東京証券取引所、アジア首位返り咲き中国不安と日本改革期待が牽引か
東京証券取引所(東証)に上場する株式の時価総額が、1月11日に中国の上海証券取引所を上回り、アジア首位に返り咲いたことが報じられました。首位奪還は約3年半ぶりで、海外投資家が日本企業の改革に期待する中、中国経済に対する警戒感が影響しています。
中国リスクに対する投資家の回避動向
11日の東京市場では、日経平均株価が1990年2月以来の33年11カ月ぶりに3万5,000円台に達しました。東証の時価総額(プライム、スタンダード、グロース市場の合計)は前日比で13兆円(1.5%)増加し、917兆円となり、史上最大を更新しました。この時価総額はドル換算で6.32兆ドルに達し、アジア拠点の取引所の中で上海(6.27兆ドル)を上回り、首位に立ちました。
東証がアジア首位に返り咲いた背景には、中国から日本へのマネーフロー(資金循環)の逆転が影響しています。これまで中国株がアジア首位を保持していましたが、最近では中国経済に対する不透明感や政府の規制強化により、投資家が日本株に資金を移す動きが加速しています。
きっかけは2023年末に中国政府がオンラインゲームに関する規制を強化すると発表し、これに伴いゲーム関連株が急落したことが要因のひとつです。
中国市場では政府の政策変更が企業の事業環境に急激な変化をもたらすため、投資家の不信感が依然として根強い状況です。
それと同時に、中国では不動産不況への懸念も続いています。
企業や家計が債務返済を急いでおり、投資や消費を抑制する「バランスシート不況」に陥っているとの見方も浮上しています。
これらの要因が、中国に対するカントリーリスクとして、投資家の警戒心を高めています。
実際、欧米の投資家たちは、最近では中国への資産配分について再評価を始めています。
香港を介した相互取引である「ストックコネクト」を通じて中国本土株の動向を見ると、2022年8月の売買差額が896億元(約1兆8400億円)と、この制度が始まって以来の最大記録を達成しました。この傾向は8月以降も一貫して売り越しが続き、2024年1月10日時点での売り越し額は91億元に達しました。
中国株への投資が減少する一方で、注目を集めているのが、これまで保有を減らし続けていた日本株です。
投資家たちは中国の経済状況や規制強化に対する不安から、リスクヘッジとして安定感のある日本株市場へと資金をシフトさせる傾向が見られています。
中国経済の先行き不透明感や投資リスクに対する不安が背景にあるなか、東証がアジア首位に返り咲いたことで、あらためて日本企業への期待が高まりを感じます。
今後も日本経済に対する期待が続くことが予想されます。
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