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クレジットカードの「ポイント」は、相続できるのか? 航空会社の「マイル」は?
2020年10月5日
キャッシュレスショッピングのメリットは、現金を持ち歩かないでいいということに加え、利用額に従って「ポイント」が貯まるところにあります。現金同様に使えるのですから、立派な「財産」と言えるでしょう。ならば、被相続人(亡くなった人)が多額のポイントを貯めていた場合、相続人はそれを受け継ぐことができるのでしょうか? 実は、クレジットカードなどの「ポイント」と、航空会社の「マイル」では、扱いに違いがありました。
「ポイント」は相続できないのが普通
買い物のたびにもらえるポイントは、お得感が強いものです。中には、10万円単位で貯めている人も少なくないようです。では、亡くなった人がそうやって貯めたポイントを保有していた場合、それを相続することはできるのでしょうか? 答えは、「原則として相続できない」です。
相続では、「相続人は、原則として被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」(民法第896条)ことになります。ちなみに、「義務」とは、例えば借金などの債務といった「負の遺産」を指します。相続人は、相続放棄などをしない限り、被相続人に代わって返済義務を果たす必要があるのです。
それくらい「一切の」ものが相続の対象になるのですから、カードのポイントも承継されてよさそうに感じられるのですが、そうはなりません。ポイントがさきほどの「原則」に当てはまらない、と解釈されるからです。法律の条文は、「ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」と続きます。
「一身に専属したもの」とは、簡単に言えば、「その人しか持つことができない」という意味で、民法上では「使用貸借契約における借主の地位」、「代理における本人・代理人の地位」、「雇用契約における使用者・被用者の地位」などが定められています。確かに、これらの権利義務を相続人が受け継ぐのは、合理的とは言えません。
この「一身専属権利義務」は、明文規定以外でも、法解釈上、さまざまなものが認められていて、「カードのポイント」もそれに含まれる、とされているのです。ポイントは、あくまでもカードの契約者に付与されるものである、と考えれば理解しやすいのではないでしょうか。
念のため利用規約の確認、問い合わせを
ただ、カード会社によって、「死亡した場合は、保有するポイント並びに商品との交換及び合算に関する一切の資格を喪失する」(セゾンカード)、「ポイントの相続、譲渡、譲受、貸与および借り入れはできない」(エポスカード)旨を利用規約に明記しているところもあれば、特に示されていないケースもあるようです。
後者は、今説明した「一身専属権利義務」が当然適用されるため、あえて明示していない可能性が高いと思われますが、残されたポイントが高額な場合には、念のため問い合わせてみてはいかがでしょうか。法は、ポイントの相続を「禁止」しているわけではないのです。
「マイル」は相続可能
一方、会員になると、同じように利用に応じて貯まっていく航空会社の「マイル」は、事情が違います。こちらは「残されたマイルは相続できる」ことが、次のように会員規約に明記されているのです。
- ANAマイレージクラブ:会員が死亡した場合、法定相続人(※)は、会員が取得していたマイルを、所要の手続きが完了した時点で有効な範囲で承継することができます。
- JALマイレージバンク:会員が死亡した際、法定相続人は所定の手続きにより会員のマイル口座に残る有効なマイルを相続することが可能です。
ただ、ANAの規約には、「マイルの相続権を有することを証明する書類を会員の死亡後6カ月以内に提示」という条件が記されていて、それを過ぎると失効する、と明記されています。
ちなみに、クレジットカードのポイントは、一定の条件の下で、航空会社のマイルに交換することができます。ポイントのままだと相続できないけれど、マイルに換えていたらそれが可能、ということになります。
民法に定められた相続の権利を持つ親族。
クレカのポイントは「貯めずに使う」が基本
そもそも論として、相続で問題になるほどクレジットカードのポイントを貯めることに、メリットはあるのでしょうか? 何万円もするものを、貯め込んだポイントで手に入れたら、確かにとても得した気分になるのですが……。
ポイントが現金と同じと考えるなら、デフレ経済(モノの値段が下がっていく)の下では、できるだけ貯めておいて、安くなった商品を手に入れるのが有利です。ですから、デフレ脱却がままならない今の日本では、買いたいものによっては、ポイントを使わず蓄えておくというのは、間違っていないかもしれません。
ただし、ポイントには、現金にはないリスク、デメリットがあることも認識しておく必要があります。まず、ポイントには利子がつきません。インフレになると、銀行に預けた現金以上に、どんどん価値が下がっていきます。万が一、ポイントを発行している企業が破綻した場合、貯めていたポイントが守られる保証はありません。ここも、1,000万円まで保護されている銀行預金と違います。
何より、ポイントの中には、有効期限の設定されているものがあります。貯めることばかり考えていると、それを忘れて失効させてしまう可能性がないとは限りません。そして、説明してきたように、原則として相続することもできないのです。総合的に考えると、「貯めたら使う」のが、少なくとも最も安全、確実なのは確かなようです。
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まとめ
被相続人が残したクレジットカードのポイントは、通常、相続人が受け継ぐことはできません。一方、航空会社のマイルは、相続することが認められています。同じようなサービスでも違いのあることを知っておきましょう。