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株式を相続する方法とは?手続き(名義変更)や評価額、税金について解説
2024年4月10日
相続財産に株があり、上場株式の場合は被相続人(亡くなった方)の口座がある金融機関に連絡を行い、必要書類を揃え所定の書類に必要事項を記入して返送することで株式の相続(名義変更)が可能です。
評価方法は上場株式・非上場株式によって異なりますが、いずれも定められた方法で評価を行います。
非上場株式の相続は複雑ですので、税理士など専門家に依頼することもあります。
今回は上場株式・非上場株式を相続する方法、相続税における評価の方法、相続した株式を売却する方法、株式の相続における注意点をお伝えしていきます。
株式(上場・非上場)を相続する方法
被相続人の相続財産の中に株式がある場合の、相続の流れや方法を見ていきましょう。
上場・非上場株式の相続の流れ
上場株式・非上場株式の相続の大まかな流れは、以下のとおりです。
被相続人が亡くなり、自動的に相続開始 | |
遺言書の有無を確認、相続財産の調査・把握、相続人の調査・把握など | |
相続放棄・限定承認※1の申し立ての期限(3カ月以内) | |
被相続人の準確定申告※2(4カ月以内) | |
(遺産分割協議が必要な場合) 遺産分割協議を行う |
|
相続人・相続割合、方法などが決定 遺産分割協議で決まった場合は遺産分割協議書を作成する |
|
上場株式の場合 | 非上場株式の場合 |
---|---|
証券会社に連絡をする | 評価額を調べる |
必要書類を準備、証券会社に提出 | 株式会社のオーナーに連絡を行い、相談、所定の手続きをする |
上場株式の相続(名義変更) | 非上場株式の相続(名義変更) |
相続税の申告・納付(10カ月以内) |
※1相続放棄とは被相続人の相続財産を全て放棄すること、限定承認とは相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務を受け継ぐこと。
※2その年の1月1日から被相続人が亡くなった日までの所得税などの申告をする
上場株式は、証券会社など金融機関を通じて手続きを行います。
非上場株式は評価が難しいため、相続を希望する際には税理士に評価を依頼することがあります。
非上場株式の相続は、単に財産を相続するだけではなく、株式会社の株主としての権利も引き継ぐことになります。
保有株式の割合が多いと企業の経営にも関わることになりますので、まずはオーナーと相談することをおすすめします。
株式の分割・名義変更の方法とは
株式を含め、相続財産の分割方法には以下の4つがあります。
書類 | 分割方法 |
---|---|
現物分割 | 現物の財産をそのまま分割する |
換価分割 | 財産を売却して売却代金を分割する |
代償分割 | 相続人のうち1人が代表して相続を行い、代償として他の相続人に金銭や財産を渡す |
共有分割 | 持分割合に応じて共有財産にする |
相続人の中に「株式を相続しても、運用の方法が分からない」「相続したくない」という方がいる時には代償分割、相続人全員が株式の運用に興味が無い場合には換価分割などケースに応じて分割方法を決めましょう。
代償分割は、代表で相続をした者が他の相続人に代償金や代償財産を譲る方法です。
代表となる相続人が資産を持っていることが前提となりますが、相続人が会社の後継者で非上場株式を引き継ぐといったケースで利用されます。
上場株式は、共有名義にすると相続人全員の意向を聞きながら運用しなくてはいけません。例えば株価が上がった時に1人でも反対する相続人がいると売却できないため、トラブルに発展しやすいといわれています。
非上場株式を共有名義にする際には、権利を行使する者を1人定めて会社に通知する必要があります。
(共有者による権利の行使)
第106条 株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。
出典:会社法
非上場の共有株式は、権利を行使するにあたってトラブルが起こりやすい傾向にあります。
非上場株式は上場株式に比べ評価や相続の手続きが煩雑ですので、相続人が次期経営者であるといったケースを除き換価分割をする事例が多いです。
相続における株式の評価方法
上場株式の評価方法
上場株式は以下4つのうち最も低い価額で評価を行います。
- 1.課税時期(相続または遺贈の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)の最終価格
- 2.課税時期の属する月の毎日の最終価格の月平均額
- 3.課税時期の属する月の前月の毎日の最終価格の月平均額
- 4.課税時期の属する月の前々月の毎日の最終価格の月平均額
出典:国税庁「上場株式の評価」
上場株式は市場が開いている間は常に値動きがありますので、上記のように幅を持たせ「評価額×株式数」で評価します。
なお、負担付贈与や個人間の対価をともなう取引で取得した上場株式の価額は、上場されている金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格です。
非上場株式の評価方法
非上場株式・取引相場のない株式は、相続や贈与などで株式を取得した企業の規模、株主が株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主かそれ以外の株主かの区分などにより評価方法が異なります。
例えば、同族株主以外の株主が取得した株式は、発行会社の規模にかかわらず「配当還元方式」という特例的な方法で評価します。
同族株主が取得した場合は、株式を発行した会社を総資産価額、従業員数・取引金額により大会社・中会社・小会社に区分し「原則的評価方式」で評価を行います。
非上場株式等の贈与税・相続税の納税猶予・免除
「非上場株式等」とは、中小企業者である非上場会社の株式または出資(医療法人の出資を除く)を指します。制度の対象となる非上場株式等は、議決権に制限のないものです。
事業の後継者である受贈者・相続人などが、認定を受けている非上場会社の株式等を贈与・相続・遺贈により取得し、贈与税・相続税に関して一定の要件を満たした場合には納税を猶予する制度があります。
この制度を法人版事業承継税制といい、「一般措置」と「特例措置」の2つがあります。特例措置については、事前の計画策定等や適用期限が設けられていますが、納税猶予の対象となる非上場株式等の制限の撤廃や、納税猶予割合が引き上げられているなど一般措置と異なる点があります。
相続した株式を売却する方法
上場株式は市場で売却する
上場株式は市場が開いている間に、金融機関を通じて指し値または成り行きで売買が可能です。
指し値とは指定した値段、成り行きとは値段を指定せずに売買することです。
非上場株式は買い手を見つけなければならない
非上場株式は、上場株式とは異なり買い手もしくは譲り受ける人を探す必要があります。
会社の経営にも関わりますので、経営者と相談しながら慎重に検討しましょう。
株式を相続する際の注意点
株式を相続する際には、被相続人の口座の種類に注意しましょう。
被相続人の口座がNISA(非課税口座)の場合は、金融機関に「非課税口座開設者死亡届出書」を提出し、亡くなった日に非課税期間は終了します。
非課税口座にある金融商品は、相続する場合は相続人の課税口座(一般・特定口座)に払い出されます。相続人が非課税口座を持っていても非課税口座に受け継ぐことはできません。
課税口座の場合は、相続人が被相続人と同じ証券会社に課税口座を持っている場合は金融機関に申請し、移管の手続きをします。
相続人が口座を持っていない場合には、被相続人が口座を保有していた金融機関に口座を開設してから手続きを行うことになります。
まとめ
「株式の相続」と聞くと難しいイメージを抱く方は多いかもしれませんが、この記事を参考にする、金融機関の担当者や税理士に相談するなどの方法で相続を進めていきましょう。