【2024年版】確定申告の必要書類や準備事項は?税理士に依頼する場合・自分で申告する場合でそれぞれ解説

【2024年版】確定申告の必要書類や準備事項は?税理士に依頼する場合・自分で申告する場合でそれぞれ解説
この記事の監修者
徳門税理士事務所 所長 徳門 仁来(税理士・行政書士)
 
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個人事業主は、毎年、税務署に所得税の確定申告をしなければなりません。申告は、もちろん自分ですることもできますし、税理士に依頼することもできます。それぞれ、どんな準備が必要になるのか、そもそもどんな場合に税理士に頼むべきなのかを解説します。

2024年(令和5年分)の確定申告期間は2024年2月16日(金)~2024年3月15日(金)です。確定申告に関しては国税庁の令和5年分確定申告特集 もご参照ください。

確定申告を税理士に依頼する際に必要なこと・準備するものリスト

まず最初に、税理士に確定申告を依頼するにあたり必要なことや準備するものを一覧で見ていきます。

必要なこと

  • □ 税理士に依頼する内容を決める
  • □ 税理士を選ぶ

準備するもの

  • □ 領収書
  • □ 請求書
  • □ 預貯金の通帳やネットバンキングの取引記録(コピー)
  • □ 支払調書
  • □ 控除に関する書類

税理士に依頼する際に必要になること・準備するものを詳しく解説

では、確定申告を税理士に依頼する場合に必要になること・準備するものを、順を追ってみていきましょう。

税理士に依頼する内容を決める

実は、申告の税理士への依頼の仕方は、大まかに分けて2つの方法があります。

領収書や請求書を日付・金額・科目などの項目ごとに記録していく「記帳業務」を含めたすべてを税理士に依頼する(=丸投げ)方法と、「申告書の作成と申告のみ頼む」というふうに一部をお願いする方法です。どのように依頼するかを決めないと、準備するものや依頼者自身でしなければならないことが定まりませんので、まずはどちらで依頼するのかを決めましょう。

当然、税理士にすべてを任せればより安心で、手間もかかりません。ただ、その分のコストは覚悟する必要があります。記帳などを自分でやれば、その分の手間はかかりますが、事業の状況をよりリアルに掴めるというメリットもあります。

税理士を選ぶ

「丸投げ」か否かも踏まえて、自分に合った税理士を選んで決めます。費用はどれくらいかかるのか、業界知識はあるか、気軽に相談に乗ってくれそうか、といった点がポイントになるでしょう。

ネットで検索するのが手軽ですが、顧問契約など長期的なお付き合いを考えている場合は、客観的な視点で税理士を選ぶことのできる税理士紹介会社を利用するのもいいでしょう。

税理士に丸ごと依頼する場合に必要なもの

確定申告・記帳に当たって税理士から提出を求められる文書には、次のようなものがあります。

領収書

節税 のためには、事業のために使った費用=「必要経費」を漏れなく正確に計上することが不可欠です。支出を証明する領収書は確実に発行してもらい、紛失しないように注意しましょう。経費にできるのかどうか判断に迷うような場合にも取っておいて、税理士の判断を仰ぐのがいいでしょう。

記事監修者からのワンポイントアドバイス
適正な利益を計算するために、まず事業に使った経費は全て領収書等を残しておくことが大事です。領収書等を残し経費に計上することで、結果的に節税につながります。
徳門税理士事務所 所長 徳門仁来(税理士・行政書士)

請求書

受け取った請求書も、領収書と同様に取引の証拠となる文書ですから、支払い後も保存し、税理士に渡します。

預貯金の通帳やネットバンキングの取引記録(コピー)

できれば、事業専用の口座を開設し、管理すべきでしょう。以上の文書については、「すべてが揃ってからまとめて」ではなく、大抵は毎月あるいは四半期ごとといった期間で提出を求められます。また、取引記録は、CSVなどのデータで税理士に送ったり、会計ソフトに連携しておくことで、通帳記帳やコピーの手間を省くことができます。

支払調書

報酬を支払った先から発行される文書で、1年間の報酬額のほか、源泉徴収額、消費税額などが記載されています。これは法定調書(税務署が納税者の正確な支払いを把握するための書類)と呼ばれますが、確定申告書に添付する必要はありません。

控除に関する書類

例えば生命保険の保険料は、税金の計算のベースになる所得から差し引く(控除する)ことができます。ただしそのためには、控除の文書を忘れずに税理士に渡さなくてはなりません。

税理士に頼めば、“安全・確実・手間いらず”で申告できる

所得税は、納税者自らが税額を計算し、申告・納税することになっています。個人事業主の場合は、1月1日から12月31日までの1年間の所得について、確定申告書、決算書などの必要書類を揃えて、翌年3月15日までに税務署に申告を行います。これを基に納税するわけですが、税を源泉徴収されている場合などには、納め過ぎの税金が返ってくる(還付される)こともあります。

電子申告(e-TAX)の導入もあって、自分で申告を行う人もたくさんいます。ただ、確定申告のためには、日々の取引に関する帳簿付け(記帳)も必要になります。面倒くさいからと申告をパスしたり、申告内容を間違えたりすると、追徴課税(※)などのペナルティを課せられることもあるのです。

そうした心配にとらわれることなく、時間もエネルギーもすべて事業に注ぎたいという人には、税理士の活用をお勧めします。税のプロである税理士に任せれば、確実な申告をしてくれるだけでなく、節税のアドバイスも受けられるでしょう。

※追徴課税:申告漏れや脱税の目的で、本来支払うべき税金よりも納税した金額が少なかった場合に、追加で税金を支払うこと。過少申告加算税などの「加算税」、「延滞税」がある。
記事監修者からのワンポイントアドバイス
税理士に依頼することで、確定申告という煩わしいタスクから解放され、精神的にも安心してより事業に身が入ることでしょう。
 
徳門税理士事務所 所長 徳門仁来(税理士・行政書士)

コストを少しでも下げるためには

先ほども触れましたが、「丸投げ」ではなく、例えば記帳業務を自分でやれば、税理士に支払う費用を減らすことができるでしょう。ただし、その場合には、作業時間の確保、記帳についてのある程度の知識などが必要になります。
そのほかにも、

  • 年明け後の繁忙期ではなく、申告期限まで余裕を持ったタイミングで依頼をする(税理士によっては、まれに確定申告期間中のみ料金設定を変更している場合があります)
  • 連絡手段は直接対面ではなく、電話・メール・郵送など遠隔でやり取りできる方法に限定する

といった方法で、コスト削減が図れる可能性があります。コスト削除については、税理士と交渉するだけでなく、税理士コーディネーターに相談してみるのも良いでしょう。

確定申告を自分で行う際に必要なこと・準備するものリスト

次に、確定申告を自分で行う場合についてみていきます。

必要なこと

  • □ 「青色申告」か「白色申告」かを決める

準備するもの

  • □ 確定申告書
  • □ 領収書
  • □ 請求書
  • □ 預貯金の通帳やネットバンキングの取引記録(コピー)
  • □ 支払調書
  • □ 控除に関する書類

自分で行う場合に必要になること・準備するものを詳しく解説

「青色申告」か「白色申告」かを選ぶ

「青色申告」とは、複式簿記に基づく方法などによって取引を記録(記帳)し、かつ、記録した帳簿書類の保存や棚卸し表の作成など“一定の条件”を満たす場合に、節税となる様々な特典を受けられる制度です。一方で、「青色申告ではない申告」が「白色申告」です。ざっくり言えば、「青色」は申告までの作業が大変なぶん、特典が受けられる。「白色」は特典が少ないけれど、申告は比較的簡便になる、と考えてください。

青色申告の特典を受けるためには、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日(その年の1月16日以後に開業した場合は、開業から2ヵ月以内)までに「青色申告承認申請書」を税務署に届ける必要があります。

記事監修者からのワンポイントアドバイス
開業届や青色申告承認申請書などの届け出も税理士が代理で提出可能です。事業を始める段階で早めに税理士を探しておけば、慣れない申請手続きのサポートも含め税理士をうまく活用できます。
徳門税理士事務所 所長 徳門仁来(税理士・行政書士)

自分で申告を行う場合に必要なもの

個人事業主が確定申告・記帳に際して必要になる文書には、次のようなものがあります。

青色申告の場合

  • 確定申告書
  • 青色申告決算書
  • 所得控除を受けるための控除証明書
  • 支払調書など

青色申告では、1年間の売上や必要経費などを記載した「青色申告決算書」を作成して提出する必要があります。

白色申告の場合

  • 確定申告書
  • 収支内訳書
  • 所得控除を受けるための控除証明書
  • 支払調書など

白色申告では、1年間の売上や必要経費などを記載した「収支内訳書」を作成して提出する必要があります。

「確定申告書」「青色申告決算書」「収支内訳書」は、税務署の窓口や国税庁 のホームページからのダウンロードで入手することができます。e-Tax(電子申告)の場合は、紙の青色申告決算書や収支内訳書を提出する必要はありません。

マイナンバーを記載するのを忘れずに

なお、確定申告書には、当人の申告であることを確認するために、マイナンバー(個人番号)を記載する必要があります。さらに紙の確定申告書を提出する際には、本人確認書類による確認が行われます。本人確認には、申告書などに記載されたマイナンバーが正しい番号であることの確認である「番号確認」と、申告書等を提出する者が番号の正しい持ち主であることの確認である「身元確認」が必要です。
番号確認と身元確認のために必要なものは次のとおりです。

  • マイナンバーカードがある場合:マイナンバーカードは、それ1枚で番号確認と身元確認ができるため、カードだけ用意すればOKです。
  • マイナンバーカードがない場合:番号確認と身元確認ができる書類をそれぞれ1つずつ用意します。番号確認ができる書類は、マイナンバー通知カードや住民票の写しなどです。身元確認ができる書類は、運転免許証やパスポート、公的医療保険の被保険証などです。

その他

  • 領収書
  • 請求書
  • 預貯金の通帳やネットバンキングの取引記録(コピー)
  • 支払調書
  • 控除に関する書類

については、税理士に依頼する場合と同様です。

確定申告を自分で行うために普段から準備しておきたいこと

確定申告を自分でする場合には、申告書類の作成だけでなく、帳簿付け(記帳)の作業も必要になります。普段から特に心しておくべきなのは、この記帳と、領収書をはじめとする証明書類の確実な入手、保管です。

記帳を定期的に行う

さきほども述べたように、白色申告であっても帳簿付けが必要です(「青色」よりも簡便な方法で可)。確定申告の直前にまとめて記帳を行うのは大変なだけでなく、ミスにもつながります。仕事内容や取引の頻度などにもよりますが、毎日付けるのがベストです。最低でも1ヵ月ごとに記帳するように心がけましょう。
今は、数字を打ち込むだけで記帳ができたり、銀行口座やクレジットカードと紐付けられたりする会計ソフトがありますので、そうしたものを利用するのもいいでしょう。ただし、青色申告に必要な複式簿記の記帳や、経費の判断などには、ある程度の専門知識が必要になることも理解しておく必要があります。

領収書をしっかり保管する

「仕事に関連してこれだけ支出した」ということを証明してくれる領収書は、記帳の際にも必要ですから、支払先から忘れずにもらい、きちんと保管するようにしましょう。月ごと・科目ごとなどに分類してファイリングしておけば、ある程度まとめて記帳する際にも便利です。

なお、青色申告の場合、領収書は7年の保管が、白色申告の場合は5年の保管が義務付けられています。また、インボイス制度開始後、インボイス(適格請求書)を受け取った課税事業者が仕入税額控除を受ける場合には、青色申告・白色申告関係無く7年の保管が義務付けられています。万が一税務調査(※)になった場合には提出が求められるため、申告が終わったからといって廃棄しないように気をつけてください。

※税務調査:国税局や税務署が、納税者の税務申告が正しいかどうかをチェックするために行う調査。税務署が行う任意調査と、国税局査察部が行う強制調査がある。

確定申告を税理士に依頼した方が良い人とは?

こんな人は税理士に依頼するのがおすすめ

売上が増え、本業が多忙になった

当然のことながら、事業が軌道に乗り売上が伸びてくると、次第に忙しくなってきます。取引先が増え、領収書の枚数が増えれば、確定申告に向けた作業量も増加します。そうなると、申告業務を全部自分でやろうとすると、無理が生じることになるでしょう。記帳や申告業務に時間を取られて、本業に支障をきたす状況が生まれてしまうのでは本末転倒です。そうした作業を税理士に任せることで、本業に専念できます。

記事監修者からのワンポイントアドバイス
売上が伸びてきた場合、数字面でのサポートも必要ですし、法人化などの検討も出てくるかと思います。税理士と顧問契約を結び、随時相談することで意思決定に役立つこともあります。
徳門税理士事務所 所長 徳門仁来(税理士・行政書士)

青色申告をしたい

先ほども説明したように、確定申告には「青色申告」と「白色申告」があり、青色申告だと65万円の「特別控除」(電子申告ないし電子帳簿保存の場合)が受けられる、という特典があります。控除分は所得から差し引けるため、所得税率が20%だとすると、65万円×20%=13万円の節税になるのです。このほか、家族の給与を経費で落とせる・純損失の赤字を3年間繰り越せる…といったことも「青色」の特権です。

ただし、この青色申告にするためには、日々の取引を複式簿記という原則に基づいて記入し、保存しなくてはなりません。簿記の専門知識がないと難しいでしょう。依頼内容によって費用は異なりますが、13万円というのは税理士に普通に確定申告を依頼する場合の相場とも言える金額です。「青色申告の特別控除分で税理士を雇い、申告をすべて任せて、特典もゲットする」と割り切ることもできるのではないでしょうか。

こんな人は自分で確定申告をするのがおすすめ

費用をかけたくない

自分で確定申告を行う最大のメリットは、言うまでもなく「税理士費用が発生しない」ということです。特に起業したては、手持ち資金は限られるはず。売上が少ないうちは、会計ソフトなども活用しながら自分でやるのもいいでしょう。できるだけコストダウンを図るために、例えば記帳だけは自分でやって、申告業務を税理士に依頼する、といった方法を取ることもできます。

お金の流れをしっかり把握したい

個人事業主といえども「経営者」です。簿記の詳しい知識までは必要ありませんが、「会計とは何か」を大まかにとらえる能力は、できれば持っておきたいものです。最初から申告を税理士に”丸投げ“していると、今自分の事業はどうなっているのかを数字でつかむのは難しいかもしれません。作業時間などに余裕があるうちはあえて自分でやって、事業に関するお金の流れなどを勉強するというのも1つの考え方です。

確定申告で税理士を探している人へ

確定申告を税理士に「丸投げ」する場合にも、領収書などの必要書類を用意するのは、依頼者の責任になります。間違いなく申告を行い、節税するために、準備は怠りなく行いましょう。

記事監修者 徳門税理士からのアドバイス

確定申告においては、まず基本的なこととして、領収書などの証憑書類を確実に保管し、各種届出を期限内に行うことが重要です。これらの手続きが正確に行われなければ、スムーズに申告を進めることができません。

そして、自分で確定申告をするのは時間がかかります。一つ一つの手続きや専門用語を理解するには時間と労力が必要ですので、税理士に依頼することをおすすめします。税理士は単なる税務担当者ではなく、経営の相談相手として、ビジネスパートナーとなりうる存在です。顧問報酬もその一環として考えていただけると幸いです。

この記事の監修者
徳門税理士事務所 所長 徳門 仁来(税理士・行政書士)
煩雑な経理業務を最適化することで、経営者が本業にフォーカスし、売り上げアップを実現できるようにサポート。申告業務だけではなく、バックオフィスの最適化提案や人事労務目線での経営アドバイスにより、スタートアップ企業から法人まで幅広く対応する。

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この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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