国際税務・海外税務に強い税理士とは?国際的にビジネスを行う事業者には、国際税務に強い税理士が必要です

国際税務・海外税務に強い税理士とは?国際的にビジネスを行う事業者には、国際税務に強い税理士が必要です
最終更新日:
2024/10/10
 
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海外事業の税。何が問題になるのか?

他の法律同様、税法にも国によって違いがあります。例えば日本の企業や個人が、ある国で投資を行い経済的な利益を上げた場合には、その国の税法に従って税金を納めなくてはなりません。
このように、海外事業や取引に関連して考慮すべき税の問題を、総称して「国際税務(海外税務)」と呼びます。

該当する国の税法の仕組みなどを調べて対応するだけなら、ある意味、話は単純です。しかし、実際には、そう簡単にはいきません。
今の例でいえば、海外での儲けは、日本にある本社の利益にカウントされますから、そのままだと日本の税も課税されることになるのです。これは、日本に自宅のある個人が海外にマンションを購入して、そこから賃貸収入を得ているような場合も同じです。

つまり、「税金の二重取り」が発生し、結果的に利益は大きく殺がれてしまいます。これでは、何のために海外進出したのかわかりません。この問題を、「二重課税」といいます。国際税務の最も基本的な仕事は、この二重課税をどう調整するかにある、と言っていいでしょう。

第1のキーワード:外国税額控除

もう一度整理しておくと、海外企業との取引や海外への投資などの結果、現地で所得が発生した場合には、日本企業、日本人であっても、その国で納税しなくてはなりません。ただし、課税されるのは、その国で得た所得に限られます。この仕組みを「所得源泉地価税」と言います。

一方、日本企業、日本人は、本社や自宅のある日本(居住地国)で、そのすべての(全世界の)所得をベースにして税金の計算を行うことになっています。だから、もし海外での所得があれば、その分が二重課税になるリスクがあるわけです。

徴税する側にとって、それが「理屈通り」であっても、海外進出までして稼いだ納税者にすれば、たまったものではありません。
そこで、これを是正する「外国税額控除」という国際的なルールがあります。ごく簡単に言うと、海外の所得に対してその国で支払った税額を、国内で課税される法人税、所得税から差し引くことができるのです。

例えば、海外に支店を設けた日本企業が、そこで100億円の利益を上げたとします。その国の税率が15%ならば、現地で納める税金は、15億円になります。一方、日本の法人実効税率(※1)は約30%ですから、外国税額控除を適用すれば、100億円×30%-(海外で支払った)15億円=15億円。これが、日本で納める税金の額になるわけです。

※1 実効税率:法人の所得金額に対する法人税、地方法人税、住民税、事業税の合計税率。企業の実質的な税負担額のこと。

第2のキーワード:租税条約

説明した外国税額控除は、基本的に相手国がどこであっても通用する、「基本ルール」です。そう言うと、やはり「単純な話」に聞こえるかもしれませんが、具体的に所得をどうとらえるか、2国間の調整をどう行うかなどについては、実は個別対応が必要になります。
やり方によっては、結局二重課税に近い形になってしまったり、手続きが煩雑で円滑な事業活動の妨げになったり、といった事態を生みかねません。

どの国も主権国家として「徴税の権利」を持っており、できるだけ多くの税金を取りたいのが本音。さりとて、税金の問題で海外からの投資が滞ったりしたのでは、本末転倒になってしまいます。そこで、二重課税の回避や税額の調整などを目的に、2国間で「租税条約」という特別な取り決めを結ぶことがあります。

日本は、2020年1月1日現在で、76条約を締結しており、136の国と地域に適用されています。なお、国内の税法と租税条約の規定が異なった場合には、条約が優先される決まりです。

国際的な取引は、数が増えているだけでなく、より高度化かつ複雑化しています。また、最近では、租税回避地(※2)などを活用した「過度の節税」に対する監視の目も厳しくなるなど、国際税務がカバーすべき領域は、これからも拡大していくことが予想されます。

※2 租税回避地:法人税などがゼロ、または極めて低いという税制優遇措置を採用している国や地域。タックスヘイブン。

国際税務に詳しい税理士は限られる?

詳しくは述べませんでしたが、ひと口に海外進出といっても、輸出、資本輸出、支店の開設、子会社設立といった、さまざまなケースがあり、課税の仕方も変わってきます。相手国の税法や租税条約の有無、中身も理解しておかなくてはなりません。成功させるためには、税理士のサポートが不可欠と言えるでしょう。

ただし、誰にでも頼めるというわけにはいきません。関連する税法に詳しいことはもちろん、海外取引における経理処理能力、為替や貿易の知識、もちろんある程度の語学力も求められます。税理士試験では、国際税務に関連する内容は限られているため、そもそも資質を持つ税理士はそう多くはないと考える必要があるでしょう。

必要とするサポートは、事業や取引の規模、内容によっても異なるはず。自社のビジネスに合った税理士、事務所を見つけることが重要です。国際税務を専門にした事務所もありますから、ネットを活用して検索するのも1つの方法。実績のある税理士紹介会社に依頼すれば、より速く、ピッタリな事務所が見つかるかもしれません。

税理士選びの際に確認すべきポイント

国際税務に関する実績と経験の有無

税務会計の専門家である税理士とはいえ、それぞれ得意な分野、苦手な分野があります。特に国際税務については、日本国内の税制は勿論のこと、海外諸国でそれぞれ異なる税制についての知識や経験がなければ実務を行えません。税理士を選ぶ際にはまず、国際税務に関する実務経験がどれくらいあるのかを必ず確認しましょう。

租税条約や現地法規制に精通しているかどうか

国際税務では、二国間の税制の違いを調整したり、税制の違いを利用した租税回避行為を防止したりする目的で、国家間で「租税条約」を結んでいるケースがよく見受けられます。また、国内資産や企業を守る目的で、出資比率規制のような「外資規制」を設けている国もあります。海外取引に強い税理士選びのポイントとして、租税条約や現地法規制を正しく理解し、現地の税制に精通しているかも重要な判断材料になります。

国際的なネットワークを持っているかどうか

国際税務を行うにあたって、現地の税制に精通する税理士やコンサルタントの協力があれば、より正確で有利な判断を行うことができるでしょう。税理士選びの際には、その税理士が国際的なネットワークを持っているか、海外の実務家とのコネクションを持っているかなどを確認することも大切です。また、国際的なネットワークを持つことで、わざわざ現地にまで足を運ばなくても申請や手続きなどを行えるため、税理士報酬が低く設定される可能性もあります。

国際税務の注意すべきリスクと解決策

国際税務のミスが引き起こす罰金やペナルティ

国際税務の場合、日本と現地における税制面の違いを原因とした適用間違いや二重課税の間違いなど、税務判断のミス等による罰金やペナルティが発生する可能性が高くなります。日本国内に限らず、税務処理のミスが原因で納税に不足が生じた場合、海外でもペナルティとして延滞金や加算税を課されることになります。

租税回避地における税務リスク

海外の税制優遇制度を利用して、その国に現地法人(ペーパーカンパニー)を設立し取引を行うことで本来課税されるべき所得を回避するスキームがあります。租税回避に利用される地域を「タックスヘイブン」と呼びますが、最近ではこのタックスヘイブンについて対策税制を設ける国が増えてきました。日本でも、海外にあるペーパーカンパニーの所得を日本国内で課税する対策税制(CHC税制)が施行されるなど、租税回避した取引が国内でみなし課税されるといったリスクも考慮しなければなりません。

海外における現地規制の変化への対応

税制改正や新たな規制の施行、経済対策など、税制面の現地規制は常に変化していきます。上記に挙げたような適用間違いや処理漏れが起こらないようにしなければなりませんし、新たな税制が施行されれば、それに対する対応策も検討しなければなりません。これら問題点の解決策としては、情勢の変化についての最新の情報を常にキャッチし、迅速な対応を行える税理士を選ぶことでしょう。海外取引に強い税理士を選ぶことで、国際税務が抱える様々なリスクを軽減できるでしょう。

国際税務に詳しい税理士をお探しの方へ

海外相手のビジネスを成功させるためには、国際税務に対する深い理解が必要になります。専門の税理士に依頼しましょう。税理士紹介会社を使えば、効率的に選ぶことができるでしょう。

よくある質問

国際税務に強い税理士とは何ですか?

国際税務に強い税理士とは、海外事業や外国企業との取引に関する税務知識と経験を持ち、複雑な国際税務問題を解決できる税理士のことです。

国際税務に強い税理士を依頼するメリットは何ですか?

二重課税の回避、外国税額控除の適用、租税条約の活用など、国際税務に関する高度なサポートを受けることができます。

外国税額控除とは何ですか?

外国税額控除とは、海外で支払った税金を日本での税金から差し引くことができる制度で、二重課税を回避するための重要な仕組みです。

租税条約とは何ですか?

租税条約とは、二国間で二重課税を回避するための取り決めで、日本は多数の国と租税条約を締結しています。

国際税務に強い税理士の選び方は?

実績や専門知識、海外取引に関する経験を確認し、自社のビジネスに適した税理士を選ぶことが重要です。

この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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