税理士によって節税の対策にも差が出る!?節税に強い税理士を選ぶポイントを詳しく解説
- 最終更新日:
- 2024/11/11
- この記事の監修者
- 税理士紹介のパイオニア
株式会社ビスカス 代表取締役 八木美代子
「節税」とは何か?
「節税」は、法律(税法)の範囲内で支払う税金を軽減しようとする行為のことを言います。
例えば、必要経費(※)として認められる支出を間違いなく計上して、課税対象となる所得を圧縮するのは、節税です。
日本は、「申告納税」と言って、納税者が税額を計算し、納税する制度を採用しています。仮に「落とせる経費」があったのに計上せず、結果的に払わなくてもいい税金を支払ったとしても、それは「納税者側の責任」になります。
同時に、節税のつもりで行った行為が、そうとは認められないことがあり得ることにも、注意が必要でしょう。これも経費に引き寄せて言うと、「経費として認められるかどうか」は、判断が微妙な場合も多くあります。
もし申告後に、税務署が認めないということになれば、申告のやり直しを求められたうえに、加算税などのペナルティを課せられることもあるのです。
節税対策のために選ぶべき税理士とは?
以上も踏まえたうえで、「節税に強い税理士選び」のチェックポイントを押さえていくことにします。
(1)そもそも、節税対策を「しない」税理士もいる
中には、初めから節税の意思がない、あっても極めて消極的なスタンスの先生もいます。
税理士の第一の任務は「適正申告」「適正納税」です。その原則からすれば、確かに節税は、二の次三の次と言うこともできるでしょう。
「税務調査に入られても怖くないから」と、税金対策を避ける税理士もいます。
しかし、「無駄な税金」は、経営基盤に悪影響を与えかねません。税理士を吟味する際には、まず「節税のサポートをしてもらえるのか」をしっかり確かめる必要があるでしょう。
(2)節税も「基本知識」と「経験」がモノをいう
多くの税理士は、顧客の節税に積極的で、そのことを「売り」にしています。ところが、それが見かけ倒しだったり、持っているスキルが自分とはミスマッチだったりして、期待するような効果が生まれていないケースも少なくありません。
税理士の資格試験は難関ではありますが、試験科目は一部を除き選択制のため、資格を持っているからすべての税法に詳しいかというと、そうではないのです。
一例を挙げれば、法人税には抜かりがないけれど、資産税関連はほとんどわからない、といったこともあり得ます。中小企業の経営をサポートするためには、社長個人の資産や相続への目配りも欠かせません。そうした分野の知識がなければ、対策が打てずに多額の相続税が発生し、それが次世代への事業承継のネックになってしまった、などということになりかねないのです。
さまざまな顧客を担当し、実績を積み重ねてきたキャリアも、チェック項目の1つになるでしょう。ただし、かつての「税務申告だけしていれば、十分食べていけた時代」を長く経験した税理士の場合、逆に節税が苦手だったりすることもあります。「経験年数」のみが指標にはならないことも、申し添えておきたいと思います。
(3)自社・自分の業界に詳しいか?
業種や業界によって、独自の課税が行われたり、逆に非課税制度が設けられていたりします。独特の商習慣を理解しているかどうかで、節税のアドバイスのレベルには差が出るはずです。
税理士の「業界知識」も確かめましょう。
(4)コミュニケーション能力が高いか
税理士がクライアントの節税対策をするにあたって必要となるのが「情報」です。クライアントの財務内容に関する情報は勿論のこと、将来的に行う予定である設備投資や賃金引上げなどクライアントしか知り得ない情報をいかに引き出すかがポイントになります。有効な節税対策を求めるのであれば、上手に情報を引き出してくれる高いコミュニケーション能力を持った税理士を選ぶべきです。
(5)最新情報への感度は高いか?
税制や税法は目まぐるしく変化しています。常に最新情報にアクセスできているか・アクセスしようという意欲があるかは、とても重要なポイントです。
付け加えれば、電子申告やクラウド会計の普及など、この分野でもIT化が進んでいます。
テクノロジーに強い税理士を選ぶことも、円滑な申告、節税対策にとってプラスに働くでしょう。
(6)税務調査で戦える税理士か?
申告内容に誤りがないかどうか、税務署が帳簿などを調べにやって来ることがあります。それが「税務調査」(任意調査)です。
その結果、「申告が間違っている」と指摘され、それを認めざるを得なくなれば、せっかくの節税対策が無意味になるばかりではなく、「加算税」などを余計に支払わなくてはなりません。
税務調査には税理士の立ち合いが認められていますから、そんなことにならないように、しっかり対応してもらう必要があります。しかし、やはり調査に対応した経験がなく、税務署の言いなりになってしまうような先生もいます。節税対策をしっかり「完了」させるためにも、税務調査にも強い税理士を選びましょう。
(7)「節税ありき」ではない税理士を選ぶ
節税は、やろうと思えば簡単です。「合法的な経費」を積み増したりして、所得を少なくすればいいのです。極論すれば、会社を赤字にすれば、法人税は1円も払わなくて済むでしょう。
しかし、経費を使えば使うほど、会社に残るキャッシュも減っていきます。事実、「とにかく税金を払うのは嫌だ!」という社長の意思に従って、毎年、赤字申告に近い状況をつくるためにせっせと指導している税理士もいます。
しかし、事業の拡大・発展という会社の本来の目的から見れば、それは本末転倒と言うしかありませんよね。
もし、先ほどの社長のような顧客がいたとしたら、「それでは会社を成長させることはできませんよ」とアドバイスしてくれるような税理士を選ぶのが大切です。
「節税ができない」というのと「節税第一のアドバイスはしない」というのとでは、まったく意味が違うのです。
職種・業種別の節税対策について
個人事業主
個人事業主の場合、所得税の特典である「青色申告制度」で適用できる様々な税制優遇に対するアドバイスができる税理士がお勧めです。電子申告を使った「青色申告特別控除の65万円控除」や、個人事業主でも適用可能な「固定資産の特別償却」「30万円未満の少額減価償却資産の特例」などの節税対策を提案してくれる税理士が理想的です。
合同会社
合同会社とは法人形態の1つであり、個人事業主でも合同会社に法人成りした方が税負担の部分で有利になるというケースがあります。また、株式会社が合同会社に組織変更することでコスト面等で有利になることもあります。合同会社にした場合のシミュレーションを行い、いずれの会社形態が有利かについての適切なアドバイスをしてくれる税理士が理想的です。
サラリーマン
本業であるサラリーマンの他に副業をしているようなケースでは、副業について開業届を提出することで節税に繋がるケースがあります。例えば、所得控除の1つである「小規模企業共済等掛金控除」は、開業届を提出していれば共済に加入し共済料を控除できる可能性があります。また、青色申告の承認を受ければ青色申告特別控除など、青色申告制度の特典を受けられます(副業の反復継続性や営利性が認められることが前提となります)。
このように、副業を使った節税対策の提案ができる税理士が理想的です。
医師
医師、特に病院に勤めている「勤務医」の場合、「特定支出控除」が利用できます。勤務医はサラリーマンと同じく給与所得者なので一般的には必要経費は認められません。しかし、医師という職制上、経費の発生が多い職業であるため、支出の一部を経費にできます。どのような支出が「特定支出控除」として認められるか、「特定支出控除」を受けるためにはどのような手続きが必要か、などについて適切にアドバイスしてくれる税理士が理想的です。
実際の節税事例をケース別に解説
ケース1:促進税制の活用
法人税では、企業の設備投資を促進するための「中小企業投資促進税制」や、従業員に対する給与賃金の引き上げを促進するための「賃上げ促進税制」など様々な優遇制度があります。これらの優遇制度を受けるためには税制ごとに定められた一定要件を満たす必要があります。「中小企業投資促進税制」であれば「160万円以上の機械装置を取得した場合」は適用を受けられます。また「賃上げ促進税制」であれば「前期と比較して給与等支給額が1.5%以上増加していること」が要件になります。設備投資や賃上げがこれらの要件を満たしているのか?要件を満たすためにはどのような対策をすればよいのか?といった疑問を解決するには、月次監査を行っている税理士からのコンサルティングが不可欠です。
ケース2:決算賞与の支給
税法上、従業員に対する賞与の支給時期について規定はありません。黒字決算になることが見込まれるようなケースでは、決算日までに「決算賞与」を支給するのも節税対策の1つとして挙げられます。しかし、税理士からのコンサルティングを受けずに黒字決算を予測していたはずが、賞与支給後に決算修正をした結果、実は赤字決算だったということも起こり得ます。そうならないためにも、決算日前の月次処理の段階で黒字決算か否か?財務的に決算賞与をいくらまで出すことが可能か?を税理士に判断してもらうことが不可欠です。
ケース3:中小企業倒産防止共済の活用
「中小企業基盤整備機構」が提供するサービスの1つに「中小企業倒産防止共済」があります。法人が支払った共済掛金は全額損金になり、なおかつ一定期間(40ヶ月)継続していれば払った共済掛金は全額資産計上となり手元に戻ってくるという非常に有益な制度です。
共済掛金の支払方法は月払いと年払いの2つがありますが、当期の節税を検討しているケースでは決算日前に年払い(12ヶ月)を選択し、掛金上限200,000円/月の場合、で掛ければ240万円の節税効果があります。
まとめ
税理士だから、みんなが節税の達人だとは限りません。無理のある税金対策ではなく、事業の成長に役立つ節税をサポートしてくれる税理士を選びたいものです。
実績のある税理士紹介会社を利用するのも、一つの方法でしょう。
よくある質問
節税とは何ですか?
節税とは、法律に基づいた正当な手段で税負担を軽減することを指します。企業や個人が収益を最大限に保つために、利用可能な税制優遇措置や控除を適切に活用することが節税の基本です。節税は、違法な税の回避とは異なり、法律に従った正当な手段で行われるものです。
節税と脱税の違いは何ですか?
節税は、合法的な手段で税負担を軽減することを指し、税法に基づいて適用される控除や減免を利用することです。一方、脱税は、意図的に税金を支払わないようにする違法行為です。脱税は法的な罰則があり、重い罰金や刑事罰が科される可能性があります。節税は合法であり、適切に行うことで法的な問題を避けることができます。
節税の基本的な方法は何ですか?
節税の基本的な方法には以下のようなものがあります:
1. 経費の適正計上:事業に関連する経費を適正に計上し、課税所得を減らす。
2. 税制優遇措置の活用:例えば、設備投資促進税制や賃上げ促進税制などの税制優遇措置を利用する。
3. 共済への加入:中小企業倒産防止共済などに加入し、掛金を損金として計上する。
4. 決算賞与の支給:黒字決算が見込まれる場合、決算賞与を支給することで経費を増やし、課税所得を減らす。
節税対策を始めるためにはどうすれば良いですか?
節税対策を始めるためには、以下のステップを踏むことが重要です:
1. 現状の把握:まず、自社の財務状況を正確に把握する。
2. 適用可能な税制優遇措置の確認:自社に適用できる税制優遇措置を確認する。
3. 計画の策定:税理士と相談し、最適な節税計画を策定する。
4. 実行と継続的な見直し:計画に基づいて節税対策を実行し、定期的に見直して改善を図る。
節税対策を税理士に相談するメリットは何ですか?
税理士に節税対策を相談するメリットは以下の通りです:
1. 専門知識の活用:税理士は税法や最新の税制改正に精通しており、適切なアドバイスを提供してくれます。
2. リスクの軽減:誤った節税対策による法的リスクを避けることができます。
3. 時間の節約:税理士が節税対策をサポートすることで、経営者は本業に集中できます。
4. 最適な節税プランの提供:個別の状況に応じた最適な節税プランを提案してくれます。
これらのFAQと回答を参考に、適切な節税対策を行いましょう。税理士のサポートを受けることで、より効果的な節税が可能になります。
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