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実家の相続で相続税はどのくらいかかる?家の相続の注意点は? 基本を解説

実家の相続で相続税はどのくらいかかる?家の相続の注意点は? 基本を解説

2022年12月21日

やがて相続することになる実家(親名義の家)がある場合、気になることの1つが相続税です。そもそも容易に金額が確認できる現金、預貯金などと違い、土地、建物はいくらするのかが、すぐにはわかりません。評価額が予想外にハネ上がり、税金が高額になった結果、納税資金に困ることも珍しくはないのです。不動産に関する相続税はどのように計算され、どんな心づもりが必要なのでしょうか。ポイントを解説します。

まず相続、相続税について確認

相続財産とは?

相続税は、被相続人(亡くなった人)の遺産額が一定金額を超えるとかかってくる税金です。課税対象となる遺産には、預貯金、家や土地などの不動産、株式などの有価証券、貴金属類・骨董品・美術品などがあります。また、死亡保険金や死亡退職金といった「みなし相続財産」などもカウントされます。

一方、被相続人に債務などの「マイナスの財産」があれば、今の「プラスの財産」から差し引くことができます。そうして計算したのが、相続税の「課税価格」です。

遺産はいくらから課税される?

「相続税は遺産が一定額を超えるとかかる」といいましたが、この「一定額」に当たるのが、相続税の「基礎控除額」です。この金額は、法定相続人の人数によって変わり、次のように計算します。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

例えば、法定相続人が妻と子ども2人の計3人だった場合には、「基礎控除額=3,000万円+600万円×3=4,800万円」という計算になります。

さきほどの「課税価格」が、この基礎控除額以下ならば、相続税はかかりません。このラインを超えた場合には、その超えた部分に課税されることになります。今の例(法定相続人3人)で、夫の残した遺産の「課税価格」が1億円だったとすると、実際に相続税がかかるのは、そこから基礎控除額の4,800万円を差し引いた5,200万円です。このように、遺産額のうち、相続税の課税対象となる部分を「課税遺産総額」といいます。

法定相続人とは?

基礎控除額の計算にも出てきますが、相続においては「誰が法定相続人なのか」というのは、大きなポイントです。相続人には、次のような決まりがあります。

まず、被相続人の配偶者は、常に法定相続人です。それ以外の人に関しては、第1順位~第3順位までがあり、前の順位の人が1人でもいる場合には、後の順位の人は相続人にはなれません。

  • ・第1順位:子ども(亡くなっている場合は孫)
  • ・第2順位:父母(亡くなっている場合は祖父母)
  • ・第3順位:兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥姪)

実家はいくらにカウントされるのか

家と土地を別々に計算

では、本題の「実家にかかる相続税」について話を進めましょう。説明したように、相続税は、すべての遺産の合計額をベースに計算されます。不動産は高額で、遺産額全体に占める割合が大きくなるうえ、評価の仕方によって価格が変動します。実家がいくらになるかで、支払う相続税の金額には大きな差が生まれる可能性があるということです。

相続に関する不動産の評価については、まず次の2点を押さえておきましょう。

  • ・家屋と土地は別々に評価する。
  • ・それぞれの相続財産としての評価額は、基本的に実勢価格(売買価格)とは異なる。

では、具体的にみていきます。

建物の評価は「固定資産税評価額」となる

被相続人が住んでいた住居の相続税評価額は、シンプルに「固定資産税評価額×1.0」です。固定資産税評価額は、毎年4月に市区町村役場から送付される「固定資産税納税通知書(課税明細)」で確認することができます。役所の窓口で、「固定資産税評価証明書」を入手することも可能です。

固定資産税評価額は、3年ごとに「評価替え」(改定)が行われます。

土地の評価は2通り

■路線価方式

原則として、市街地など「路線価(相続税路線価)」が定められている地域の土地は、それを用いて評価を行います。計算式は、次のようになります。

相続税評価額=相続税路線価×面積×補正率

路線価というのは、相続税の計算などのために、その土地が面している道路ごとに付けられた1㎡当たりの金額で、毎年1月1日を評価時点とし、7月1日に公表されます。この路線価は、その土地の周辺の時価(実勢価格)として公表されている「地価公示価格」のおよそ80%に設定されます。

■倍率方式

路線価の付けられていない土地については、固定資産税評価額を元にその土地の評価額を算出します。計算式は、次のようになります。

相続税評価額=固定資産税評価額×国税局長が地域ごとに定める倍率

固定資産税評価額は3年ごとに、また国税局長が地域ごとに定める倍率については毎年改定されます。

土地の評価額は引き下げが可能

土地の現況は、それぞれ違います。メインの評価法である路線価方式には「補正率」が設けられており、例えば「間口が小さく狭い」「周囲の騒音が気になる」といった特殊な宅地に関しては、減額が認められています。

ただし、どんな場合にどれだけの補正が可能なのかについては、専門家の知識や経験が必要です。補正をかけなければ、必要のない税金まで支払うことになる可能性があり、逆に減額しすぎれば、税務署から「過少申告」を指摘されるかもしれません。

さらに8割減額可能な「小規模宅地等の特例」がある

また、もともと親と同居していて、親の死後、その土地に住み続ける場合には、その評価額を最大80%減額できる「小規模宅地等の特例」の対象となります。同居はしていなかったけれど、相続開始前3年以内に自己所有の家に住んでいなかった子どもにも、相続でこの特例を受けられる可能性があります(「家なき子特例」)。

例えば、路線価方式で評価した土地の価格が5,000万円だった場合、この特例を使えば1,000万円まで減額できるということです。なお、この小規模宅地等の特例は土地が対象で、家屋には適用されません。

相続税の計算方法

法定相続分で「仮の税額」を算出

こうした実家の評価額も含めた遺産には、具体的にどのくらいの相続税がかかるのでしょうか?

最初に説明したように、相続税の課税対象になるのは、相続税の「課税価格」から「基礎控除額」を差し引いた「課税遺産総額」です。普通に考えると、その「課税遺産総額」に所定の税率をかけて税金の総額を出し、それを各人の取り分に応じて割り当てる、といったシンプルな方法が思い浮かぶのですが、相続税の計算は、そうはなっていません。

まず、相続税の総額を計算するのですが、それは、
①相続人それぞれが、法定相続分に従って課税遺産を受け取ったと仮定して、その取得金額に応じた各人の「仮の相続税額」を計算する
②全ての相続人の①を合算する
という、少しややこしいやり方になっているのです。

①の計算式は、

課税遺産総額×法定相続分=法定相続分に応ずる取得金額×税率-控除額

となります。取得金額ごとの税率および控除額は、以下の通りです。

相続税の速算表

法定相続分に応じる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

「控除額」というのは、取得金額に税率を掛けた金額から、一律に差し引く金額のことです。

例えば、課税遺産総額が1億6,000万円で、法定相続分が1/4だったら、その人の「仮の相続税額」は、「1億6,000万円×1/4=法定相続分に応ずる取得金額4,000万円×税率20%-控除額200万円=600万円」となるわけです。

遺産は、被相続人の遺言書や、相続人の遺産分割協議によって、法定相続分とは異なる分け方が可能です。繰り返しになりますが、ここでの各相続人の取得金額は、あくまでも「法定相続分に従って分けた場合の金額」であることに注意してください。

相続税額を計算する

こうして求めた各人の税額を合計したものが、今回の相続による相続税の総額です。各人が負担する相続税は、この金額をそれぞれが実際に取得する遺産の割合で按分して計算します。

仮に以下のような条件で計算してみましょう。

  • ・課税遺産総額1億6,000万円
  • ・課税対象額5,000万円の実家のみ相続
  • ・さきほどの方法で求めた相続税の総額が1,000万円

実際にもらう遺産の割合は、
実家5,000万円÷課税遺産総額1億6,000万円=31.25%ですから、
支払う相続税は、
1,000万円×31.25%=312万5,000円
ということになります。

該当する税額控除があれば、差し引ける

相続税には、次のような税額控除があります。該当する場合には、最後にこれを差し引いて納税します。

贈与税額控除

・暦年贈与(毎年一定額を贈与)の場合

相続が発生する前3年以内の贈与は、もらった財産の金額を、相続税の計算の時に相続財産に足し戻さなくてはなりません(「生前贈与加算」)。贈与税を支払っていた場合には、その金額を相続税額から控除することができます。

・相続時精算課税(2,500万円までは無税で生前贈与可能)

その名の通り、相続が発生した時に相続税で「清算」する贈与です。2,500万円を超えていた部分に払った贈与税があれば、その金額は控除できます。

配偶者控除

配偶者は、相続した財産額が1億6,000万円まで、あるいは法定相続分までは、無税で相続することができます。非常に節税効果の大きな控除ですが、これを使って配偶者が多くの遺産を相続すると、その人が亡くなった相続(二次相続)では、相続人である子どもに高額の相続税が課税される可能性があります。

未成年者控除

満18歳未満の法定相続人は、「(18歳-相続開始時の年齢)×10万円」を相続税額から差し引くことができます。

障害者控除

心身に障害を持つ法定相続人に適用できる控除で、「(85歳-相続開始時の年齢)×10万円」を相続税額から差し引けます。

相次相続控除

今回の相続から10年前以内に、被相続人が相続によって財産を取得し、相続税を納めていた場合、前回の相続時に納めた相続税額の一部を、今回の相続税から控除することができます。

実家の相続における注意点

実家の相続においては、相続税以外にも、以下のような注意すべき点があります。。

「空き家」にするリスク

自分は別に家を持っているので、実家には住まない――。だからといって、そのまま放置するのは問題です。誰も住んでいなくても、固定資産税や都市計画税(市街化調整区域の不動産が対象)は課税されるのです。

さらに、国から「放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれ」などがあるとして、「特定空き家」に指定されると、固定資産税が通常の6倍、都市計画税が3倍にハネ上がる可能性が生じます。実際に倒壊などにより周辺に損害を与えた場合には、損害賠償を請求されるリスクもあります。

「誰も住まない実家」は、なるべく早く売却や不動産活用などの方策を考える必要があります。

相続登記が義務化される

今の話に関連するのですが、増え続ける空き家対策の一環として、相続登記(相続した不動産の名義変更)が義務化されます。具体的には、相続で不動産を取得した人には、その取得を知った日から3年以内に相続登記申請を行うことが義務付けられ、正当な理由なく登記をしないと、10万円以下の過料(国や公共団体が国民に課す金銭納付命令)の対象となります。義務化の施行は2024年4月からですが、法改正以前から登記されていない不動産も対象となります。

そもそも、不動産を相続登記しないでおくと、売却も活用もできません。第三者に登記された場合には、それに対抗できなくなるというリスクもあるのです。

「とりあえず共有」は避けるべき

みんなが欲しい不動産だから、逆に“お荷物”を背負いたくないから、と子ども同士で「とりあえず共有名義にしておこう」と考えるのも、リスキーです。共有状態だと、不動産を処分する場合に名義者全員の同意が必要になるなど、意思決定が難しくなります。その状態で中の誰かが亡くなると、相続でその子どもなどが名義人に加わるため、さらに状況は複雑化するでしょう。

親が元気なうちから相続を考える

これは実家の対策に限らないのですが、遺産を譲る親が元気なうちから相続対策を考えることが重要です。例えば、親が認知症になってしまうと法律行為が行えなくなり、相続についても手が打てなくなってしまいます。節税対策は、時間的な余裕のある方が選択肢は多く、早い時点で遺産分割の方針を固めていくことは、相続人が揉める危険性を減らすことにもつながるのです。

まとめ

親名義の家の相続税について、基本的なポイントをお話ししました。相続が気になる場合には、親とも相談して、早めに対策を始めましょう。不動産は相続税の計算に与える影響が大きく、また評価額の算出方法などによって結果が大きく違ってきます。必要に応じて、不動産に詳しい税理士などの専門家にアドバイスを求めることをお勧めします。

この記事の執筆者
相続財産センター編集部
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