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亡くなった人の「知らない不動産」放置はNG!調べることができる「名寄帳」とは?
2023年4月28日
被相続人(亡くなった人)の財産に不動産が含まれていた場合には、相続の際に名義変更(相続登記)が必要です。もちろん、相続税も支払わなくてはなりません。「いらない不動産だから」と故意に放置することはもちろん、被相続人が不動産を持っていることを知らなかった場合でも、そのままにすると思わぬペナルティの対象になる可能性がありますから、注意が必要です。相続の際に、故人の不動産を調べることができる「名寄帳」(なよせちょう)をご存知でしょうか?どんなものなのか、どうしたら取得できるのか、解説します。
不動産を相続したらやるべきこと
相続登記が義務化される
土地などの不動産を相続した場合には、法務局で相続登記を行う必要があります。従来、登記を行わなくても罰則はなかったのですが、2024年4月1日からは、これが義務化されます。全国で空き家をはじめとする「所有者不明土地」が増加し、さまざまな問題が生じている事態に対応するのが目的です。
相続で不動産取得を知った日から3年以内に、正当な理由がなく登記・名義変更手続きをしないと10万円以下の過料の対象となります。法改正以前に所有している相続登記が済んでいない不動産についても、義務化の対象です。
期限までに相続税の申告・納税を行う
被相続人の残した財産が相続税の基礎控除(「3,000万円+600万円×法定相続人の数」)を超える場合には、相続開始から10カ月以内に、税務署に相続税の申告・納税を行わなくてはなりません。税務署に対しては、「忘れていた」というような言い訳は通用しません。相続人に非のある申告漏れが発覚すると、本来支払う税額に加えて、「加算税」「延滞税」などが追徴されることになります。
「知らない不動産」に注意
被相続人が所有していた不動産に関しては、毎年、市区町村から送られてくる固定資産税の納税通知書で所在地などを確認することができます。しかし、被相続人が共同持分権者として所有しているものの代表者が別の人だったり、農地、山林など評価額が安価なため固定資産税が課税されていなかったりするケースでは、納税通知書は送付されません。そのため、相続人がその存在に気づかず、放置されてしまうことがあるのです。
このような場合でも、被相続人の「名寄帳」を取得すれば、不動産の存在やその中身を知ることができます。被相続人がそのような不動産を所有している可能性があるときには、取得して確認すべきでしょう。
被相続人の不動産の確認方法
名寄帳とは?
名寄帳とは、固定資産税を課税するために市区町村が作成している「固定資産税課税台帳」を、所有者ごとにまとめたものです。要するに、ある人がその市区町村に所有する不動産の一覧表で、ここにはさきほどの非課税の不動産なども記載されています。
具体的には、次のような情報が載っています。
- ・不動産の所有者の情報
- ・不動産の情報(種類、所在地、用途、地積、家屋番号、持分割合など)
- ・固定資産税評価額
- ・固定資産税の課税標準額
これらから不動産の所有状況を把握したり、相続税評価額の計算をしたりできるわけです。 被相続人の不動産が「不明」のときばかりでなく、所有する不動産の数が多い場合などにも取得するメリットがあるでしょう。
取得方法は?
名寄帳は、不動産の所在地を管轄する市区町村役場の資産税課(東京23区は都税事務所)で、閲覧・取得することができます。自治体により異なりますが、取得には1通300円前後の手数料がかかります。
郵送で請求することもできます。その場合は、次に述べる必要書類の写しに加え、手数料分の「定額小為替」と、切手を貼った返信用封筒を同封しましょう。定額小為替は、郵便局で購入することができます。
自治体によっては、電子申請(必要書類は郵送)に対応していることもあります。
申請に必要な書類
名寄帳を閲覧できる人には制限がありますが、故人の「法定相続人」であれば問題ありません。
法定相続人が閲覧・取得する場合に必要になるのは、次の書類です。代理人が申請することもできますが、その場合には、別途相続人の委任状が必要です。
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■申請者の本人確認書類(①は1種類で可、②③の場合は②2種類か②+③で2種類)
- ① 官公署が発行した書類(顔写真付き):運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど
- ② 官公署が発行した書類(顔写真なし):国民健康保険・健康保険・介護保険または後期高齢者医療の被保険者証、共済組合員証、国民年金手帳など
- ③ ①②以外の特定の本人名義の書類:国税または地方税の納税通知書、公共料金領収書、金融機関のキャッシュカードなど
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■法定相続情報一覧図:登記所(法務局)に戸除籍謄本などと併せて相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を提出することで、登記官がその一覧図に認証文を付して写しを交付するもの
- 〈法定相続情報一覧図がない場合〉
- ・被相続人が亡くなったことがわかる書類(住民票の除票、除籍謄本など)
- ・相続人の現在の戸籍謄本、抄本
以上は、東京都の場合です。詳細は、各自治体にお問い合わせください。
利用する際の注意点
「他の自治体」の不動産は記載がない
名寄帳に記載があるのは、請求をした市区町村内の所有不動産に限られる点に注意しましょう。 複数の市区町村に別々の不動産を所有している場合には、該当する自治体へそれぞれ請求を行う必要があります。
不動産所有の状況が変化していることがある
固定資産税の課税の関係で、名寄帳に記載されるのは、その年の1月1日時点で所有していた不動産の明細です。1月2日から被相続人が亡くなる日までの間に、その不動産の売却や、新たな取得を行っていたとしても、その情報は反映されていません。
法人名義の不動産は記載されない
被相続人個人に関する名寄帳を取得した場合、そこに記載されているのは、個人名義の不動産のみです。経営していた会社の法人名義で不動産を所有していたときには、法人名で名寄帳を取得する必要がありますから、これも要注意です。
まとめ
被相続人が所有する不動産の情報は、市区町村が持つ名寄帳で確認することができます。ただし、他の自治体の情報は記載されていないこと、必ずしも現状を反映していない場合があることなどには、注意が必要です。ケースによっては、相続に詳しい弁護士、税理士などの専門家の手を借りて、正確を期すようにしましょう。