- 相続に強い税理士を探す >
- 今知りたい!相続お役立ち情報 >
- 相続の手続きの期限一覧をチェックしよう!期限を過ぎたらどうなる?
相続の手続きの期限一覧をチェックしよう!期限を過ぎたらどうなる?
2024年2月21日
身近な人が亡くなると、葬儀の手配や各種届け出に加え相続の手続きを行います。例えば被相続人(亡くなった方)の相続財産が負債のみで放棄を希望する際には、3カ月以内に相続放棄の手続きをします。手続きをしないと、自動的に相続を承認したとみなされ相続人が負債を引き継ぐことになってしまいます。
今回は相続の手続き期限の一覧、相続関連でやるべきこと、手続きをしなかった場合はどうなるのか、解説していきます。
相続の手続き期限の一覧表を確認しておこう
身近な人が亡くなってからやるべきこと、各種届出・相続の手続き期限などを一覧表で見ていきましょう。
相続の手続き、期限の一覧表をチェックしておこう
手続き | 期限 | 届け出先 |
---|---|---|
死亡届の提出 | 亡くなった日(または亡くなったことを知ってた日から)7日以内 | 亡くなった場所・本籍地または届出人の所在地を管轄する役所 |
葬儀の手配 | 早めに | 葬儀社 |
通夜・告別式 | 亡くなってから数日以内 | |
被相続人が世帯主で、15歳以上の方が2人以上残っている場合:世帯主変更届 | 亡くなった日(または世帯主の変更があった日または亡くなったことを知ってから)から14日以内 | 役所 |
国民健康保険に加入していた場合:資格喪失の届け出 | 亡くなった日(または亡くなったことを知ってた日から)14日以内 | 役所 |
年金を受給している場合:「受給権者死亡届(報告書)」の提出※日本年金機構に個人番号(マイナンバー)が収録されている場合は不要 | 早めに | 日本年金機構 |
遺言書の有無を確認 | 早めに | |
相続財産の調査・確定 | 早めに | |
相続人の調査・確定 | 早めに | |
相続放棄・限定承認 | 相続の開始があったことを知った亡くなった日(または亡くなったことを知ってから)日から3カ月以内 | 亡くなった人(被相続人)の最後の住所地の家庭裁判所 |
被相続人の準確定申告 | 相続の開始があったことを知った日亡くなった日(または亡くなったことを知った日)の翌日から4カ月以内 | 被相続人が亡くなった時の納税地の税務署 |
遺産分割協議相続の手続き(相続財産の名義変更など) | 早めに | 金融機関・不動産会社・保険会社など被相続人が相続財産を預けた場所 |
相続税の申告・納付 | 相続の開始があったことを知った日亡くなった日(または亡くなったことを知った日)の翌日から10カ月以内 | 被相続人の最後の住所地の税務署 |
遺留分侵害額の請求 | 相続の開始および遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から1年又は相続開始の時から10年 | 相手方の住所地の家庭裁判所もしくは当事者が合意で定める家庭裁判所 |
被相続人が国民年金の第1号被保険者として保険料3年以上納めた場合:死亡一時金の受け取り請求 | 亡くなった日の翌日から2年以内 | 役所または年金事務所・年金相談センター 厚生年金や国民年金第3号加入期間のある方は日本年金機構 |
生命保険金の受け取り | 亡くなった日の翌日から原則3年以内 ※保険会社によって対応が異なる可能性がある |
契約先の保険会社 |
不動産を相続した場合:相続登記 ※2024年4月1日から義務化だが、2024年3月31日以前の不動産も義務化の対象 |
不動産の相続を知った日から亡くなった日(または亡くなったことを知った日)から3年以内 | 管轄の法務局 |
上記の中で特におさえておきたい手続きは、①3カ月以内の相続放棄・限定承認、②4カ月以内の準確定申告、③10カ月以内の相続税申告・納付です。
③の相続税申告・納付までに、相続財産の調査や遺産分割協議などを行っておく必要があります。
相続の手続き、期限が決まっていなくても早めに行うべき事とは
相続では、まず被相続人が遺言書を残したか確認を行い相続財産や相続人の調査・確定をする必要があります。
上記の調査は遺産分割協議をするために必要ですので、期限はありませんが早めに行うことをおすすめします。
被相続人との続柄 | 相続人の範囲 |
---|---|
配偶者 | 常に相続人になる |
子どもなど直系卑属 子どもが亡くなっている際には孫 |
第1順位 |
親・など直系尊属 親が亡くなっている際には祖父母 |
第2順位 第1順位の人がいないときに相続人になる |
兄弟姉妹 兄弟姉妹が亡くなっている際には甥または姪 |
第3順位 第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になる |
相続人の調査は、被相続人の戸籍謄本などを参考に行いましょう。
法定相続人ではないものの遺言書などによって遺産を受け取る人を「受遺者」といいます。
相続財産は、遺言書・エンディングノートがある場合はそれらを参考にします。
遺品の中から預金通帳・契約書・年賀はがきなどを探す方法の他に、生前被相続人とやり取りがあった銀行・保険会社・証券会社・不動産会社などに取引の有無を問い合わせることで遺産が発覚することがあります。
被相続人がネット銀行やネット証券会社などに口座を開設している場合は、ネット上の預貯金・有価証券・暗号資産など「デジタル遺産」の有無も調べておきましょう。
被相続人の遺言書がある場合には、原則遺言書どおりに遺産分割をします。ただし遺産分割協議において、法定相続人・包括受遺者(遺産の○割といった形で遺産を受け取る人)が全員遺言書とは異なる相続に賛成している際には遺言書の内容どおりでなくても構いません。
遺言書または遺産分割協議の結果に従い遺産を分割します。
相続の手続きを詳しく解説
相続開始から6カ月以内
相続開始から7日以内には死亡届を提出し、葬儀の手配などと並行して健康保険の資格喪失など各種届出を行います。お通夜と告別式・四十九日が終わった後は、本格的に相続の手続きを進めていきましょう。
相続放棄・限定承認をする場合には3カ月以内に、被相続人の準確定申告は4カ月以内に手続きをしなくてはいけません。
相続放棄とは被相続人の相続財産を全て放棄することで、限定承認とは相続で得た財産の限度で被相続人の債務を受け継ぐ手続きです。相続放棄は相続人1人でも手続きができますが、限定承認は相続人全員が合意しないと手続きができません。
限定承認は、例えば被相続人に借金がありどのくらいの金額が分からないケースなどで利用されます。
準確定申告は、1月1日から被相続人が亡くなった日までに確定した所得金額および税額を計算し申告するものです。
被相続人が個人事業をしており、誰にも申告内容が分からないといった特殊なケースは税理士に相談することをおすすめします。
遺言書の有無を確認、相続財産の調査・確定、相続人の調査・確定もできるだけ早めに行っておきましょう。
遺産分割に定められた期限はありませんが、相続税の申告・納付が10カ月以内ですので相続税申告の前には遺産分割を行いましょう。
相続財産の額が相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以内であれば、相続税はかかりません。申告も不要です。
相続開始から3年以内
相続開始から3年が過ぎると、被相続人の生命保険金を受け取る権利がなくなってしまいます。
長期で海外赴任をしていたなどやむを得ない事情があり、保険金の請求ができなかった際には保険会社に相談してみましょう。
2024年4月1日からは、相続した不動産の登記が義務化されます。正当な理由がなく相続登記をしなかった場合は10万円以下の過料が科される可能性がありますので、法務局で所有権移転の手続きを行いましょう。
2024年4月1日より前に相続した不動産も相続登記義務化の対象ですが、3年間の猶予期間があります。
相続の手続き、期限が過ぎたらどうなる?
相続の手続きで、最初に期限をむかえるのは相続放棄・限定承認(3カ月以内)です。
相続放棄と限定承認は、期限を過ぎると自動的に「相続を承認した」とみなされ被相続人の遺産を受け継ぐことになってしまいますので注意しましょう。
3カ月で決定できない際には「相続の承認又は放棄の期間の伸長」を家庭裁判所に申し立てると、期限を延長できます。
その他の手続きで期限が過ぎてしまうと、税金軽減制度が適用されない、過料や延滞税が科されてしまう恐れがあります。
期限をむかえる前に、管轄の省庁や役所に相談する、税理士や弁護士などの専門家に相談するといった対策をとることをおすすめします。
まとめ
身近な人が亡くなると、葬儀の手配や知人・親戚への連絡などやるべきことは数多いです。しかし、相続の手続きには期限がありますので四十九日が過ぎたらまずは相続人・相続財産の調査を進めていきましょう。調査が難しい場合には弁護士など専門家に相談しましょう。