税理士の変更を検討する際のタイミング・手順や契約解除の注意点を徹底解説

- 最終更新日:
- 2025/03/13

- この記事の監修者
- 税理士紹介のパイオニア
株式会社ビスカス 代表取締役 八木美代子
この記事のアドバイザー

梶本公認会計士・税理士事務所 所長
梶本卓哉
早稲田大学卒業後、関東信越国税局採用。税務大学校を首席卒業(金時計)し、税務署法人課税部門にて法人税、消費税等の税務調査に従事。複雑困難事案の事績により署長顕彰。税務署勤務中に公認会計士試験に合格し、大手監査法人に入所。製造業や不動産業をはじめ様々な業種の上場会社監査やIPO監査に従事。その後、中央官庁勤務を経て、大手証券会社の投資銀行部門で多数のIPOの実現に関与。2023年公認会計士・税理士事務所開設。主に法人の税務顧問を務める。
顧問税理士にこんな不満を抱いていませんか?
全ての税理士がニーズに応えてくれるわけではない
会社の税務をそつなく処理してたくさん節税してくれて、ときには経営についての的確なアドバイスをしてもらえる――。顧問税理士を雇うなら、そんな役割を誰しも期待するでしょう。でも、全ての税理士がそのニーズに応えられるわけではないのが実情です。現実には以下のような不満で、経営者が顧問の交代を検討するケースも少なくありません。以下のような不満を抱いている経営者の方も多いのではないでしょうか。
顧問税理士に抱く不満の具体例
- 【事務所の対応の悪さ】
- 税理士ではなく無資格(資格取得中)の担当者任せになっている
- 税理士が上から目線で相談しにくい
- メールや電話のレスポンスが遅い
- 【サービス内容への不満】
- 税理士顧問料が高すぎる
- 試算表を渡すだけで決算対策の助言がない
- 業界知識が乏しく経営の相談に乗ってくれない
- いまだに手書きで申告書を作成している
顧問税理士の仕事に対する不満は、顧問契約の見直しを考えるきっかけになります。
税理士を変更するのはなぜ?代表的な理由とメリット
経営者が税理士を見直し、変更するときにはどんな理由があるでしょうか。ここでは6つのケースを挙げます。
コミュニケーションなど対応に不満
上述したように、税理士の対応に不満を感じたときは“替え時”です。事業を始めたばかりの頃は税務を肩代りしてくれるだけで満足していたとしても、年月が経っていろいろなことがわかり始めると不満も大きくなっていきます。本来、経営者と税理士は固い信頼関係で結ばれているべきものです。最近では連絡手段が電話やメールのみで、LINEやチャットツールで気軽に連絡が取れないなど、コミュニケーション面での不満が増大することも増えています。信頼に基づく関係の維持が難しくなった段階もまたら、税理士を変更するタイミングと言えるでしょう。
経営者が代替わりした
経営者の代替わりは顧問税理士を変更しやすいタイミングです。そもそも、税理士の変更を躊躇してしまう理由の1つに「繋がりを切りにくい」ことが挙げられます。税理士や監査担当者とは会社の財務内容という重要部分を共有することから必然的に繋がりが深くなります。また、会社の財務内容は誰にでも開示できるものではないため、簡単に税理士を変更しづらいという側面もあります。逆に、経営者の代替わりは新たな繋がりを作る契機になります。「経営者が変わるのを機に経営体制を一新したいので、顧問税理士も変更したい」と切り出せば、税理士にも納得してもらえるでしょう。
新たな事業やニーズに対応できない
また、事業内容を変更するときも新規事業の立ち上げ時も、税理士の再検討が必要です税理士の変更を検討するきっかけになります。既存事業と異なる事業が異なればにおいては、何が経費として認められるのかといった細かな解釈や節税テクニックも違ってきます。税理士にはそれぞれ得意な事業分野があるので、事業が入れ替わるときには新規事業への参入をきっかけに、新しい事業分野に明るい税理士に変更することを検討すると良いでしょう。
税理士事務所の体制が変わった
税理士事務所側に変化が起きたことをきっかけに、顧問税理士の変更を検討する場合もあります。いつも訪問してくれる担当者が退職し、新しく来た担当者が迅速に対応してくれなくなったり、的確なアドバイスをもらえなくなったりということは珍しくありません。あるいは、事務所が合併して税理士法人となり、トップの意向で訪問回数など顧問先のフォロー体制が変わることもあります。税理士事務所側の体制が変わることで、事務所から提供されるサービスの質が低下したと感じたときは、顧問税理士の変更を考えましょう。
税理士が新しい技術に対応できない
経営者は日々、経営改善に取り組みます。その一環として、クラウド会計など新しい技術の導入も考えている人も多いでしょう。しかし、顧問税理士がその動きに対応できないこともあります。そのような場合、新しい技術に対応してくれる税理士を新たに探す必要があります。
クラウド会計に移行したい
クラウド会計を導入すれば、インターネット上のクラウドを活用し、どこからでも取引を入力し、自動仕訳や管理ができます。経営者としては、会計業務の効率化を進めるうえで欠かせない技術ですが、顧問税理士がクラウド会計の導入に対応してくれないケースがあります。一方、クラウド会計の導入を積極的に支援している税理士もいます。クラウド会計に対応してくれる税理士と顧問契約を結べば、クラウド会計ソフトの導入に必要なデータ移行や初期設定などを行ってくれます。
労務と税務のワンストップ対応を求めている
従業員の給与や各種保険など労務に関する相談事は社会保険労務士(社労士)、税務に関する相談事は税理士にそれぞれ依頼することになりますが、会社経営の観点で考えると労務と税務は密接な繋がりがあります。できれば、一つの窓口に相談し、迅速に課題を解決したいところです。そんなときは、社労士資格を有する税理士、あるいは事務所内に社労士も所属する税理士事務所、社労士事務所をグループ内に持っている税理士法人など、ワンストップで対応できる体制を整えている税理士と顧問契約することをおすすめします。
提案力が弱くコスト削減に貢献してくれない
税理士の本来の役割は、決算書の作成や税務申告の代行だけではありません。優秀な税理士であれば、会社の経営状況や将来の方向性を踏まえた積極的な提案を行い、節税策や補助金情報などを提供しながら、コスト削減や事業拡大に貢献してくれます。
しかし、提案力が弱い税理士の場合は、「税理士に依頼するメリット」を感じにくいことがあります。具体的には、
- 単なる数字の処理に終始し、経営改善のアドバイスがほとんどない
- 最新の税制改正や優遇制度の情報が十分に提供されない
- キャッシュフローの見直しやリスク管理の視点に欠けている
といった問題が考えられます。その結果、毎月の顧問料や報酬に対して費用対効果が低いと感じ、税理士変更を検討する経営者も少なくありません。もし「もう少し経営や財務のアドバイスがほしい」「節税対策を積極的に提案してほしい」と感じるのであれば、コスト削減をサポートできる別の税理士に依頼するのも一つの手段です。
税理士変更の際にトラブルにならない断り方は?
梶本 卓哉
税理士からのワンポイントアドバイス
昨今、税理士変更は当たり前になってきていますので、税理士としてもその可能性は常に認識しており、変更するというだけでトラブルになることはそれほど多くはないと思います。
しかしながら、契約形態や変更時期によっては円満な変更が難しい場合もあります。例えば、月額の顧問料とは別途に決算料を支払う報酬体系の場合、決算前の期中に解約するのはトラブルの原因になりやすいです。
期中での解約については、違約金が設定されていることもあります。決算まで対応してもらえないのに違約金を支払わなければならないというのは、納税者にとっては納得しづらい面もあるかと思います。一方で、違約金が設定されていない場合、税理士としては決算を見越して前広に対応していることもありますので、期中に解約されるとその工数が無駄になってしまうということがあります。
以上から、税理士の変更については、次の決算までと早めに税理士に伝えておくことが望ましいと思います。
税理士変更3つのメリット

梶本 卓哉
税理士からのワンポイントアドバイス
昨今、税理士変更は当たり前になってきていますので、税理士としてもその可能性は常に認識しており、変更するというだけでトラブルになることはそれほど多くはないと思います。
しかしながら、契約形態や変更時期によっては円満な変更が難しい場合もあります。例えば、月額の顧問料とは別途に決算料を支払う報酬体系の場合、決算前の期中に解約するのはトラブルの原因になりやすいです。
期中での解約については、違約金が設定されていることもあります。決算まで対応してもらえないのに違約金を支払わなければならないというのは、納税者にとっては納得しづらい面もあるかと思います。一方で、違約金が設定されていない場合、税理士としては決算を見越して前広に対応していることもありますので、期中に解約されるとその工数が無駄になってしまうということがあります。
以上から、税理士の変更については、次の決算までと早めに税理士に伝えておくことが望ましいと思います。
次に自社に合った税理士に変更することで、どのようなメリットが得られるのか見てみましょう。
業界知識を持つ税理士なら、経営に役立つ提案が得られる
自社の業界に関する知識に乏しく、自社の事情に合わせた経営アドバイスが得られない税理士から、業界の事情に詳しい税理士に変更すれば、経営判断に役立つ情報や提案が得られる可能性があります。
たとえば、
- 節税策や補助金の活用方法
- キャッシュフロー改善に向けた財務アドバイス
- 同業界の事例を踏まえた売上アップやコスト削減のプラン
など、単なる税務処理にとどまらない経営のヒントを得られるでしょう。
実際に、提案力のある税理士がパートナーとして付くと、事業成長に向けたサポートを受けられるため、経営者の負担や不安を大幅に減らすことができます。
コミュニケーションの改善
税理士変更のきっかけとして多いのが、「電話やメールのレスポンスが遅い」「人柄が合わず気軽に相談しにくい」といったコミュニケーション面の不満です。
こうした問題を解決できる税理士を選べば、以下のようなメリットが期待できます。
- 迅速なレスポンスで、意思決定や書類提出がスムーズに
- 経営者が本音で相談できる関係が築ける
- 税務・財務以外の経営課題も気軽にアドバイスを得られる
コミュニケーションが円滑になると、経営者の精神的ストレスも軽減されます。自分の経営スタイルや性格に合った税理士を探すことが、長期的に見て大きなプラスにつながるでしょう。
試算表などの早期提出が可能
融資申請や経営状況の把握のために、**試算表を早めに用意してほしい**というニーズは多くの経営者が感じています。一般的には1~2週間程度で提出が可能ですが、1か月以上待たされるケースもあるのが現実です。
もし試算表の提出が遅い場合、考えられる原因としては
- スタッフ不足で作業が滞っている
- 優先順位が低く後回しにされている
- 税理士自身のスケジュール管理がうまくいっていない
などが挙げられます。
こうした問題を解消できる税理士事務所へ変更すれば、融資対応や経営判断が格段にスピードアップするでしょう。事務所スタッフの人数や担当者の経験値などを事前に確認し、迅速に試算表を出してくれる体制が整っている税理士を見極めることが大切です。
税理士変更2つのデメリット
税理士を変更したばかりに「こんなはずではなかった」と後悔することもあります。変更を考える際は、あらかじめデメリットも知っておきましょう。
顧問料が上がる可能性
新たな税理士と契約することで、顧問料が今よりも高くなる可能性があります。サービスの質と顧問料は相関関係があるため、今よりも良いサービスを受けたいと考えるなら、今よりも高い顧問料を支払わなければなりません。顧問料が上がることを理由に、税理士の変更を躊躇する経営者の方もいらっしゃるでしょう。しかし、経営者の希望を満たせない税理士と契約し続けるほうが、経営上の不利益をこうむります。
必要な手続きと書類の準備
顧問税理士を変更する場合、顧問契約を結ぶときにかわした契約内容を確認し、契約解除の手続きをする必要があります。また、税理士に預けていた決算関係の書類を返却してもらいます。顧問税理士に契約解除を申し出て承諾してもらい、手続きを進めるのは相当なエネルギーと時間が必要です。顧問税理士との付き合いが長いほど、経営者にとっては重荷になります。
税理士変更の手順
税理士を変更するときには、現在の税理士との契約内容をよく確認すること、預けた書類を返してもらうこと、契約解除の通告やスケジューリングを文書化すること、新しい税理士が見つかってから契約を解除することに注意しましょう。以下に、税理士変更の手順について簡単に整理します。
番号 | 手順 | 重要なポイント |
---|---|---|
1 | 現在の税理士との契約内容を確認する | 契約書をよく読み、手続きを確認する |
2 | 次の税理士を事前に探す | 新しい税理士が決まってから解約する |
3 | 解約の意思を現在の税理士に伝える | 文書で意思を伝える |
4 | 重要書類を回収し新税理士へ引き継ぐ | 会計データの電子データも忘れずに |
5 | 新税理士との業務開始日を調整する | 契約期間がダブらないよう調整する |
解約手続きが完了する前に、回収する必要がある重要書類リスト
- ☑ 決算書
- ☑ 仕訳帳
- ☑ 総勘定元帳
- ☑ 請求書
- ☑ 領収書
- ☑ 会計データ(電子データ)
顧問税理士変更のベストタイミングはいつ?
新しい顧問税理士に変更するタイミングとして適しているのは「法人税申告書提出後」と「税務調査の完了後」です。一方、決算月の変更は避けなければなりません。ここでは、変更に適したタイミングと避けるタイミングについて解説します。前の顧問税理士との契約書で決められている契約解除期限に留意しながら、顧問税理士変更のタイミングを考えましょう。
法人税申告書提出後
企業は事業年度終了後、決算をしてから2か月以内に、法人税の申告書を税務署に提出します。申告書を提出すると税理士の業務は一段落するため、申告書提出後は顧問税理士を変更する良いタイミングです。例えば、決算月が3月末の企業の場合、5月末が法人税申告書の提出期限なので、6月に顧問税理士の変更を計画するとよいでしょう。
税務調査の完了後
自社に税務調査が入る場合、調査が終わって結果が明らかになってから顧問税理士を変更しましょう。税務調査は、申告書や関連書類を作成した税理士が立ち会うことになります。調査前には社内の経理担当者や経営者と税理士とで打ち合わせを行うほか、調査で誤りが見つかった場合は修正申告を行う必要があります。顧問税理士の変更は、調査が完全に完了してからが安心です。
決算月を避けて変更
1年間の業績や税額を算出する決算は、税理士のサポートのもと行います。決算月に顧問税理士を変更してしまうと、決算書類の作成や税務処理に支障が出る可能性があります。顧問税理士の変更は決算月を避けましょう。さらに、決算には数か月を要するため、少なくとも決算月の2カ月前を切ったら、税理士を変更しないほうがよいです。
税理士変更で失敗しないためのポイント
データや書類の返却漏れを防ぐためのチェックリストを用意しておく
毎月の月次監査や決算などで必要になるデータや書類を準備するために、あらかじめ準備用のチェックリストを用意しておきましょう。特に税理士を変更した直後は、新しい税理士がデータや書類の存在に気が付かないことがありますので、リスト化して一目で分かるようにしておくのがよいでしょう。また、チェックリストに書類の貸出欄を設けておけば、書類の返却漏れを防げます。
前任税理士とのコミュニケーションをしっかり取れる状況にしておく
税理士を変更するといっても、前任税理士が持っている情報を新しい税理士に漏れなく引き継ぐことは簡単ではありません。引き継ぎ忘れた項目などを再度聞き取りするため、前任税理士に問い合わせるといった状況もあり得ます。税理士を変更する際には、前任税理士とも連絡が取れる状況にしておくのがよいでしょう。
経営課題に合った事務所の選定
「事業の拡大にともない、今よりも税理士と密にコミュニケーションを取り、節税対策だけでなく経営的なアドバイスも得たい」など、自社が抱えている経営課題を明確にし、課題解決につながるような税理士事務所を選びましょう。自社に合った税理士事務所を見つけるには、自社の経営状況や今後の目標、経営課題をピックアップして整理しておくことが重要です。
事務所への期待と体制を明確にする
税理士事務所に望むことや、社内の今後の経理体制について方向性を決めておきましょう。クラウド会計の導入や経理のアウトソーシング化など、社内の体制をどうするかによって、新たな顧問税理士に依頼する内容は変わってきます。また、将来的に事業承継を視野に入れている場合、事業承継に関わった実績のある税理士を探す必要があります。
専門の税理士紹介会社への相談
自社に合った税理士・税理士事務所を探すにあたって、経営者のツテだけでは限界があります。税理士と企業をマッチングする紹介会社への相談をおすすめします。税理士紹介会社は、ヒアリングをもとに企業の経営課題や要望に合った税理士事務所を探してくれます。
まとめ
顧問税理士を交代するのか・しないのかは、「経営第一」で判断を。新しい人を頼むときには、自分のニーズに見合ったスキルや人間性を備えた税理士なのかきちんとチェックしたうえで、納得感を持って顧問に就いてもらいましょう。とはいえ、自社に合った顧問税理士を自力で探すのは簡単ではありません。税理士紹介会社を活用することで、企業を成長に導いてくれる顧問税理士に出会える可能性が高まります。
よくある質問
税理士を変更するには、どんな手順や届け出が必要ですか?
税理士を変更する際は、以下の流れを押さえておくとスムーズです。
- 1. 現在の税理士契約内容を確認
契約書や顧問契約の更新時期、解約時のペナルティなどをチェックします。
違約金の有無や解約手続きの方法が明文化されているか必ず確認しましょう。 - 2. 新しい税理士の候補をリサーチ
変更を伝える前に、次の税理士を確保しておくと空白期間が生じません。
税理士紹介会社や知人からの紹介、オンライン検索などで候補を絞ります。 - 3. 現在の税理士に解約の意思を伝える
電話やメールだけではなく、文書(内容証明郵便)などで正式に意思表示するのがおすすめです。
契約終了までに必要な書類やデータの返却手順を取り決めておきます。 - 4. 必要に応じて「税理士変更届出書」を提出
新しい税理士が代理で提出するケースが多いですが、状況によっては納税地の所轄税務署に自社で届出書を提出することもあります。 - 5. 書類・データの引き継ぎ
決算書や総勘定元帳、電子データを一式回収し、新しい税理士に速やかに引き継ぐことで作業の遅れを防ぎます。
このステップを踏むことで、税理士の交代による業務の混乱やトラブルを最小限に抑えられます。
税理士を変更すると、顧問料が高くなる可能性はありますか?
顧問料はサービスの範囲や税理士の専門性によって変動します。新しい税理士を探す際には、以下の点を必ず確認しましょう。
- サービス内容の比較: 記帳代行や経営コンサルティング、補助金申請支援など、どこまでカバーしてもらえるか。
- 料金体系の透明性: 月額顧問料と決算料、税務調査対応費用など、それぞれ別料金になっていないか。
追加報酬が発生する条件やタイミングを事前に把握しておくと安心です。 - 費用対効果の検討: 顧問料が多少高くても、節税対策や経営アドバイスによってコスト削減・利益拡大が期待できるなら、長期的にはプラスになる可能性があります。
逆に、よりシンプルなサービスに切り替えることで顧問料が下がる場合もあります。複数の税理士事務所で見積りをとり、サービスと料金を総合的に判断しましょう。
税理士を変更するのに適したタイミングはいつでしょうか?
税理士を変更する最適なタイミングは、下記のように業務が一段落する時期を選ぶとスムーズです。
- 法人税申告が完了した直後: 申告業務が終わると、決算処理も一段落しているため、新しい税理士が引き継ぎやすい。
- 税務調査の終了後: 調査対応が終わっているため、トラブルを引きずらずに切り替えが可能。
- 決算期の直前は避ける: 決算直前や2~3か月前からは申告作業が詰まっているので、変更のタイミングを間違えると漏れやミスが発生しやすい。
また、新しい税理士との相談時間を十分に確保できるよう、経営者自身のスケジュールも考慮に入れると安心です。
新しい税理士を選ぶ際に、どんな点を重視すべきでしょうか?
税理士を変更するなら、自社に合ったパートナーを見つけることが大切です。以下のポイントをチェックすると、ミスマッチを防ぎやすくなります。
- 業界知識や得意分野: 自社と同じ業界や規模のクライアントを多く扱っている税理士事務所は、より実践的なアドバイスを期待できます。
- コミュニケーションの取りやすさ: メールや電話のレスポンスが早いか、人柄や説明のわかりやすさはどうか、事前に面談で確認しましょう。
- 料金プランの透明性: 基本報酬、追加業務の報酬、決算料などの内訳が明確か。曖昧なままだと後々トラブルになりがちです。
- ITツールへの対応: クラウド会計や電子申告など、ITを活用できる事務所なら、データ管理や申告作業が効率化できます。
- 紹介会社や比較サイトの活用: 条件を絞って複数の税理士を比較検討できるので、手間を抑えて探したい場合に便利です。
自社が求める条件を先に明確化しておくと、打ち合わせや面談でもスムーズに要望を伝えられます。
税理士を変更すると、これまでの会計データや書類はどう扱われますか?
税理士を交代するときは、スムーズな引き継ぎのために下記の点に注意しましょう。
- 書類・データの回収: 決算書や仕訳帳、総勘定元帳などはもちろん、電子データのバックアップも含めてすべて返却してもらいます。
- 引き継ぎフォーマットの確認: 新しい税理士が使う会計ソフトの互換性や、ファイル形式を確認しておくとデータ移行がスムーズです。
- 秘密保持契約の有無: 秘密情報や個人情報の取り扱いについて、旧税理士との契約書の内容を再確認し、トラブルを未然に防ぎます。
会計データや重要書類は会社の財産です。返却時に漏れや欠損がないかをダブルチェックし、新しい税理士への移行後も問題なく活用できるようにしてください。

- この記事の監修者
- 税理士紹介のパイオニア
株式会社ビスカス 代表取締役 八木美代子
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