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相続税の税務調査が入りやすいケースとは?最新の傾向と対策を専門家が解説

相続税の税務調査

公開日:2025年2月27日  
最終更新日:2025年2月27日

この記事の監修者
徳永税理士事務所
所長 徳永 圭

令和3事務年度の国税庁データによれば、相続税の税務調査が行われた7,358件のうち約76.7%で何らかの申告ミスが指摘され、1件あたり平均約380万円の追徴税が課された事例も報告されています。
本記事では、税務調査が入りやすいケースや、調査の流れ・対策を中心に解説。事前にポイントを押さえておくことで、追徴課税や家族間トラブルを回避し、スムーズな相続を実現するためのヒントをお伝えします。

本記事は国税庁の「令和3事務年度における相続税の調査等の状況」を参照しています。

なぜ相続税の税務調査に注意が必要なのか

調査リスクが高まる背景

近年、相続税の税務調査は従来以上に注目を集めています。基礎控除額の引き下げにより、これまで相続税の対象とならなかった方々も課税対象となるケースが増加しています。国税庁が公表している令和3事務年度のデータによると、実地調査件数は7,358件に上り、そのうち実に5,644件で申告内容に誤りが見つかっています。この数字は、相続税申告の複雑さと、専門的な知識なしでは適切な申告を行うことの難しさを如実に示しています。

調査を受けた場合のデメリット

税務調査を受けることで、想定以上の負担が発生する可能性があります。追徴課税のリスクは非常に大きな負担となり得ます。令和3事務年度の国税庁データでは、1件あたりの追徴税額が平均約380万円に上っています。こうした高額の追徴税は家計に深刻な打撃を与えかねません。さらに、調査対応には膨大な時間と労力が必要となり、日常生活や事業運営に支障をきたすことも少なくありません。

加えて見逃せないのが、精神的な負担です。税務調査は単なる書類チェックにとどまらず、家族間の資産管理の実態についても詳しく確認されます。その過程で、例えば親の預金を子が管理していた事実や、家族間での資金移動の詳細が明らかになることで、思わぬ形で家族間の信頼関係が揺らぐケースも発生しています。特に、名義預金や生前贈与の扱いを巡って、相続人同士の認識の違いが表面化し、新たな争いのきっかけとなってしまうことも珍しくありません。

このように、税務調査は単なる税金の問題を超えて、家族関係にまで影響を及ぼす可能性がある重要な問題なのです。そのため、申告時点での正確な財産評価と適切な申告手続きが、将来のリスクを防ぐ上で極めて重要となります。

税務調査が入りやすいケース一覧

相続税の税務調査は、特定の条件や状況において実施される可能性が高まります。国税庁の公表データや実際の調査事例から、特に注意が必要なケースを具体的に見ていきましょう。これらのケースに該当する場合は、事前に専門家への相談を検討することをお勧めします。

1. 名義預金・名義株など、名義と実態が異なる資産

名義預金や名義株式の問題は、税務調査でもっとも頻繁に指摘される項目の一つです。令和3事務年度の調査事例でも、被相続人名義の預金が実質的には別の家族によって管理されていたケースが多数報告されています。具体的には、親の名義だが実際には子供が日常的に管理している預金口座や、家族名義で保有している株式投資信託を別の家族が実質的に運用しているようなケースが該当します。

調査において税務署が注視するのは、通帳や印鑑の保管状況、預金の出し入れ履歴などです。特に、預金の使用目的と実際の資金流れが一致しているかどうかは重点的に確認されます。このような資産については、相続開始前から適切な名義管理と記録の保持が重要です。

2. 不動産の評価や申告内容に不自然な点がある

不動産の評価額に関する問題も、税務調査の重要なポイントです。国税庁の調査事例からは、極端な減額評価や実勢価格との大きな乖離が見られた案件に対して、重点的に調査が行われるケースが報告されています。特に複数の不動産を一括で低く評価しているケースは、税務署の注目を集めやすくなっています。

税務署は調査において、路線価や固定資産税評価額との比較を行うだけでなく、必要に応じて現地調査も実施します。また、周辺の取引事例との比較検討も行われ、評価額の妥当性が詳細に検証されます。不動産評価は専門的な知識が必要な分野であり、適切な評価方法の選択が重要です。

3. 生前贈与・海外資産の申告漏れが疑われる

近年、特に注目されているのが生前贈与と海外資産の申告漏れです。長期にわたる大口の贈与を申告していないケースや、留学資金等の名目で行われた資金移動の記録が不明確なケース、海外口座や海外不動産の未申告などが典型的な事例として挙げられます。

特に注目すべきは、国際的な金融情報の共有体制が強化されている点です。税務署は海外送金の履歴を追跡する能力を高めており、国際的な情報交換の枠組みを活用して、従来は把握が困難だった海外資産も捕捉できるようになっています。

4. 親族間トラブルや"密告"が起きている

意外かもしれませんが、相続を巡る親族間のトラブルが税務調査のきっかけとなるケースも少なくありません。遺産分割を巡る兄弟間の争いや、親族間での意見の相違が、税務署への情報提供につながることがあります。また、離婚した元配偶者など、家族の内情を知る人物からの通報も、調査のきっかけとなり得ます。

このようなケースが特に調査につながりやすい理由は、情報提供者が財産の詳細や資産の移動状況を具体的に把握していることにあります。内部事情を知る人物からの情報は、税務署にとって調査の精度を高める貴重な手がかりとなるため、より詳細な調査につながる可能性が高くなります。

5. 高額な美術品や骨董品など動産が多い

美術品や骨董品といった動産は、その価値評価の難しさから税務調査の重要なターゲットとなっています。絵画、宝飾品、骨董品、貴金属などは、市場価値の変動が大きく、また保管場所の移動も容易なため、適切な評価と申告が特に重要となります。

税務署は調査において、これらの資産に関する資産目録の有無や保管場所の確認を重点的に行います。さらに、近年ではオークションサイトやアート市場での取引履歴を参照し、類似品の売買相場を詳細に調査することで、申告評価額の妥当性を検証しています。相続財産として申告する際は、専門家による適正な評価と、取得時からの記録保持が重要です。

6. 仮想通貨・電子資産を含む新しい財産形態

デジタル時代を反映し、仮想通貨やNFT(非代替性トークン)などの電子資産が相続財産として注目を集めています。特に問題となるのは、相続人がこれらの資産の存在自体を把握していないケースや、相続財産として計上していない場合、さらにはウォレット情報が不明なままとなっているケースです。

税務署は、暗号資産取引所からの情報提供やブロックチェーン上の取引履歴を確認することで、これらの資産を追跡することが可能です。調査には時間を要するものの、デジタル記録は消えることがないため、申告漏れが後日発覚するリスクは極めて高くなっています。これらの新しい資産形態については、生前からの情報共有と記録管理が特に重要です。

7. 二次相続など複数世代にまたがる相続

複数世代にまたがる相続案件では、特有の注意点があります。典型的なケースとして、親が亡くなった後、短期間のうちに祖父母も亡くなるような状況が挙げられます。このような場合、1回目の相続での申告内容に不備があると、2回目の相続時の調査で両方の問題が一括して指摘されるリスクがあります。

特に注意が必要なのは、短期間に複数の相続が発生する場合の資産評価と申告手続きです。このような事態を避けるためには、二次相続や三次相続の可能性も視野に入れ、早い段階から専門家に相談し、適切な申告内容の確認と対策を講じることが重要です。

二次相続以降の相続では、前回の相続時の資料や評価方法との整合性も重要な確認ポイントとなります。特に不動産や事業用資産など、評価額が大きく変動する可能性がある資産については、より慎重な対応が求められます。

記事監修者からのワンポイントアドバイス
相続税申告5件に1件は調査対象となり、その内指摘事項が何もないというケースは稀だと言われています。注意すべき点はもちろん適正な申告ができているかになりますが、遺族でも把握できていない財産があり、知らずに申告漏れをしているケースも多々見受けられます。
不動産は登記簿などから存在を把握しやすい為、申告漏れとなる確率は低く、指摘があるとすれば特例適用可否を巡る「評価額」についてです。では申告漏れが多い財産は何かと言えば、名義預金や動産(現金・金・宝石など)。
特に名義預金については申告が必要という認識をもっていない方も多く注意が必要です。預金の名義人が誰かは問題ではなく実質で判定するという点にご注意ください。
徳永税理士事務所
所長 徳永 圭

税務調査の主な流れと対策

相続税の税務調査は、一定の手順に従って進められます。各段階での適切な対応が、スムーズな調査完了につながります。国税庁のデータによると、調査対象となった案件の76.7%で申告内容に何らかの誤りが見つかっていることから、事前の準備と対策が極めて重要といえます。

事前通知から調査当日までのステップ

税務調査は通常、税務署からの事前通知から始まります。具体的には、調査担当官から電話でアポイントメントの連絡があり、その後、必要書類の準備期間を経て実地調査が行われます。準備が必要な主な書類には、預貯金通帳、有価証券の取引記録、不動産関連資料、そして生前贈与があった場合は贈与契約書などが含まれます。

特に注意すべきは、税務署が書類の不備や虚偽申告に対して厳格な姿勢で臨む傾向が強まっていることです。令和3事務年度のデータでも、1件あたりの追徴税額が約380万円に上っており、不適切な申告は重大な追徴課税につながる可能性があります。そのため、調査通知を受けた際は、早めに書類を整理し、不明な点があれば専門家に相談することをお勧めします。

調査当日のヒアリング内容

実地調査では、書類確認に加えて詳細なヒアリングが行われます。調査官が特に注目するのは、資産管理の実態です。例えば、預金口座や有価証券について、名義人と実際の運用者が異なっていないか、取引の履歴は適切に記録されているかなどが確認されます。

不動産については、賃貸の実態や空き家の状況なども詳細に確認されます。賃貸収入の申告漏れや、不動産評価額の妥当性は、調査における主要なポイントです。

また、美術品や骨董品などの動産については、保管状況や評価額の根拠を詳細に問われることが一般的です。

調査後の修正申告・追徴課税

税務調査で申告内容に誤りを指摘された場合、速やかな修正申告が求められます。修正申告が必要となった場合、追徴税額に加えて、加算税や延滞税が発生する可能性もあります。国税庁のデータによれば、1件あたりの追徴税額は約380万円と高額になる傾向があり、適切な対応が重要です。

なお、税務署の指摘内容に不服がある場合は、再調査請求や審査請求という手続きを取ることができます。ただし、これらの手続きには期限があり、専門的な知識も必要となるため、不服申立てを検討する場合は、速やかに税理士などの専門家に相談することが賢明です。調査結果への対応は、その後の税務関係にも影響を与える重要な局面となります。

税理士など専門家を活用するメリットと選び方

相続税の税務調査に関して、適切な専門家のサポートを受けることは、リスク軽減の観点から極めて重要です。国税庁データによると、税務調査を受けた案件の76.7%で申告内容に誤りが見つかっており、専門家による事前チェックと適切な対応の必要性が浮き彫りになっています。

専門家ができるサポート

相続税の専門家、特に税理士は、税務調査の各段階で重要なサポートを提供できます。まず調査前の段階では、提出書類の内容チェックや財産評価の見直しを行い、潜在的な問題点の早期発見と対策を支援します。特に不動産評価や名義預金の取り扱いなど、税務署が重点的にチェックする項目については、専門的な知見に基づいた適切なアドバイスが得られます。

調査当日には、税理士が立ち会うことで、税務署とのスムーズなコミュニケーションが可能になります。専門的な質問に対する適切な回答や、必要に応じた交渉も、税理士が担当します。さらに、修正申告が必要になった場合や、税務署の判断に不服がある場合の手続きについても、専門家による代行サービスを受けることができます。

依頼先選びのポイント

税理士選びで最も重要なのは、相続税の実務経験が豊富かどうかという点です。税理士資格があっても、必ずしも全員が相続税の専門家というわけではありません。そのため、過去の相続税申告や税務調査対応の実績、特に自身の案件に関連する分野での経験を確認することが重要です。

具体的には、不動産の多い相続案件、事業承継が絡む案件、海外資産が含まれる案件など、案件の特性に応じた専門知識と経験を持つ税理士を選ぶことをお勧めします。また、相続財産センターのような専門機関を利用することで、4,200所以上の登録税理士の中から、自身のニーズに最も適した税理士を見つけることができます。

料金体系についても、事前に十分な確認が必要です。一般的に、着手金、作業報酬、成功報酬などの組み合わせで料金が設定されていますが、税理士によって料金体系は大きく異なります。また、継続的なサポートが必要な場合は、顧問契約の内容や料金についても確認しておくことが賢明です。

このように、専門家の選択は相続税申告の成否を左右する重要な判断となります。相続財産センターでは、豊富な実績と経験を持つ税理士を、お客様のニーズに合わせて無料でご紹介しています。相続税に関して不安や疑問があれば、早めの専門家相談がリスク回避につながります

記事監修者からのワンポイントアドバイス
相続税申告というと「自分ではできない」と思うかもしれません。
確かに相続税申告には専門的な知識が必要で、税理士の中でも得意・不得意が分かれる分野ではあります。
しかし、誰がやっても評価が同じ財産・債務しか保有していないなら話は変わります。被相続人が非上場株式・不動産を全く保有しておらず、評価が簡単な金融資産のみという場合は、残高証明書を銀行・証券会社から取得すれば相続税評価額が記載されており、ネットで調べながらの申告が可能かもしれません。
とはいえ、相続は一生のうちに何度も経験するものではなく、何が相続財産にあたるのか?申告漏れはないか?などいろいろ不安に駆られるものです。
そうなった場合は専門家を活用するのも一つの選択肢とお考え頂ければと思います。
徳永税理士事務所
所長 徳永 圭

よくある質問(FAQ)

相続税の税務調査に関して、多くの方が不安や疑問を抱えています。ここでは、よくいただく質問とその回答をまとめてご説明します。

Q:相続税の申告を税理士に任せていれば調査されない?

A:税理士に申告を依頼していても、調査対象となる可能性はあります。税務署は申告内容や財産状況を総合的に判断して調査対象を選定しており、税理士が関与しているかどうかは主要な判断基準とはなりません。ただし、税理士による専門的なチェックを受けることで、申告内容の正確性が高まり、結果として調査リスクを低減できることは事実です。

Q:申告漏れが少額なら見逃してもらえる?

A:金額の大小に関わらず、申告漏れは追徴課税の対象となり得ます。特に、その申告漏れが意図的なものと判断された場合や、複数の小さな申告漏れが積み重なって大きな金額となる場合は、重点的な調査対象となる可能性があります。国税庁のデータによれば、1件あたりの追徴税額は約380万円にも上っており、小さな申告漏れであっても適切な修正申告を行うことが重要です。

Q:調査時に家に保管してある現金・貴金属はどう扱われる?

A:調査時に発見された現金や貴金属は、正当な取得経緯や所有関係が明確に説明できない限り、申告漏れの相続財産とみなされる可能性が高くなります。このような事態を避けるためには、相続開始前から家族間で資産の保管状況を把握し、現金や貴金属類については帳簿や関連書類を整理しておくことが重要です。

まとめ・今後の対策

相続税の税務調査は、誰にでも起こり得る可能性があるものです。令和3事務年度の国税庁データを見ると、7,358件の実地調査のうち約76.7%で申告内容に誤りが指摘されています。こうした数字からも分かるように、相続税申告は複雑なうえ、家族間の資産状況などを詳細に把握しておかないと、思わぬ追徴課税が課される恐れがあります。

ただし、調査が入りやすいケースを事前に把握し、適切な対策を講じることで、そのリスクを大きく低減することが可能です。特に重要なのは、名義預金や生前贈与、海外資産など、税務署が注目しやすい要素を早期に特定し、適切な対応を行うことです。不明な点がある場合は、相続税に精通した税理士に相談し、専門家の視点からアドバイスを受けることをお勧めします。

安心して相続を完了させるためには、日頃からの備えが重要です。家族間でのこまめな情報共有や、資産関連書類の整理を習慣化することで、将来の税務調査にも適切に対応できる体制を整えることができます。相続税を特別視せず、通常の資産管理の一環として捉え、計画的に対策を進めていくことが、スムーズな相続の実現につながります。

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この記事の監修者
徳永税理士事務所
所長 徳永 圭
大学で財務会計ゼミに入ったことがきっかけとなり税理士資格を取得。総合不動産会社、不動産証券化(SPC)特化型事務所、総合会計事務所を経て令和へ年号が変わるとともに開業。これまでの職歴から不動産周りの税務会計、資産税(相続)に強みがあります。
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この記事の執筆者
相続財産センター編集部
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