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子ども名義の口座でお金を貯めるときには贈与税などに注意が必要

子ども名義の口座でお金を貯めるときには贈与税などに注意が必要

2023年6月22日

子どもの将来を考えて、子ども用の口座を開いてお金を貯めたいと考える人もいるでしょう。生活費などと分けて、確実に子どものための預貯金ができるのはメリットですが、気をつけるべき点もあります。中でも贈与税には注意が必要で、せっかく貯めたお金が減ってしまう可能性があるだけでなく、場合によってはペナルティの対象になることもあるのです。そうしたリスクを回避する方法を中心に解説します。

子ども名義の口座を作るメリット

最初に、あらためて子ども用の口座を作る意味、メリットを考えてみます。

「子どものお金」を区別して貯められる

まだ幼い子どもがもらったお年玉や祝い金などは、親が預かって管理する必要があります。その際、子ども名義の口座を作っておいて、その都度入金するようにすれば、生活費などと混同させることなく、「子どものお金」として貯めていくことができます。

教育費、独立資金などが貯められる

親が子どもの将来の教育資金などを貯める場合にも、子ども用の口座に積み立てていくという方法があります。 やはり、ついつい生活費として支出してしまった、といったことを防いで、確実にお金を残せるメリットがあります。

将来まとまったお金を子どもに渡すことができる

成人や結婚、出産といった人生の節目に、まとまった資金を渡すことができます。自分の名前で貯金してきてくれたことに、子どもは感謝するはずです。

ただ、“サプライズ”で子ども名義の通帳を渡したりする行為は、要注意です。後述する「名義預金」を疑われ、贈与税の課税対象とされる可能性があるからです。

子どもの「マネー教育」に役立つ

例えば、親が手伝いながらお年玉を入金したり、小遣いを引き出したりすることで、お金そのものや、金融機関の仕組みなどを子どもが学ぶ機会になるでしょう。

見落としがちな子ども名義の口座のデメリット

ただし、子ども名義の口座を作る場合には、次のような問題点を認識しておく必要があります。

子が成人後は、親は自由にお金の引き出しなどができなくなる

子どもが未成年のうちは、親が法定代理人の立場で口座を管理し、お金を引き出したり、他の金融機関に振り込みを行ったりすることができます。しかし、成人すると、そうした操作を行うためには、名義人の委任状が必要になります。必要書類の準備なども含めて手続きが必要なため、急ぎの対応が難しくなることもあります。

2022年4月から成人年齢が18歳に引き下げられていますから、この点はなおさら注意が必要かもしれません。子どもが成人後は、親が管理したい資金(例えば大学の学費)がある場合には、必要な分を親の口座に移すなどの手立てをとりましょう。

10年以上の利用がないと「休眠口座」になる

金融機関の口座は、10年以上取引実績がないと、「休眠口座」となります。子どもの幼少期に口座を開設してそのままにしている、といった場合には注意が必要です。

休眠口座になったとしても、払い戻しは可能ですが、必要書類などを用意したうえで窓口での手続が必要となったり、金融機関側の手続きに時間を要したりします。定期的に口座をチェックして、預貯金を出し入れするなどの取引実績を作っておくようにしましょう。

特に注意すべき贈与をめぐる問題

贈与税とは

子ども名義の口座で、最も注意すべきなのが贈与税です。

贈与税とは、個人から個人へ財産を渡したときにかかる税金で、1月1日~12月31日までの1年間に譲られた金額で計算され、受け取った側の人に税金がかかります。ただし、贈与税には110万円の基礎控除があり、これを超えた分が課税対象になります。1年間の贈与が110万円以下ならば、課税されません

つまり、子どもに非課税で贈与を行うためには、年間110万円以下に抑えればいい、ということです。

贈与税が課税される「名義預金」とは

子どものために子ども名義の口座に入れたお金なのだから、当然「子どものお金」と思われるかもしれません。しかし、税法上は、「親のお金」とされることがあります。典型的なのが、親が子どもに内緒で口座を開き、せっせとそこにお金を貯めている、というパターンです。

こうした預貯金を「名義預金」(実際のお金の持ち主とは違う人の名義で預けられている預金)といいます。収入のない専業主婦が夫の給料から積み立てたへそくりも、この名義預金として、相続の際などに問題になることがあります。

贈与税の基礎控除の話をしましたが、贈与は「財産を渡した」「もらった」という双方の意思があって成立するものであることに、注意しなくてはなりません。子どもが存在を知らない名義預金の場合は、親が入金した時ではなく、子どもが通帳を受け取った時が、贈与のタイミングになります。例えば、毎年30万円ずつ10年積み立てていたら、300万円(贈与金額)-110万円(基礎控除額)=190万円に贈与税がかかってくるわけです。

贈与税が発生する場合には、確定申告が必要です。今の例で、「1年に30万円ならば、贈与税はかからないはず」と勘違いして申告しなかった場合、税務署に見つかると、本来支払うべき税に加えて、「加算税」「延滞税」というペナルティを課されることになります

贈与税を発生させないためにすべきこと

では、子ども名義の口座で贈与税が発生しないようにするためには、どうすればいいのでしょうか? ポイントは、2つあります

子どもに贈与であることを認識させ、基礎控除を活用する

今説明したように、毎年、基礎控除の枠を使って贈与を行っていくためには、親子間で「贈与を行っている」という共通認識が必要です。正確に言えば、子が未成年の場合は親権者の同意のみで問題ないのですが、成人した後は、贈与契約がないと(子どもが贈与の事実を知らないと)贈与にはならず、その時点で基礎控除の非課税枠を使うことはできないのです。

成人したら、子どもに贈与の事実を伝えましょう。毎年、贈与契約書を作成し、保管しておけば安心です

通帳などを子どもが管理し、名義預金の疑いを排除する

名義預金とみなされないためには、預金通帳、キャッシュカード、銀行印は子どもが管理し、口座からの引き出しや預け入れも自由にできる状態にしておくことが必要です。子どもに任せるのに不安を覚えるかもしれませんが、お年玉を一緒に入金する、引き出すときは目的をはっきりさせて、やはり親と一緒に引き出しに行く、といった点を徹底すればいいのではないでしょうか。自分で自分のお金を管理している、という自覚を育てることにもつながります。

逆にいえば、そうした対処が難しい場合には、子ども名義の口座の開設というのは、考え直した方がいいかもしれません。

非課税でまとまったお金を渡せる制度もある

贈与税の基礎控除とは別に、まとまった金額を非課税で渡せる次のような制度があります。

教育資金:最高1,500万円

教育資金を贈与する場合、最高1,500万円まで非課税になる「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」があります。入学費・授業料、教材代・文具費用、通学の交通費用、修学旅行費、塾・各種教室などの月謝などに適用されます。ただし、学校以外に支払った教育資金の非課税限度額は500万円です。

住宅取得資金:最高1,000万円

住宅取得資金に対しても、贈与を受けた人ごとに省エネ等住宅の場合には1,000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円までの贈与が非課税となります。

結婚・子育て資金:最高1,000万円

子どもの結婚・子育て資金の贈与については、1,000万円まで非課税となります。非課税措置を受けるためには、「結婚・子育て資金非課税申告書」を金融機関経由で税務署に提出することが必要です。贈与した金銭が、結婚や子育て資金として使われたことが証明可能な記録も求められます。

子ども名義の口座を開設するには

以上を踏まえたうえで、子ども用の口座を開設したいと考えるときには、次のような書類などを揃え、窓口で手続きを行うのが一般的です。

  • ● 親の本人確認書類:運転免許証・健康保険証・住民票の写しなど
  • ● 名義人(子ども)の本人確認書類:健康保険証・住民票の写しなど
  • ● 子どもの印鑑
  • ● 入金用現金

このほか、銀行によって別の書類の提出などを求められることがありますから、事前に調べておいてください。

まとめ

子ども名義の口座を作ることには多くのメリットがありますが、多額の贈与税が発生しないよう、注意しなくてはなりません。不明な点は、税理士に相談するようにしましょう。

この記事の執筆者
相続財産センター編集部
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