青色申告会とは?入会のメリット・デメリットや相談できることを解説

青色申告会とは?入会のメリット・デメリットや相談できることを解説
最終更新日:
2024/08/16
この記事の監修者
大宮桜木税理士事務所
代表 北島 慎也(税理士・中小企業診断士)
 
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確定申告の「青色申告」は、誰でも聞いたことがあるはずです。では、「青色申告会」という団体があるのを、ご存知でしょうか?
基本的に各地の税務署単位に、個人事業主を中心として組織された納税者団体で、入会金・年会費を払えば、会員になることができます。そもそもどんな団体で、入会するメリットは何なのか、まとめました。

青色申告会は「正しい申告・納税を推進」する団体

青色申告について述べましたが、では青色申告会とはどのような団体なのでしょうか?
全国青色申告会総連合のホームページから、「青色申告会とは」について述べた部分を抜粋してみましょう。

「青色申告会」は個人事業主を中心として組織される納税者団体です。「税は公平でなければならない」というシャウプ勧告(※1)をもとに、納税者が自主的につどい、結成されました。
それから今日に至るまで、青色申告会は正しい申告・納税を勧め、公平な税制の創設、社会保障制度の改革を要望し、税制改正史上数々の成果をあげてきました。全国各地の青色申告会は、会員の中から選ばれた役員を中心に自主的・民主的に運営されています。その活動は会ごとに特徴をもち、後継者専従者や若手経営者を中心とした青年部や、配偶者専従者を中心とした女性部が組織されるなど、多彩な活動を展開しています。

事業を手伝う家族への給料を経費にできる「青色事業専従者給与制度」や、「青色申告特別控除」、「共同経営者(配偶者専従者、後継者専従者を含む)の小規模企業共済制度への加入 」といった制度の導入は、青色申告会の活動の成果だそうです。

※1シャウプ勧告:GHQの要請で、日本の税制改革と行政安定のために結成されたカール・S・シャウプ博士を団長とする日本税制使節団が、1949年に発表した日本の租税に関する報告書。

青色申告会に入会するメリットは?

青色申告にはメリットがある半面、「帳簿付けなどのやり方がよくわからない」「税理士にお金を払ってお願いするほどの事業規模でもない」といったケースもあります。そんなとき、青色申告会が役に立つかもしれません。

青色申告に関わる相談ができる

青色申告会では、個人事業主の「記帳・決算・申告の相談」を活動の柱にしています。
会員になれば、複式簿記の帳簿の付け方や賃借対照表の作り方などを、丁寧に教えてくれます(※2)。

経営相談・経営に関わる専門家の紹介・無料講習会への参加ができる

青色申告会では経営相談にも対応しています。
必要に応じて税理士や弁護士、ファイナンシャルプランナーなどの紹介を行うほか、無料講習会などを開催しています。

金融・サービスを紹介してもらえる

日本政策金融公庫などの融資制度のあっせんをはじめ、各種の融資制度を扱っていますから、相談に乗ってもらえます。
また、労働保険事務の代行も行っています。

親睦・異業種交流に参加できる

多業種にわたる会員同士の交流が可能です。会ごとに、研修旅行やレクリエーション、サークル活動などを実施、青年部や女性部の集いや地域イベントの参加などを通じて、交流範囲を広げることができます。

「全青色共済」など福利厚生が充実

会員及びその家族等は、会員相互の助け合い制度である「全青色共済」に加入できます。死亡・入院から火災まで補償され、掛け金は必要経費(※3)として計上できます。
他にも、傷害保険、交通事故保険、がん保険、PL保険など各種保険も用意しており、万が一の怪我や病気でも安心です。

各種共済制度に加入できる

青色申告会は、

  • 小規模企業共済制度(事業主・共同経営者対象の退職金制度)
  • 中小企業退職金共済制度(専従者・従業員対象の退職金制度)
  • 経営セーフティー共済(中小企業倒産防止共済制度)

の加入窓口ともなっています。

複式簿記の独習用テキストなど役に立つ資料が手に入る

青色申告を始める方・複式簿記が苦手な方でも安心の、複式簿記独習テキストが手に入ります(※4)。
また、青色申告についてのリーフレットや、税制改正を反映したハンドブックなど、青色申告をする人にとって役に立つ資料が購入できます(※4)。

記事監修者からのワンポイントアドバイス
所得税と消費税の申告書等の作成を可能とする、個人の青色申告者の利用に特化した会計ソフト「BLUE RETURN A」の販売も行っており、操作サポートもしてもらえます。(※4)
大宮桜木税理士事務所 代表 北島 慎也

会員向け機関誌「BLUE RETURN 青色申告」を購読できる

全国青色申告会総連合(全青色)の活動や、事業に関係する制度の解説などが掲載されている機関紙「BLUE RETURN 青色申告」を購読できます。

※2 ただし、税理士のサポートを受けるのとは違い、記帳代行や申告書の作成などをしてもらえるわけではありません。記帳代行や申告書の作成を希望する場合は税理士を探しましょう。

※3 必要経費:業務に必要だと認められる経費。税務上の所得を計算する際に、収入から控除できる経費です。この場合は「諸会費」などの勘定科目となる。

※4 これらは青色申告会会員しか購入できません。

青色申告会に入会するデメリットは?

上記の通り、青色申告会加入は様々なメリットがありますが、逆にデメリットはあるのでしょうか?
青色申告会へ入会するデメリットとしては以下のようなものが考えられます。

  • 費用がかかる
  • 税務相談はあくまで一般的な内容に留まる

費用がかかる

税理士などの専門家に依頼する場合に比べると大幅にコストが抑えられますが、青色申告会へ入会する際は、入会費と会費がかかります。所属する会(エリア)によって異なりますが、入会金が1,000円~2,000円程度、月会費は1,000円~3,000円程度のところが多いです。
例えば、渋谷青色申告会の場合は入会金が1,000円、月会費が1,500円です。新宿青色申告会の場合は入会金が3,000円、月会費が2,000円となっています。
 
会費や提供しているサービスについては各地域の青色申告会ごとに異なりますので、詳細は入会予定の青色申告会へご確認ください。

税務相談はあくまで一般的な内容に留まる

青色申告会では税務相談を受け付けていますが、税理士ではないため回答は一般的な内容に留まります。例えば確定申告のルールの確認やe-Taxのやり方など基本的な事項についてであればサポートしてもらえますが、個別の事情を元にした経費の判断など、踏み込んだ相談には対応できません。

記事監修者からのワンポイントアドバイス
確定申告についてある程度の知識がある方は、あまり利用する機会がないかもしれません。より具体的な質問や相談をしたい場合は税の専門家である税理士に相談しましょう。
大宮桜木税理士事務所 代表 北島 慎也

また、青色申告会は、確定申告書の作成など、実際の作業を担当してくれるわけではありませんのでその点も注意が必要です。
 
青色申告会に入会するには会費はかかりますが、税理士に依頼する場合に比べるとコストが抑えられます。税務相談に関しては基本的な内容に限られますが、「これから青色申告に切り替えたい」「基本的なことでも色々聞きたい」という人は、青色申告会に入会して損はないと言えるでしょう。

青色申告会入会の流れや必要な費用

青色申告会に入会するには?

青色申告会に入会するには、まず自身が住んでいる・あるいは事業を行っている地域(納税地)の青色申告会を探しましょう。
最寄りの青色申告会は、青色申告会の窓口検索から探すことができます。

詳細ページから、該当地域の青色申告会のホームページにアクセスできます(地域によってホームページがないこともあります)。
ホームページには「入会フォーム(お問い合わせフォーム・資料請求フォーム)」がありますので、そこから申し込みましょう。

青色申告会にかかる費用は?

各地域の青色申告会は、税務署の管轄地域ごとに自発的に組織されています。そのため、青色申告会は、地域により、相談方法・サービス・費用(入会金の有無や、年会費の金額など)が異なります。
詳細は、入会予定の青色申告会に問い合わせましょう。
 

青色申告会独自開発の会計ソフト「BLUE RETURN A」とは?

青色申告をするのであれば、会計ソフト選びも非常に重要なのはご存知かと思います。
青色申告会に入会することで、独自開発の青色申告特化型会計ソフト「BLUE RETURN(ブルーリターン)A」を購入できるのです。

「BLUE RETURN A」の購入は強制ではない

青色申告会に入会したら、ブルーリターンAの購入を勧められる可能性はありますが、買わないと強制退会…といったことはありません。
購入を検討する場合は、ブルーリターンAの体験版をダウンロードして、実際の機能を確かめてみても良いでしょう。

また、既に使っている会計ソフトがある場合や、これから使ってみたい会計ソフトが他にある場合は、それらの入力方法を青色申告会で相談できます。

記事監修者からのワンポイントアドバイス
一部の青色申告会では、会指定の会計ソフトで個別指導を行っています。ブルーリターンA以外の会計ソフトを使用する場合は、事前に問い合わせをすると安心です。
大宮桜木税理士事務所 代表 北島 慎也

他の会計ソフトはどのようなものがある?

会計ソフトも色々なものがありますので、機能やデザイン・インターフェースをよく確認して購入するのをおすすめします。
ちなみに、よく選ばれている会計ソフトとして、

があります。これ以外にも青色申告対応の会計ソフトは沢山ありますので、自分に合ったものを探してみてください。

青色申告会に関するQ&A

青色申告会を退会するときはどのような手続きが必要?

退会手続きに関しては、基本的に「退会届」を事務局に提出して行います。会費未納がなければそのまま、未納分があれば納入確認後退会届が受理され、手続き完了です。要返却資料があれば退会までに忘れず返却しましょう。
 
青色申告会の会員登録は年度ごとに更新されるため、退会を希望する年度中(上期末、下期末とする会も多い)に手続きを済ませる必要があります。
なお、退会届提出は事務局持参のみか郵送も可か、退会の旨の通知だけでも認められるかなど、各地域の青色申告会によってそれぞれ異なる規定があるので、所属する青色申告会の規則を確認のうえで手続きを行いましょう。

青色申告会は税務署と繋がっていますか?

前述のように、青色申告会は正しい税の申告及び納税を推進することを目的として、各税務署の管轄地域ごとに組織されている団体です。直接的に「つながっている」わけではありませんが、納税者が適切な申告を行うために協力し合う関係にあります。「間接的につながっている」と言えるでしょう。

青色申告会に入会すれば税理士に依頼しなくても自分で確定申告できる?

青色申告会は会員に対し、決算や申告、帳簿のつけ方に関するサポートを、相談や独自のテキストなどを通じ行なっているので、自分で確定申告をしたいという意欲があれば、その方法や知識を学べます。事業の規模にもよりますが、税理士に依頼せず事業者自身で確定申告を行うことは可能でしょう。

まとめ

青色申告を自分で行う場合には、青色申告会のサポートを受けられます。最寄りの会は、全国青色申告会総連合のホームページなどから探せます。

[おすすめ動画]3分でサクッとわかる!青色申告会とは

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記事監修者 北島税理士からのワンポイントアドバイス

青色申告会は創業や起業したての個人事業主に特におすすめです。
青色申告は「青色事業専従者給与制度」や、「青色申告特別控除」などメリットが多い反面、複式簿記や税務知識を求められることが多いです。創業や起業したての個人事業主がサポートなしにこれらの要求に応えるは大変です。
また、創業や起業したての個人事業主で、最初から税理士に依頼できるくらい資金的に余裕のある人は多くないと思いますし、事業規模的にも依頼するほどではない場合もあるでしょう。記帳や税務に関するサポートを受けられ、税務初心者でも安心して申告が行え、それを低コストで実現できる、青色申告会の加入を検討してみてください。

この記事の監修者
大宮桜木税理士事務所
代表 北島 慎也(税理士・中小企業診断士)
年間で200件以上の開業・創業に携わり、開業・創業当初の「分からない」をサポート。創業・開業のノウハウに加え、税理士・中小企業診断士の資格を持つ代表が創業・経営・税務とワンストップに伴走支援を提供する事務所。

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この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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