30年以上の不正行為が発覚!ダイハツ工業の品質不正問題の余波

[取材/文責]鈴木林太郎

トヨタ自動車の子会社であるダイハツ工業が品質不正問題で揺れています。
国土交通省(以降、国交省)は12月21日午前、同社の本社に立ち入り検査に入りました。第三者委員会が指摘した問題点を確認し、試験不正がまん延した経緯を解明するための取り組みが進められています。悪質性が高いと判断されれば、生産認証の取り消しを含む行政処分が検討される場合もあります。

試験不正174件:第三者委員会報告と国交省の対応

第三者委員会の報告によれば、ダイハツの不正行為はなんと30年以上にわたり、25の試験項目に及び全28車種、174件にも上ることが判明しました。これは1989年以来の長期にわたる問題であり、その深刻さが浮き彫りになり、試験不正がまん延していた可能性が指摘されています。

国交省は、試験不正がダイハツ社内でまん延していた疑いを指摘し、特に不正行為の事実確認とその背後にある要因を解明することに焦点を当てています。

第三者委員会の報告によると、174件の不正は「不正加工・調整」「虚偽記載」「元データ不正操作」の3パターンで行われていたことが示されました。
いずれも意図的なものであるとされ、詳細な経緯を調査する必要があると判断し、国交省は道路運送車両法に基づく立ち入り検査を実施しました。
同法は自動車メーカーなどが生産に必要な認証を取得した場合、国が立ち入り検査できる規定を定めています。

具体的な例として挙げられた虚偽記載型の不正行為には、衝撃試験で運転席側の試験結果を書類に記載せず、助手席側の試験結果を記載したと報告されています。
国交省は検査での試験時の書類分析や関係者への聞き取りを通じて、不正行為の裏付けを進めています。
それと同時に、上層部の関与の有無にも焦点を当て、不正が長期かつ広範にわたって行われてきた背景を解明する方針です。

検査の結果、試験不正が認定され、その悪質性が高い場合、国交省は行政処分を検討するとしています。

具体的な処分としては、生産に必要な「型式」の取り消しなどが挙げられます。
型式指定は自動車メーカーが生産・販売を行うために必要な認証ですが、2017年の法改正により、型式取得の不正行為があった場合、取り消しが可能となっており、その影響は業界全体に及ぶ可能性があります。

一方で、国交省は検査と同時にダイハツが現在生産・開発している28車種における安全性や環境性能も独自に確認しています。基準への適合が不明確な場合、現行生産車の出荷を差し止める指示を出しており、これは異例の規模の国の独自検査とされています。
ただし、検査完了までには相当な時間がかかる見込みであり、問題発覚前の生産体制に戻るめどは立っていない状況です。

近年、トヨタグループでは不正の発覚が相次いでおり、短期の開発成果が求められるプレッシャーがあるとの指摘もあり、今回発覚したダイハツ工業の品質不正問題は、国交省の検査や処分の結果によって、今後の同社やグループ全体の動向が大いに左右されることになりそうです。

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