保を目的としています。特に、今年の春闘で介護や医療分野の賃上げが全産業平均の3.6%に対して1%台にとどまるなど明確な賃上げの遅れが見られています。この結果、介護職から他の産業への人材流出が顕著となっていることが背景となっています。
財務省の調査によれば、介護サービスの事業者が保有する現預金が多いにも関わらず、職員の給与が一定水準で変わらない現状が明らかにされています。具体的には、現預金の少ないグループと多いグループで、職員の給与に大きな差異が見られなかったという結果が出ているようです。
また、2019年度から2021年度にかけて、一部の社会福祉法人が保有する現預金や積立金が増加しているにもかかわらず、その還元が給与に反映されていない可能性が示唆されています。
これに基づき、財務省は事業者側に対して、職員に対する賃上げやその他の待遇改善を進める仕組みの整備が必要であるとしています。
介護事業者の収入となる介護報酬は国が定める公定価格で3年ごとに改定されます。2024年度は改定の年にあたり、2023年度末の予算編成過程で報酬の増減が議論される予定です。
厚生労働省の幹部からは「急いで取り組まないと、介護業界が崩壊してしまう」との深刻な懸念が示されています。
介護業界の人材不足と労働者の待遇改善は密接に関連しており、今後の動向が注目されています。政府の賃上げ案と、財務省の指摘を受けた現場の実態把握・対策が、業界の健全な発展のための大きな鍵となるでしょう。
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