2021年3月~6月に必要な法人・個人の税務についてまとめました。
なお、新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言の影響を考慮して、申告所得税、贈与税、個人事業主の消費税の申告・納付期限が、全国一律で4月15日まで延長されています。
目 次
【4月の税務】個人の確定申告期限などが15日まで延長に
4月12日(月)が期限のもの
3月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納期限
【解説】
- 給与、報酬などの特定の所得の支払者が、その所得の支払をする際に、所定の方法により所得税額を計算し、支払金額からその所得税額を差し引いて国に納付する制度を「源泉徴収制度」、そうして徴収した税金を「源泉所得税」と言います。
- 「住民税」は、「市町村民税(東京23区は特別区民税)」と「都道府県民税」を合わせたもので、その年の1月1日時点で住んでいた住所地に納付する税金です。
- 「住民税の特別徴収」とは、事業者が従業員に対して行う義務のある住民税の天引き制度のことです。
- 給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者には、源泉徴収した所得税を、半年分まとめて納めることができる特例があります。
4月15日(木)が期限のもの
給与支払報告に係る給与所得者異動届出
給与支払報告書を提出し特別徴収を予定していた従業員が、4月1日現在で退職している場合には、4月15日までに関係の市町村長に届出書を提出します。
2020年分贈与税の申告期限
※当初の3月15日から延長されました。
2020年分所得税などの確定申告期限
※当初の3月15日から延長されました。
個人事業者の2020年分の消費税・地方消費税の確定申告期限
※当初の3月31日から延長されました。
4月30日(木)が期限のもの
公共法人等の道府県民税及び市町村民税均等割の申告期限
都道府県及び市町村に申告します。
2月決算法人の確定申告期限
法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税を申告します。
【解説】
- 「法人税」は、法人の所得(税金計算上の利益)に課税される国税のこと。
- モノやサービスの消費に課税される消費税は、実は「消費税(国税)」と「地方消費税」から成ります。税率10%の内訳は、前者が7.8%、後者は2.2%。事業者は、売上で受け取った消費税と、仕入や経費で支払った消費税の差額を納税します。
- 「法人事業税」は、課税所得に対して課税される道府県民税です。
- 「法人事業所税」は、人口30万人以上の大都市などの特定の市区町村に事業所がある企業にのみ課せられる税金です。
- 「法人住民税」は、自治体が住民サービスを行うことを目的として課税される税で、市区町村税、道府県民税があります。法人住民税には、所得があるなしに関わらず資本金と従業員数に応じて課税される「均等割」の部分と法人税の額に応じて課税される「法人税割」の部分があり、通常は両方を支払います。
2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告期限
消費税・地方消費税を申告します。
【解説】
- 消費税の課税期間は、原則として1年間(法人は1事業年度)とされていますが、その課税期間を3カ月に短縮できる特例と、1カ月に短縮できる特例が設けられています。
法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告期限
消費税・地方消費税を申告します。
8月決算法人の中間申告期限
法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税(半期分)を申告します。
消費税の年額が400万円超の5月、8月、11月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告期限
消費税・地方消費税を申告します。
【解説】
- 消費税には、年の途中でその期の消費税をある程度前払いし、期の決算が確定した段階で、不足の部分を支払って精算する「中間申告制度」があります。払いすぎていた場合には、還付されます。直前の課税期間の確定消費税額に応じて、中間申告の回数が変わります。
消費税の年税額が4800万円超の1月、2月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告期限
消費税・地方消費税を申告します。
※12月決算法人は2か月分、個人事業者は3か月分を申告
【5月の税務】個人住民税特別徴収税額の通知期限です
5月10日(月)が期限のもの
4月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付期限
5月17日(月)が期限のもの
特別農業所得者の承認申請期限
【解説】
- 特別農業所得者とは、その年において、農業所得(米、麦、たばこ、果実、野菜若しくは花の生産若しくは栽培又は養蚕等に係る事業から生ずる所得をいいます。)の金額が総所得金額の10分の7に相当する金額を超え、かつ、その年の9月1日以後に生ずる農業所得の金額がその年中の農業所得の金額の10分の7を超える方をいいます。
5月31日(月)が期限のもの
個人の道府県民税・市町村民税の特別徴収税額の通知期限
通知方法:特別徴収義務者経由、納税義務者へ通知されます。
【解説】
- 個人住民税(都道府県民税、市町村民税)の納付方法には、「特別徴収」と「普通徴収」があります。給与所得者については、6月から翌年5月までの毎月の給料から徴収されます(特別徴収)。その他の人については、区市町村から送付される納税通知書で、年4回に分けて納めます(普通徴収)。
3月決算法人の確定申告期限
法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税を申告します。
3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告
法人税・地方消費税を申告します。
法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告
消費税・地方消費税を申告します。
9月決算法人の中間申告
法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税(半期分)を申告します。
消費税の年税額が400万円超の3月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告
消費税・地方消費税を申告します。
消費税の年税額が4,800万円超の2月、3月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(1月決算法人は2か月分、個人事業者は3か月分)
消費税・地方消費税を申告します。
確定申告税額の延納届出に係る延納期限の納付
【解説】
- 所得税の確定申告時に延納手続きを行い、半分以上の税額を納期限までに納めれば、残りの税額は通常5月31日まで納付期限を延長できます。
【6月の税務】納期の特例を受けた住民税の納期限です
6月10日(木)が期限のもの
5月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付期限
納期の特例を受けている者の住民税の特別徴収額(2020年12月~2021年5月分)の納付期限
【解説】
- 給与特別徴収は、年12回(6月から翌年5月)の納入が原則ですが、給与の支払を受ける者が常時10人未満の事業主(給与支払者)については、1年に2回の納期にまとめることができます。
6月15日(火)が期限のもの
所得税の予定納税額の通知期限
6月30日(水)が期限のもの
4月決算法人の確定申告期限
法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税を申告します。
1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告期限
消費税・地方消費税を申告します。
法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告期限
消費税・地方消費税を申告します。
10月決算法人の中間申告期限(半期分)
法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税を申告します。
消費税の年額が400万円超の1月、7月、10月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告期限
法人税・地方消費税を申告します。
消費税の年税額が4800万円超の3月、4月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告期限
消費税・地方消費税を申告します。
※5月決算法人は2か月分
まとめ
長引くコロナ禍により、多くの企業で業績が悪化しています。経理作業にも支障が生じていますが、こういう時期だからこそ、節税も含めた「適切な申告・納税」で会社を支える必要があるのではないでしょうか。個人事業主の方は、4月15日までに確実に確定申告を行いましょう。