税金の電子申告“eLTAX”とは?“e-Tax”との違いは?

税金の電子申告“eLTAX”とは?“e-Tax”との違いは?
最終更新日:
2022/04/20
 
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個人も法人も、税金の申告を「書類の提出」ではなく、パソコンやスマホから送信して済ませる電子申告で行うケースが増えています。ところで、電子申告といっても、比較的ポピュラーな「e-Tax(イータックス)」のほかに、「eLTAX(エルタックス)」というシステムがあります。今回は、eLTAXとe-Taxではそれぞれどのような違いがあるのか、利用するメリットはどこにあるのか、わかりやすく解説します。

地方税に関する各種手続きが完了できるeLTAX

個人事業主が確定申告を電子申告で行う際に利用するのが、e-Tax(イータックス)です。
正式には「国税電子申告・納税システム」と言い、その名の通り国税の申告・納税ができるシステムです。
e-Taxで申告できる国税には、

  • 法人税
  • 所得税
  • 消費税
  • 贈与税
  • 相続税
  • 印紙税
  • 酒税

などがあります。
個人の場合は、確定申告書の「住民税・事業税に関する事項」に必要事項を記入しておけば、基本的に申告は終了です(※)。つまり、e-Taxのみで申告の手続きを完了させることもできるのですが、法人の場合は、常に国税と地方税の両方を、別途申告する必要があります。
この地方税の申告を電子申告で行おうとするときに使うのが、eLTAX(エルタックス・地方税ポータルシステム)なのです。
eLTAXでは、

  • 法人都道府県民税
  • 法人事業税
  • 特別法人事業税
  • 法人市町村民税
  • 固定資産税(償却資産税)
  • 個人住民税

の申告ができます。

※人を雇って事業をしている場合(「給与支払報告書」の提出)や、固定資産税、事業所税の申告が必要な個人事業者は、その電子申告にはeLTAXを利用する必要があります。

eLTAXを使うメリットや使い方とは?

実は、eLTAXでできるのは、申告だけではありません。

eLTAXでは届出の提出などもできる

eLTAXでは、都道府県・市町村への「法人設立・設置届け」や「異動届」、個人住民税の「特別徴収者の所在地・名称変更届出書」、事業所税の「事業所等新設・廃止申告」なども電子で提出・申告できます。また、固定資産税を除き、納付手続きも可能になっています。
ちなみに、電子申請・届出は、地方自治体によって個別にこれら以外の手続きが提供される場合があります。

以前は、このeLTAXに対応する自治体は限られていて、電子申告しようと思っても難しいことがありました。また、例えば会社の事業所が本社とは別の自治体にある場合などには、それぞれが立地する自治体ごとに申告・納税を行う必要がありました。
しかし、2019年10月から「地方税共通納税システム」が稼働し、“主となる地方公共団体”を提出先として1つ指定すれば、全国の複数の自治体に地方税の一括納税ができるようになりました。

eLTAXのメリットは他にどのようなものがある?

このほか、eLTAXを利用するメリットには、次のようなものがあります。

  • インターネットを利用するため、窓口に出かけることなく、自宅やオフィスなどから手続きを行うことができる。
  • 土日祝日、年末年始などを除き8:30~24:00まで利用できる。
  • 申告書などの書類の印刷代や郵送費がかからない。
  • 基本的にどの金融機関からでも納付ができる。

eLTAXの始め方・使い方とは?

このeLTAXの利用には、

  • 利用届出を行い、「利用者ID」を取得する
  • 「手続き完了通知」を受け取る
  • eLTAX対応ソフトウェア(※)を取得する
  • 電子申告、納税、申請・届出を行う

という4つのステップがあります。
詳しくは、eLTAX公式サイトをご参照ください。

※eLTAX公式サイトでは、次で述べるeLTAX対応ソフトウェア「PCdesk」を無料で利用・ダウンロードすることができます。また、市販の税務会計ソフトの中にもeLTAXに対応しているものがあります。

eLTAX対応ソフトウェア「PCdesk」も活用してみよう

eLTAX公式サイトでは、無料で提供されている申告データ作成支援ソフト「PCdesk(ピーシーデスク)」を利用・ダウンロードすることができます。
PCdeskはダウンロード版・WEB版・SP版の3種類があり、それぞれ利用できる内容が異なるため、用途に適したものを利用しましょう。

電子申告の義務化が始まりました

ところで、税金の電子申告は、“利用できる”から“国を挙げて利用を促進”の方向に舵が切られつつあります。
企業をはじめとする納税者の負担軽減、行政を含む社会全体のコスト削減を目的としたもので、2020年4月1日以後に開始する事業年度から、資本金の額が1億円を超える大企業などの「電子申告義務化」がスタートしています。

対象税目は、国税の法人税・消費税、地方税の法人事業税・法人住民税などです。
また、対象手続は、「確定申告、中間(予定)申告、仮決算の中間申告、修正申告書及び還付申告」となっており、「申告書及び申告書に添付すべきものとされる書類の全て」を電子申告で提出しなくてはなりません。

こうした電子申告の義務化は、徐々に適用範囲が拡大されていくものとみられます。ちなみに義務化ではありませんが、個人の場合でも、2020年分の確定申告から、青色申告特別控除額が「電子申告であれば65万円・そうでなければ55万円」に設定されました(従来はいずれでも65万円控除でした)。

まとめ

国税の電子申告に利用するe-Taxに対して、地方税に対応するシステムがeLTAXです。「共通納税システム」の稼働などもあり、その利便性は向上しました。利用していない企業でも、一度導入を検討してみる意味はありそうです。不明な点は、税金のプロである税理士に相談してみるのも良いでしょう。

この記事の執筆者
税理士紹介センタービスカス編集部
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