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相続税は、遺産額がいくらまでならかからない?減額できる各種特例、控除を解説

相続税は、遺産額がいくらまでならかからない?減額できる各種特例、控除を解説

2022年10月20日

親が亡くなって財産を相続した場合でも、みんなに相続税の支払い義務が生じるわけではありません。遺産が一定額を超えた場合に課税対象となるのですが、実はそのボーダーライン(「基礎控除額」)は、法定相続人の数によって変わってきます。また、相続税には、税の計算のベースになる遺産額を大幅に減額できるその他の特例、控除もあります。併せて解説します。

相続税の基礎控除とは?

遺産額から無条件で差し引ける

相続税には「基礎控除額」が設けられています。相続税は、被相続人(亡くなった人)の財産から、この基礎控除額を差し引いて、残った金額に課税される仕組みになっているのです。例えば、遺産が1億円で基礎控除額が3,600万円ならば、相続税が課税されるのは6,400万円ということになります。

一方、遺産総額がこの基礎控除の範囲内であれば、課税される遺産額はゼロで、相続税は発生しません。基礎控除額が今と同じ3,600万円で遺産が3,000万円だったら、相続税はゼロ。原則として、税務署への申告の必要もありません。

遺産が3,600万円以下は「無条件で無税」

相続税の基礎控除額は、次のように計算します。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

法定相続人が最少の1人の場合、基礎控除額は3,600万円になります。つまり、遺産が3,600万円以下の相続ならば、相続人の数などにかかわらず、税金はかかりません。そして、そこから相続人が1人増えるごとに、600万円ずつ基礎控除の枠が広がって(遺産から差し引ける金額がアップして)いきます。

例えば、相続人が妻と子ども2人の計3人だった場合には、

3,000万円+600万円×3=4,800万円

となり、遺産総額が4,800万円以下であれば、相続税は課税されないのです。

法定相続人とは?

第1~第3順位まで規定

説明したように、相続税の基礎控除額は、法定相続人の人数によって決まります。では、そもそも法定相続人とは、具体的に誰を指すのでしょうか?

まず、被相続人の配偶者は、常に法定相続人です。それ以外の人に関しては、第1順位~第3順位までがあり、前の順位の人が1人でもいる場合には、後の順位の人は相続人にはなれません。

相続税の基礎控除額は、次のように計算します。

●第1順位:子ども(亡くなっている場合は孫)
●第2順位:父母(亡くなっている場合は祖父母)
●第3順位:兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥姪)

相続人になる人、ならない人

なお、次のような点には、注意が必要です。

・養子も相続人
養子も法定相続人にカウントされるため、相続税対策(相続人の数を増やして、基礎控除額を上げる)として縁組が行われることもあります。ただ、相続人にできる養子は、実子がいる場合には1人まで、いない場合にも2人までという制限があります。

・相続放棄した人も含めてOK
法定相続人の中に相続放棄の手続きをした人がいても、基礎控除額の計算においては「相続人」としてカウントすることができます。ちなみに、相続放棄を行った人は、法的な相続人の立場を失います。

・「愛人」や「内縁の妻」は相続人ではない
相続人として認められる配偶者は、法的に婚姻関係を結んだ相手(役所に婚姻届けを提出した場合)に限られます。ただし、これらの関係で生まれた実子については、被相続人の認知があれば、法定相続人です。。

・遺産をもらう人=相続人ではない
被相続人が、法定相続人以外の人に遺産を分ける遺言書を残していても、その人(受遺者)は相続人ではありません。基礎控除額の計算は、あくまでも民法が定めた相続人の人数を基準に行われます。

相続税の課税価格とは?

相続財産になるもの

基礎控除から説明しましたが、実際に相続税の課税対象になるかどうかを判断するためには、被相続人の遺産額が正確にカウントされていることが前提になります。遺産総額(課税価格)は、次に挙げたようなプラスの財産からマイナスの財産を差し引いた金額です。

■プラスの財産
  • ・預貯金
  • ・株式などの有価証券
  • ・貴金属類、骨董品、美術品
  • ・みなし相続財産:死亡保険金など(非課税枠=「500万円×法定相続人の数」を超えた金額) など


■マイナスの財産
  • ・借金、未払金
  • ・税金の未納分
  • ・相続人が負担した被相続人の葬祭費用 など

遺産総額計算の注意点

プラスの財産で特に注意すべきなのが、「不動産」です。額面通りを計上すればいい現金などと違い、評価の仕方で価格が大きく違ってくるからです。想定外の評価額になり、多額の相続税が発生して納税資金に困ってしまった、といった事態は珍しくないのです。

相続人は、借金などの被相続人の負債も受け継がなくてはなりません。マイナスの財産がプラスの財産を上回った場合には、相続で損をすることになります。そうしたケースでは、相続放棄によって負債の肩代わりを免れることが可能ですが、プラスの財産も相続することはできなくなります。

基礎控除以外の特例、控除を解説

相続税には、基礎控除以外にも、次のような控除があります。これらを使うことによって、遺産額が基礎控除額を超えていても、「相続税ゼロ」になる場合があります。

相続税の配偶者控除

配偶者は、相続した財産額が1億6,000万円まで、あるいは法定相続分までは、無税で相続することができます。配偶者がこの特例を使って目いっぱい財産を相続することにより、残りの財産額を大幅に減らして、相続税を減額、あるいはゼロにすることが可能です。

ただし、その配偶者が亡くなった相続(二次相続)では、今度は相続人である子どもに高額の相続税が課税される可能性があります。一次相続の際の配偶者控除の利用は、二次相続まで見通した計画性が必要でしょう。

小規模宅地等の特例

自宅や事業所を受け継ぐ場合に利用できる特例で、土地の評価額を最大80%減額できますから、やはり「節税効果」は抜群です。ただ、例えば自宅の場合は、相続する人が被相続人と同居していた、などの要件を満たす必要があります。

未成年者控除

満18歳未満の法定相続人は、「(18歳-相続開始時の年齢)×10万円」を相続税額から差し引くことができます。

障害者控除

心身に障害を持つ法定相続人に適用できる控除で、「(85歳-相続開始時の年齢)×10万円」を相続税額から差し引けます。

相次相続控除

今回の相続から10年前以内に、被相続人が相続によって財産を取得し、相続税を納めていた場合、前回の相続時に納めた相続税額の一部を、今回の相続税から控除することができます。

「相続税ゼロ」でも申告が必要なケースに注意

遺産総額が基礎控除額以内の場合には、相続税の納税も申告も必要ないといいましたが、例外もあります。今説明した「配偶者控除」や「小規模宅地等の特例」などを利用した結果、基礎控除額を下回った場合には、納税は不要ですが、申告は必須ですから注意してください。

まとめ

相続税には、遺産総額から無条件で差し引ける基礎控除額があります。金額は相続人の数によって決まり、遺産がこの基礎控除額以下であれば、相続税の支払い義務はありません。ただ、遺産の評価や、他の控除の利用などについては、判断が難しい場合も多くあります。遺産が高額な場合、遺産に不動産が含まれる場合などには、相続に詳しい税理士などの専門家に相談するのがいいでしょう。

この記事の執筆者
相続財産センター編集部
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