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相続時に必要な「確定申告」を完全網羅!相続税・準確定申告・相続後の所得申告まで徹底解説
2024年12月24日
- この記事の監修者
- スエナガ会計事務所
代表 末永 寛
相続が発生すると、「どの確定申告が必要なの?」「相続税だけでなく、他にも申告することがあるの?」といった疑問を抱く方は少なくありません。実は、相続後には相続税の確定申告はもちろん、被相続人(亡くなった方)の所得税に関する準確定申告や、相続後に発生する自分自身の所得税申告など、複数の申告が絡み合います。本記事では、これらをまとめてわかりやすく解説します。
相続が発生したら知っておくべき3つの「確定申告」
相続後の確定申告は、実は一枚岩ではありません。実は相続に関する確定申告には3つの重要な種類があり、それぞれ申告時期や手続きが異なります。これらを正しく理解することで、相続手続きの道筋が明確になります。
相続税の確定申告とは何か
相続税の確定申告は、相続財産が基礎控除額を超えた場合に必要となる手続きです。基礎控除額は「3,000万円 + 600万円×法定相続人の数」で計算します。例えば、配偶者と子供2人の場合、基礎控除額は4,800万円となります。
相続税の確定申告が必要なケース
相続税の確定申告が必要となる具体的なケースをご紹介します。
- マイホームと預貯金を合わせて基礎控除以上の遺産がある場合
- 都心部の土地や複数の不動産を相続する場合
- 生命保険金や退職金などの非課税財産を除いても基礎控除額を超える場合
なお、配偶者には税額軽減の特例があり、法定相続分までの相続であれば実質的に相続税が非課税となる場合があります。
被相続人の所得税を申告する「準確定申告」
準確定申告は、故人の1月1日から亡くなった日までの所得税を申告する手続きです。相続人が故人に代わって行う最後の確定申告となります。
準確定申告が必要な収入の種類
以下のような収入がある場合は、準確定申告が必要となります。
- 確定申告が必要な事業所得(個人事業主としての収入)
- 不動産所得(アパート経営などの家賃収入)
- 給与所得(年末調整が済んでいない場合)
- 年金収入(一定額以上の場合)
- 株式の譲渡所得や配当所得
申告期限は被相続人が亡くなってから4ヶ月以内です。期限を過ぎると加算税が課されることがあるため、早めの準備が重要です。
相続財産取得後に発生する相続人自身の所得税申告(家賃収入・売却益など)
相続した財産から新たに収入が発生した場合、これは相続人自身の所得として確定申告が必要となります。見落としがちですが、実は多くの方が該当する可能性がある申告です。
申告が必要となる主な収入パターン
相続財産から発生する収入には様々な種類があります。
- 相続した不動産からの家賃収入
- 相続した株式からの配当金収入
- 相続した不動産を売却した際の譲渡所得
- 相続した事業を継続することで得られる事業所得
これらの収入に対する確定申告を怠ると、後々の税務調査で指摘される可能性があります。特に不動産の相続後は、固定資産税の支払い先が変更になることで税務署に所有者変更の情報が届くため、より慎重な対応が求められます。
相続税の確定申告が必要になるケースと手続きの流れ
「相続税の申告は必要なのだろうか?」これは多くの方が直面する疑問です。実は、日本の相続案件のうち、実際に相続税の申告が必要となるのは約8%程度といわれています。ただし、土地や建物、預貯金など、遺産の合計額が一定額を超える場合は、適切な申告と納税が必要です。
基礎控除と課税遺産総額の計算方法
相続税の基礎控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という計算式で求められます。この金額までは相続税が課されません。
具体的な計算例で理解する基礎控除
法定相続人の人数によって、基礎控除額は大きく変わります。
- 配偶者と子供1人の場合:3,000万円+600万円×2人=4,200万円
- 配偶者と子供2人の場合:3,000万円+600万円×3人=4,800万円
- 子供3人の場合:3,000万円+600万円×3人=4,800万円
相続財産の評価額合計がこの基礎控除額を超えた場合に、相続税の申告が必要となります。
非課税財産・控除特例を踏まえた申告要否の判断基準
相続財産の中には、相続税の計算上、課税対象とならない「非課税財産」があります。また、様々な特例措置を利用することで、実質的な課税価格を大幅に減額できる場合があります。
主な非課税財産と特例措置
非課税となる主な財産には以下のようなものがあります。
- 生命保険金:法定相続人1人あたり500万円まで
- 死亡退職金:法定相続人1人あたり500万円まで
- 香典や花輪の現金:社会通念上妥当な金額
さらに、以下のような特例措置を活用することで、課税価格を大きく圧縮できる可能性があります。
- 配偶者の税額軽減特例:配偶者が法定相続分または1億6,000万円までの財産を相続する場合、原則として相続税が非課税
- 小規模宅地等の特例:自宅や事業用地の評価額を最大80%減額
- 農地等の納税猶予制度:農地を継続して農業に使用する場合の特例
申告期限(相続開始から10カ月)と必要書類の一覧
相続税の申告期限は、相続開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内です。この期限を過ぎると、加算税や延滞税が課される可能性があります。
申告に必要な主な書類と入手方法
申告には多くの書類が必要となります。早めの準備を心がけましょう。
基本書類
- 戸籍謄本一式(被相続人と相続人全員分)
- 住民票(相続人全員分)
- 遺産分割協議書
- 印鑑証明書(相続人全員分)
財産関係書類
- 不動産登記簿謄本
- 不動産評価証明書
- 固定資産評価証明書
- 預貯金残高証明書(死亡日時点)
- 有価証券残高証明書
- 生命保険金支払証明書
- 死亡退職金支払証明書
これらの書類は、市区町村役場、金融機関、保険会社など、それぞれ異なる窓口での取得が必要です。特に不動産評価証明書の取得には時間がかかることがあるため、できるだけ早めに準備を始めることをお勧めします。
なお、相続税の申告書の作成は非常に複雑で、専門的な知識が必要となります。不安な場合は、税理士に相談することで、適切な申告と節税対策を検討することができます。
準確定申告(被相続人の所得税)を行うときのポイント
相続手続きの中でも「準確定申告」は特に見落としがちな手続きです。しかし、これは故人の最後の確定申告として重要であり、場合によっては相続人に還付金が戻ってくる可能性もある大切な手続きです。
準確定申告が必要なケース(被相続人の年収・年金・事業所得など)
準確定申告の必要性は、故人の収入状況によって判断します。以下のような収入があった場合は、原則として申告が必要となります。
主な申告必要ケースと判断基準
収入の種類別に、申告が必要となる具体的な条件をご説明します。
給与所得の場合
- 年末調整が済んでいない給与収入がある
- 給与収入が2,000万円を超えている
- 給与を2か所以上から受けている
年金収入の場合
- 公的年金等の収入金額が400万円を超えている
- 複数の年金を受給している
- 公的年金等以外の所得が20万円を超えている
事業所得の場合
- 個人事業主として事業収入がある
- 不動産賃貸収入がある
- 保険外交員や外交販売員としての収入がある
申告期限(死亡から4カ月以内)・必要書類・納税方法
準確定申告は死亡を知った日の翌日から4カ月以内に行う必要があります。この期限は相続税の申告期限(10カ月)より大幅に短いため、特に注意が必要です。
申告に必要な書類と準備の進め方
申告には以下の書類が必要となります。
基本的な必要書類
- 所得税の確定申告書(準確定申告用)
- 死亡したことを証明する書類(死亡診断書のコピーなど)
- 戸籍謄本(相続人であることの証明)
- 印鑑証明書
所得の種類別に必要な書類
- 給与所得の場合:源泉徴収票
- 年金収入の場合:公的年金等の源泉徴収票
- 事業所得の場合:帳簿書類、収支内訳書
- 医療費控除の場合:医療費の領収書
これらの書類は、勤務先、年金事務所、取引先など、複数の機関から取り寄せる必要があります。スムーズな申告のために、できるだけ早めに準備を始めることをお勧めします。
過払い税金の還付手続きとメリット
準確定申告は、単なる義務としてだけでなく、税金の還付を受けられる機会としても重要です。
還付が期待できるケース
以下のような場合、税金の還付を受けられる可能性があります。
- 源泉徴収された所得税が納付すべき税額を超えている場合
- 医療費控除の対象となる支払いが多額にある場合
- 生命保険料控除や社会保険料控除が未申告の場合
- 寄附金控除の対象となる支出がある場合
還付金は相続財産として扱われ、相続人が受け取ることができます。特に入院期間が長かった場合などは、医療費控除により多額の還付を受けられる可能性もあるため、慎重に検討する価値があります。
なお、準確定申告は一般の確定申告と比べて特殊な手続きとなるため、不安な場合は税理士に相談することをお勧めします。税理士に依頼することで、適切な申告手続きと、還付可能な税額の最大化を図ることができます。
相続財産取得後の確定申告(相続人自身の税務対応)
相続によって取得した財産は、新たな収入を生み出す可能性があります。これらの収入に対する確定申告を適切に行わないと、後々の税務調査で指摘を受けるリスクがあります。ここでは、相続後に必要となる確定申告について、財産の種類ごとに詳しく解説します。
相続した不動産から家賃収入が出る場合の申告方法
賃貸不動産を相続した場合、家賃収入は相続人の不動産所得として申告が必要です。適切な申告と経費処理を行うことで、節税効果も期待できます。
必要経費として認められる主な支出
不動産所得の計算では、以下のような費用を必要経費として差し引くことができます。
管理費・修繕費関連
- 建物の修繕・メンテナンス費用
- 共用部分の管理費や修繕積立金
- 火災保険料
- 不動産管理会社への委託費用
税金・公共費用
- 固定資産税・都市計画税
- 不動産取得税
- 水道光熱費(共用部分)
借入金関連
- ローン利子(相続した借入金がある場合)
- ローン手数料
これらの経費は、必ず領収書や契約書を保管し、経費台帳をつけておくことをお勧めします。
相続不動産を売却した場合の譲渡所得申告と注意点
相続した不動産を売却した場合、その譲渡益に対して所得税・住民税が課されます。ただし、相続開始から3年10ヶ月以内に売却する場合は、特例措置が適用できる可能性があります。
取得費が不明な場合
相続した古い物件では、取得時の書類が見つからないことも少なくありません。そのような場合には、以下の対応が可能です。
- 概算取得費の特例:売却価額の5%を取得費とみなす方法
- 固定資産税評価額を基にした計算:相続時の評価額を基に取得費を算出
- 実地調査や近隣物件との比較による推計
なお、概算取得費の特例を使用する場合、実際の取得費が5%を超えていても、超過分は考慮されません。慎重な検討が必要です。
相続した株式・投資信託の配当金や譲渡益に対する申告
株式や投資信託を相続した場合、配当金や売却益に対する適切な申告が必要となります。申告方法の選択によって税負担が変わる可能性があるため、状況に応じた最適な選択が重要です。
申告方法の選択と税負担の比較
特定口座での対応
- 源泉徴収あり:確定申告不要(原則20.315%の源泉徴収で完了)
- 源泉徴収なし:確定申告が必要
総合課税を選択する場合
- 配当控除の適用が可能
- 他の所得と損益通算が可能
- 所得控除の活用により税負担が軽減される可能性
受け取った死亡保険金・退職金の扱いと申告手続き
死亡保険金と死亡退職金は、一定額まで非課税とされますが、それを超える部分については適切な申告が必要です。
非課税限度額と申告の要否
死亡保険金
- 非課税限度額:法定相続人1人につき500万円
- 限度額を超える部分は相続税の課税対象
- 生命保険金の支払調書を基に申告
死亡退職金
- 非課税限度額:法定相続人1人につき500万円
- 限度額を超える部分は相続税の課税対象
- 退職金の支払証明書を基に申告
これらの各種申告は、期限や計算方法が複雑なため、不安な場合は税理士に相談することをお勧めします。適切な申告により、余計な税負担やペナルティを避けることができます。
期限遅れによるペナルティとスケジュール管理のコツ
相続に関する確定申告は、種類によって異なる期限が設定されており、それぞれの期限を守らないと思わぬペナルティが発生します。ここでは、申告期限の管理方法と、万が一期限に間に合わない場合の対処法について解説します。
期限後申告・延滞税・無申告加算税などのリスク
確定申告の期限切れは、単なる「遅刻」では済まされません。税額に応じて高額なペナルティが課される可能性があります。
申告遅延時に発生する主なペナルティ
延滞税
- 納付すべき税額に対して年14.6%(納期限から2カ月以内は年7.3%)
- 期間に応じて加算されるため、放置すると雪だるま式に増加
無申告加算税
- 本来の税額の15%
- 納付すべき税額を隠蔽・仮装していた場合は40%に引き上げ
不申告加算税
- 相続税の場合:本来の税額の15%(50万円超の部分は20%)
- 特に悪質な場合は最大40%まで引き上げ
相続発生後から申告までのタイムライン例と計画立案術
相続手続きを確実に進めるためには、逆算での計画立案が効果的です。以下の標準的なスケジュールを参考に、余裕を持った計画を立てましょう。
月次でみる具体的なスケジュール例
相続開始直後(1カ月目)
- 死亡届の提出
- 相続人の確認
- 戸籍謄本等の収集開始
- 預貯金の凍結解除手続き
2~3カ月目
- 財産の調査と評価
- 準確定申告の準備
- 相続人間での話し合い開始
- 必要書類の収集継続
4カ月目
- 準確定申告の提出期限
- 遺産分割協議の本格化
- 相続税申告の準備開始
5~7カ月目
- 不動産評価額の確定
- 相続税申告書の作成開始
- 専門家への相談(必要に応じて)
8~10カ月目
- 申告書の最終確認
- 納税資金の準備
- 相続税の申告・納付
延長申請や専門家サポートを活用したリスク回避方法
予期せぬ事態で申告期限に間に合わない可能性が出てきた場合、早めの対策が重要です。
期限内申告が難しい場合の対応策
申告・納付期限の延長が認められる場合
- 災害により資料が消失した場合
- 相続人が重病で手続きが困難な場合
- 遺産分割協議が難航している場合
- 相続財産の評価に時間を要する場合
専門家の活用方法
- 税理士への依頼:申告書作成と期限管理を一任
- 信託銀行の活用:財産管理と納税資金の調整
- 弁護士への相談:遺産分割で意見が対立した場合
事前対策のポイント
- 相続開始後すぐに専門家へ相談
- 必要書類の早期収集着手
- 相続人間での定期的な情報共有
- 納税資金の計画的な準備
特に、以下のような場合は早めの専門家相談をお勧めします。
- 相続財産が高額な場合
- 不動産や事業用資産が含まれる場合
- 相続人間で意見が分かれている場合
- 海外資産がある場合
これらの期限管理と専門家の活用により、確実な申告手続きと適切な納税が可能となります。
- 記事監修者からのワンポイントアドバイス
-
相続税の申告期限と納付期限は「相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」となっています。この期限までに「申告書の提出」と「相続税の納税」の両方を済ませる必要があります。そして相続税は、基本的に「現金一括納付」です。
相続税の申告期限を過ぎた場合、通常の相続税に加え延滞税や無申告加算税(悪質な場合は重加算税)を課せられます。
また、期限内申告をしない限り適用できない特例や税額控除(小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減等)がある為、申告期限を過ぎると本来受ける予定の税額控除等が受けられず、重い相続税負担が課せられることになります。
よって、期限内申告に支障を来たさないよう資料等を準備し、早めに専門家に依頼するなど、余裕を持ったスケジュール管理が重要となり、合わせて納税資金の確保も重要な課題となります。 - スエナガ会計事務所
代表 末永 寛
特例・控除制度を活用して相続税負担を軽減する
相続税には様々な特例や控除制度が用意されており、これらを適切に活用することで納税額を大きく圧縮できる可能性があります。ただし、それぞれの制度には適用条件があり、条件を満たさないと特例が使えないケースもあります。以下で、主要な特例と控除制度について詳しく解説します。
小規模宅地等の特例のポイントと適用条件
小規模宅地等の特例は、相続税の計算において最も強力な節税効果を持つ特例の一つです。
居住用や事業用の土地について、その評価額を最大80%減額できます。ただし、特例を受けるためには相続税の申告書の提出が必要な点に注意が必要です。詳細は国税庁のウェブサイト(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/shikata-sozoku2018/pdf/10.pdf)をご確認ください。
特例の適用区分と減額割合
居住用宅地(特定居住用宅地等)
- 減額割合:80%
- 適用限度面積:330㎡まで
- 主な要件:
- 被相続人の居住用宅地であること
- 相続人が相続後も居住を継続すること
事業用宅地
- 減額割合:80%
- 適用限度面積:400㎡まで
- 主な要件:
- 事業を継続すること
- 被相続人が事業に使用していた土地であること
貸付事業用宅地
- 減額割合:50%
- 適用限度面積:200㎡まで
- 主な要件:
- アパートなどの貸付事業を継続すること
- 被相続人が貸付事業に使用していた土地であること
配偶者の税額軽減・未成年者控除・障害者控除の基本概要
これらの控除は、相続人の状況に応じて適用される基本的な控除制度です。適切に活用することで、相続税負担を軽減することができます。
家族構成を踏まえた控除選び
配偶者の税額軽減
- 配偶者が実際に取得した正味の遺産額が1億6,000万円までか、配偶者の法定相続分相当額のいずれか大きい金額まで、配偶者の相続税額が軽減
- 申告期限までに実際に財産を取得していることが条件
- 配偶者の税額軽減を適用するには、期限内申告が必須
未成年者控除
- 控除額:18歳に達するまでの年数×10万円
- 対象:相続開始時に18歳未満の相続人
- 計算例:15歳の相続人の場合、(18歳-15歳)×10万円=30万円の控除
障害者控除
- 一般障害者:85歳に達するまでの年数×10万円
- 特別障害者:85歳に達するまでの年数×20万円
- 対象:身体障害者手帳所持者、精神障害者保健福祉手帳所持者など
他にもある節税特例と適用時の注意点
特定の状況下で適用できる特例制度も多数存在します。ただし、これらの特例は条件が厳格で、一度適用すると取り消しが難しい場合もあります。
事業承継税制
- 適用条件:
- 中小企業の株式等を相続する場合
- 雇用の8割以上を5年間維持
- 代表者として経営に従事
- メリット:納税猶予額最大100%
- 注意点:条件を満たせなくなると、猶予税額と利子税の納付が必要
農地の納税猶予制度
- 適用条件:
- 農地等を相続し、農業を継続する場合
- 20年間等の営農継続が必要
- メリット:農地の相続税額の納税を猶予
- 注意点:営農を中止すると、猶予税額と利子税の納付が必要
これらの特例や控除は、適用を誤ると思わぬ追徴課税を受ける可能性があります。特に以下のような場合は、税理士への相談をお勧めします。
- 複数の特例を組み合わせて適用する場合
- 事業用資産や農地を相続する場合
- 相続財産に不動産が多く含まれる場合
- 相続人に配偶者や未成年者、障害者が含まれる場合
専門家のアドバイスを受けることで、適切な特例の選択と確実な適用が可能となり、相続税の軽減を最大限図ることができます。
専門家の力を借りて申告をスムーズに
相続に関する手続きは、一般の確定申告と比べてはるかに複雑です。特に相続税の申告では、財産評価の方法や各種特例の適用判断など、専門的な知識が必要となります。ここでは、専門家に依頼するメリットと選択のポイントについて解説します。
税理士に依頼するメリット・費用相場・依頼のタイミング
税理士は相続税申告のプロフェッショナルとして、申告手続き全般をサポートします。専門家への依頼により、相続財産の洗い出しから評価額の算定、適用可能な特例の検討、申告書類の作成まで、確実な手続きが期待できます。
また、納税資金の検討や遺産分割の税務上の影響分析、二次相続を見据えた資産承継対策など、幅広いアドバイスを得ることができます。
費用面では、以下が一般的です。
- 基本料金:20~50万円程度
- 相続財産額に応じて0.5~2%程度の報酬
ただし、地域や依頼内容により金額は大きく異なるため、早めに相談して見積もりを取ることをお勧めします。
専門家の力を借りて申告をスムーズに
相続に関する手続きは、一般の確定申告と比べてはるかに複雑です。特に相続税の申告では、財産評価の方法や各種特例の適用判断など、専門的な知識が必要となります。ここでは、専門家に依頼するメリットと選択のポイントについて解説します。
税理士に依頼するメリット・費用相場・依頼のタイミング
税理士は相続税申告のプロフェッショナルとして、申告手続き全般をサポートします。専門家への依頼により、相続財産の洗い出しから評価額の算定、適用可能な特例の検討、申告書類の作成まで、確実な手続きが期待できます。また、納税資金の検討や遺産分割の税務上の影響分析、二次相続を見据えた資産承継対策など、幅広いアドバイスを得ることができます。
費用面では、基本料金として20~50万円程度、さらに相続財産額に応じて0.5~2%程度の報酬が一般的です。ただし、地域や依頼内容により金額は大きく異なるため、早めに相談して見積もりを取ることをお勧めします。
- 記事監修者からのワンポイントアドバイス
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税理士に相続税申告を依頼する場合、相続財産が多いと相続税計算に時間を要します。特に土地の数が多いと財産評価に手間と時間を要する為、早めの準備をしておかなければ、期日に間に合わない事も考えられます。
また、依頼のタイミングは、相続が発生した当初から税理士を探すようにし、できれば生前から探しておく事が望ましいです。なお、申告期限が迫って依頼する場合、割増料金を設定している税理士が多いので注意が必要です。
税理士によって専門分野が異なり、税理士だから相続税に精通しているとは限りません。ホームページ等で得意分野を調べるようにし、できれば、初回の無料相談により不明点を解決しておきましょう。その際、自宅からの近さや相性、質問のしやすさもよく確認する事をお勧めします。 - スエナガ会計事務所
代表 末永 寛
信託銀行や金融機関によるサポートサービスの活用方法
信託銀行や金融機関は、相続手続きをワンストップでサポートするサービスを提供しています。相続財産の調査・把握から相続関係書類の収集代行、遺産分割協議のサポートまで、包括的なサービスを受けることができます。特に大規模な相続案件や、複雑な資産構成の場合に力を発揮します。
ただし、相続税申告については税理士との別途契約が必要となることが多く、預金残高などにより手数料体系が異なる点には注意が必要です。契約前に詳細な説明を受け、サービス内容をしっかりと確認しましょう。
自力申告との比較による判断材料と意思決定のポイント
専門家への依頼を検討すべき状況としては、相続財産が高額な場合、不動産や事業用資産が含まれる場合、海外資産がある場合などが挙げられます。また、相続人が多数いる場合や、相続人間で意見が分かれている場合も、専門家の介入が有効です。
判断の際は、相続財産の総額と申告費用の比較だけでなく、自身の時間的余裕の有無、相続に関する知識・経験の有無、将来的なトラブル回避の重要度なども考慮しましょう。特に初めての相続手続きでは、専門家のサポートを受けることで、安心して手続きを進めることができます。確実な手続きの実施と将来的なリスク回避を重視するなら、専門家への依頼は十分な価値があるといえるでしょう。
まとめ
相続に関連する税務手続きは、一見複雑で難しく感じられるかもしれません。しかし、相続税の確定申告、準確定申告、相続後の所得申告という3つの大きな柱を理解することで、全体像が明確になります。
相続税の申告においては、基礎控除額や各種特例制度の活用が重要です。また、被相続人の所得税に関する準確定申告は死亡後4カ月、相続税の申告は10カ月という期限があり、計画的な準備が欠かせません。申告期限に遅れると予期せぬペナルティが発生する可能性もあるため、十分な余裕を持って対応することをお勧めします。
手続きに不安を感じる場合は、税理士などの専門家に相談することで、より確実な申告が可能となります。相続に関する税務手続きは、故人への最後の務めであると同時に、次世代への資産承継の第一歩でもあります。この機会に正しい知識を身につけ、計画的に手続きを進めることで、円滑な相続の実現につながるでしょう。
- この記事の監修者
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代表 末永 寛
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