海外スマホアプリの消費税グーグルやアップルなどに納付義務検討か
海外のゲームアプリ開発者による日本国内で販売するアプリにかかる消費税について、グーグルやアップルなどのプラットフォーム企業が消費税の代行納税を担う制度が検討されています。財務省が11月14日に公表した報告書によれば、日本に拠点を持たない中小企業など、主に海外事業者によって提供されるスマホゲームなどのアプリの消費税納付に関する課題が指摘され、それに対処するための新しい仕組みが検討されています。
国内アプリ市場の急成長に対応 令和6年度税制改正大綱で具体化へ
財務省は4月から企業関係者や有識者でつくる研究会でスマホアプリにかかる消費税について、議論を重ねてきました。
今後、この制度の具体的な内容は、12月にまとめる予定の与党税制改正大綱に盛り込まれる方向性が示されています。これにより、日本に拠点を持つ制作会社との税の公平性を確保する一環として、制度が進展していく見通しです。
以前から、スマホゲームなどのアプリを開発する海外事業者が、日本の消費者から受け取った消費税を適切に納めていないとの指摘がありました。この問題に対応するため、今回の改正では、国内での売上高が一定額を超えるプラットフォーム企業を課税対象とする考えが示されています。これには、アップルやグーグルなどが該当する可能性が高く、税務当局が対象企業を公表することで納税の透明性を確保する方針です。
総務省の情報通信白書によれば、2023年までに日本のモバイル端末向けアプリの市場規模は約4兆3513億円に達し、これは2018年の約2兆8460億円と比較すると、5割増える見通しです。市場の急速な拡大に伴い、税制改正が急務となっています。
経済協力開発機構(OECD)の指針に従い、日本も2015年度から海外事業者に消費税の申告・納付を求める仕組みを導入しましたが、税務当局が海外の小規模な開発者にアプローチする難しさが実情でした。
こうした経緯があり、財務省の報告書では、プラットフォーム企業による代行納税制度が提案されました。これにより、海外事業者による国内の売上高が一定額を超える企業が対象となり、従来通り、アプリやコンテンツの売上から手数料を差し引いて開発者に渡す一方で、消費税分を納める義務を負うことになり、今後、消費税分を渡さない運用に移行する可能性が浮上しています。
ただし、制度の施行は、企業のシステム改修や認知のための期間を考慮して、2025年度以降に予定されています。具体的な課税対象となる企業の売上高の基準や、施行時期などの詳細は、自民・公明両党の税制調査会での議論を経て、12月の与党税制改正大綱でまとめられる見通しです。
与党税制調査会の2023年度の大綱では、アップルやグーグルなどにアプリ開発業者の納税の肩代わりを求める際、「国内外の競争条件の公平性も考慮しつつ、適正な課税を確保するための方策を検討する」と記されていました。
この方針は、EU(欧州連合)が既に導入している巨大IT企業に対する納税義務課税制度を参考にしています。EUでは、この制度が税逃れの抑止力となっており、同様の効果を期待しています。
その一方、国内ゲームアプリ開発事業者に対する課題もあります。消費税法では、2年前の課税売上高が1000万円以下であれば、消費税の納税が免除される規定があります。ただし、アプリ開発業者のなかには、アプリの販売のたびに別法人を創設して、納税義務を回避する事例もあるため、免税制度の見直しも今後の論点となりそうです。
今回の制度改正の検討により、日本のアプリ市場が更なる発展を遂げ、安定的な税収を確保する一助となることが期待されます。
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